論文・レポート作成のヒント集
Collection of tips for
writing papers and reports
解説:池田光穂 書き方作法マニュアル
The Roaster, 1938 by Picasso
ここでは論文やレポートの作成において、文章表現上工夫をするヒント集をあげておきます。み なさんの文書表現上達のためのチェックポイントとしても役立つでしょう(→添削する時に先生が使う常用句)。
アイディアを整理しよう! |
ロ
ジックツリーで思考を整理(KJ法は拡散するのでダメ) |
書くことだけに集中せよ! |
順序を入れ替えるなど大胆な外科手術も良いぞっ! |
最後は推敲・推敲・また推敲→友人にも読んでもらおう! |
□ 一文書一テーマで! あるいは一段落一テーマで!
□ 言葉を定義したら、実例をつけよ
□ 同義語や反義語を併記して、用語の使い方を明確に!
□ 難しい概念は、具体例をあげる(ただし卑近な例は墓穴を掘ることもある?)
□ 指示語(これ、それ)はなるべく避ける(反復が気になる時は、代示:例「この女性」をつかう)
□ 見る・行う・使う、は多義語であり、文意が曖昧になることがあり要注意!
□ 受動態は避け、なるべく能動態をつかう
□ 相手に指示するときは、否定文(〜しないでください)よりも肯定文(〜してください) で!
□ 曖昧な形容詞や副詞は避ける(=議論の明確化、科学的文章)
□ 接続詞を使わなくても多くの文意は通じる
□ 業務報告やレポートは、結論を先に明示しておいて、背景説明に入るようにする
□ 結論の中身も抽象表現は控え、なるべく具体的に書く
□ 箇条書きは、しばしば結論の主張を引き締める
□ 反論を予測し、それに答える部分は必要である
□ 書いたら、かならず音読して読み返す(=校正[こ うせい]の最も効率よい手段)
□ カタカナ語や英語は避ける。ただし、文中で初出の原語は丸括弧やイタリックなどで表記す る
□ 俗語や流行語は避ける
□ 「〜的」「〜性」という表現はなるべく避ける
□ 漢字が5文字以上繋がる時には、助詞や動詞を挟む
□ 類語の重複(例:馬から落馬する)を避ける
□ 5W1Hを忘れないでね
□ 読み返すときには、「それだからどうしたの?」という問いかけながら、説得的に書き直す
校正とは、印刷(あるいはpdf媒体)として完成する前に、編集者(編集委員会)とのやりと りの中で交わされる訂正の依頼(リクエスト)のこと。最終的に印刷になったものになるまでのやりとりを「校正の過程」などと呼ぶが、もっとも最初のものを 初校校正(しょこう・こうせい)と言ったり、第1校正と呼んだりする、2回目は再校(さいこう)あるいは第2校正、3回目は再々校(さいさいこう)ともい う。パソコンによるワードプロセッサーの時代は電子的になおすよりも紙媒体に印刷してやりとりする(下記の図参照)ものが多かったが、最近はそれまでは電 子的におこない、一番最後に印刷による校正をすることもある。活字時代から、入校後(完成原稿を送ること)は、校正においては、大幅な文章は加筆しないこ とが大きな原則であった。それはページ割つけという課題があったからである。でも現在では、ウェブマガジンなどで、印刷原稿を完全にはぶき、すべてオンラ イン上でおこなう校正も登場するようになった。
筆者たちが経験した過去の校正の記録(完成原稿は→「学
習者から探求者へ : オランダ・マーストリヒト大学におけるPBL教育」『大阪大学高等教育研究. 5 P.19-P.29』2017年: https://doi.org/10.18910/60488)
■教師が学生の論文・レポートを添削する時に使う常用句 common
suggestion for writing your report and short paper
【文献】
篠田義明,2003『ビジネス文完全マスター術』角川書店(角川ONEテーマ20)
このページは、篠田先生の著作からヒントを得て作られました。篠田先生のこの本には、他 にもまだまだ有益な情報が詰まっています。関心のある人は是非参考にしてくださいね。