高校生向けレポートの書き方講座
How to write an academic reports or term paper for high school students
原作は中島らも先生(左のおっちゃんは「かねてつフーズ」右は空海さんです「高野山真言宗」がオリジナルツールになります)
木下是雄『レポートの組み立て方』筑摩書房、1994年(→私が参照したのは、ちくま学 芸文庫:キ1-1:780円・2000年4月現在)に準拠した内容にそった内容を、このウェブページで復習するものです。この書物は、この授業の必読書 となるものです。現物を購入されるか、図書館で現物を読んでください。
1. 高校や大学の授業で作成するレポート(報告書)は基本的に次のような要素からなりたっています。1)表題、2)著者名、3)本文、4)補足文、の4つの要素です。
2.アメリカ医師会の調査報告——実証的論証を基礎にする報告——のスタイルには、上掲の本文のなかに次の7つの要素がふくまれるべきだと記載しています。つまり:3)-1:コンテクスト(報告にいたる背景)、3)-2:目的、3)-3:デザイン(調査報告の計画部分)、3)-4:対象者(参与者)、3)-5:得られた結果(測定された情報)、3)-6:結果(考察が含まれることがある)、3)-7:結論、の7項目です(→以上の内容は「論文・レポートの構成」にまとめてあります)
3.上に紹介したもののほかに、文化人類学を学ぶ大学生が、大学の外でのフィールド調査(フィールドワーク)のために、事前に作成するものを「リサーチ・プロポーザル」というものがあります。それを参考にしても、いいかもしれませんね(→「リサーチプロポーザルを書く」)。
4.レポートとは、自分で、参考図書を調べたり、インターネットで情報収集したり、先生を含む専門家にインタビューしたりして、研究をした結果をまとめた、ものです。ここで、ちょっと順序が逆になりますが、レポートは、研究発表の内容を文章にしたものでもあります。研究発表をどのようにおこなうのかは、レポート書くときに重要な要素になりますので、ここで学びましょう(→「研究発表のためのプロトコル」)
5.大学生の先輩は、研究発表=プレゼンテーション(日本語は略して「プレゼン」といいます)はどのように考え、どのようにおこなうべきでしょうか?こちらについても考えてみましょう(→「若い人のためのプレゼンテーションの技法」)
6. OECD(経済協力開発機構)に加盟するいわゆる先進国の高校生は卒業するまでに、哲学や認知科学、科学的思考についての「知の理論(Theory of Knowledge, TOK)」やそれに関する基本的知識を学びます。しかし、OECD加盟している日本では、そのような内容は倫理社会などを授業でわずかに触れるだけで、内 容量としてもレベル的には5%未満の学力レベルしか学べません。つまり、日本の高校卒業生の知的レベルは、世界的にみても高いものとは言えません。その責 任は、もちろん日本の高校生のみなさんにはありません。諸悪の根源は、そのことを知っているにも関わらず、大学入試改革をせず、また、TOKを普及させな い、文部科学省、公的教育機関(すべての高校や大学)の関係者です。そのため、みなさんは、このレポートの書き方が、「知の理論(Theory of Knowledge, TOK)」に支えられていることを思い起こし、自分たちでサバイバルするために、自らの努力で学ぶべきです。知識の資料は(英語や他のヨーロッパ言語が中心になりますが)インターネットに豊富にあります。
おさらいです
■問い:レポートと論文の定義し、その違いを述べなさい。
■答え:p.9を見てください。レポートは特定の読み手を想定して書かれる報告書であり、論文は 不特定多数の読者を想定してかかれる報告書である(ただし、木下は論文を報告書とは定義していないことに注意する)。
もっとも、特定の相手(大学の場合は教師あるいは大学当局)を想定しているレポートでも、読み手 は必ずしも書き手の想定する姿に合致するわけではない。つまり潜在的な不特定の読み手になる可能性をもっている。また、論文は、不特定多数とはいえ、学問 の専門集団を読み手として前提にするので、想定された読者集団の中の不特定多数というほうが正確である。
レポートも論文も、未知の人に読まれることを前提にした報告書で、それを明確に区分することはで きない。論理構成においても内容においても、論文はレポートの「親玉」、レポートは論文の「子分」ぐらいに考えておけばよいだろう。そのココロは「ともに 仁義が要求される!」(何のコッチャ!)
レポートの書き方(O嬢*方式),pp.13-21 [→コンピュタによる支援を想定した追加事 項:池田加筆]
*私は『O嬢の物語』を連想しまいましたが、同じような連想をした方もおられるかも?!
このO嬢方式は、直輸入先のアメリカ合衆国で人気のある<アウトライン型>による論文構成である。あることを明晰に主張しようとするとアウトラ イン型にならざるを得ない。論争にも耐えうる構造をもっているからだ。もちろんアウトライン型がつねに万能ではない。
これに対してアウトライン型の論文構成を嫌う執筆者もいる、立花隆(Takashi TACHIBANA, 1940- )がその代表だ。論理構成でゴリゴリ押すアウトラインではなく、直感に訴える作 文法を説く立花が、我が国ではもっとも人気の高いジャーナリストと評価されることについてもっと考えられていいはずだ。また、論理が明晰ではなく、つねに 批判の対象になることが多い朝日新聞の天声人語の駄文(すべてではない:念のため)が入試問題によく引用されることも、同種の問題をはらんでいる。
僕がおすすめする立花隆さんの好きなルポ
■問い:事実と意見の違いをあきらかにしなさい。
■答え:p.26にあげてある、事実と意見の定義は木下のものではなく、アメリカ合衆国の小学校の国語(=つまり英語)の教科書に掲げられてい る定義である。それは以下のようなものである。
事実とは証拠をあげて裏づけすることができるもの
意見とは何ごとかについてある人がくだす判断である |
■作文を分析する際につかわれる以下のさまざまな用語を定義しなさい(答えは、pp.39-41)。
リンク
文献
Copyleft, CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j, 1996-2099