アイヌとマヤ:二つの先住民のつながり
The Ainu and the
Mayan, Two Indigenous fellows
中 米マヤと日本アイヌ先住民の文化復興ネッ トワークの構想
政府系の学術支援団体 に、私たちはこの研究計画に過去3年間以上申請して きましたが財政的支援を得られませんでした。民間の篤志家に支援をお願いしています!
研究目的
現在世界の先住民研究者は「差異のジレンマ」の解 消に取り組んでいる。そのジレンマとは「文化的差異があるため中央政府(国民)と先住民族の和解は不可能だ」というものだ。宥和政策は先住民族側に「政府 による文化破壊への危惧」を感じさせる一方で政府には「先住民族文化は国民文化に包摂されるべき」と見なされ、多文化共生と異文化異民族への寛容の精神を 削ぐという危険性をもつ。本研究は、マヤ系先住民族運動と日本のアイヌの文化復興運動を、研究レベルでの連携を通して、先住民族文化の文化実践家の人たち とのネットワーク化を試み、(a)差異のジレンマの言説構築の論理的限界と経験的離反性、および(b)代替的言説の提唱と有効性検証をおこなう。日本地域 研究者による「差異のジレンマ」解消にむけた実証研究である。
「日本の先住民族であるアイヌは、今後、世界各国の 先住民族政策やその情勢を分析し、自らの権利問題の解決に対して、これまで以上に積極的な姿勢を示すことが求められる」——野本正博(2009:333) による、この提言は彼自身の同胞アイヌに向けられたものであるが、同時にこれまで多数派を占めてきた「日本人」研究者への批判であり建設的な「対話」提言 とも取ることもできる。私たちは帰属する民族アイデンティティの差異を超えた研究者間の連携の提言としてこれを受け止めよう。これが本研究をおこなうため の基本的合意である。
「タールサンド採掘活動」に反対するために行進する北米先住民
(1)研究の学術的背景
【国内・国外の研究動向及び位置づけ】
1980年代中盤から世界の先住民族間での国際連携 は、21世紀になり歴史的変革を促した。2007年、国連における「先住民族の権利に関する宣言」が、その好例である(窪田・野林 2009;太田 2012)。一方において、先住民族の活動家たちは近代国家の枠を超え連携する中、他方において、先住民運動に関心をもつ研究者は、ローカルな状況への配 慮のためか、国際的ネットワークを築いているとはいいがたい(e.g. Batrolomé 2006)。たとえば、(世界の先住民運動を牽引してきた)ラテンアメリカの研究者は、オセアニア、アジア、北欧地域などの先住民族運動研究者との連携を 築けていない。それどころかグローバルなレベルで展開する先住民族運動では、文化人類学者・民俗学者と先住民族活動家が衝突する状況すらもあり、その痛手 を被った研究者は象牙の塔から専門的な学術的な場において抽象的で高度な「批判」をおこなうという悲劇すらおこっている。総括すれば、先住民族運動という 現象の急激な変化に、研究者が対応できていないといえる(e.g. 太田2010)。先住民族どうしの国際連携についてはどうであろうか?国際先住民の10年(1994-2004)に国際交流NGO/NPOがグアテマラの 平和運動家を招致しアイヌ民族との交流をおこなっているが市民を巻き込む持続的な活動には現在のところ結実していない。それゆえ、中米マヤ民族と日本アイ ヌ民族の文化交流のために媒介となるべき研究者が、持続可能な交流モデルを作り上げることは、急務と言える状況になったことは明らかである。
【研究成果を踏まえ着想に至った経緯】
本研究は、そのような地域研究者間のネットワーク構 築の第一歩を目指す。より、具体的には、文化と言語復興という両方の民族が抱える課題を比較対照することにより、中米グアテマラのマヤ系先住民族研究者と 日本の先住民族であるアイヌ民族の研究者の連携が目的である。
これまで申請者が関与してきた諸プロジェクトは、グ アテマラ共和国のマヤ系先住民族が近代国家において生き延びる戦略として、文化と言語復興を主テーマとして扱ってきた。たとえば、次のような一連の科学研 究費補助金(基盤研究(B))の成果がある。
-
中米先住民運動における政治的アイデンティティ:メキシコとグアテマラの比較研究(研究代表者:池田光穂、課題番号:22401011、2010年〜
2013年度)
- 先住民の文化顕示における土着性の主張と植民国家の変容(研究代表者:太田好信、課題番号:17401037、2005年〜2007年度)
- 中南米の民主国家建設における先住民文化運動の役割(研究代表者:太田好信、課題番号:13571020、2001年〜2003年度)
-
グローバル化によるグアテマラ国家ナショナリズムと汎マヤ・エスニシティの形成(研究代表者:太田好信、課題番号:10041026、1998年〜
2000年度)
これらの研究により、多数の民族誌記述に基づく論 文、著作の発表をとおして次のようなことが明らかになった。(a)文化や言語の継承に不可欠な共同体の社会的基盤は、内戦によって脆弱化したこと。(b) カクチケル語やマム語の共同体における言語や文化復興は、近代国家における先住民族の位置を再配置する働きがあること。太田や池田は、この間、中米(グア テマラ)のマヤ民族が置かれている状況は、アイヌ民族が現在経験していることと共通した社会的文脈があることに気づいた。アイヌでは近代国家と国際的政治 力学などにより定住・強制移住・種々の文化的行事の禁止や自主規制・過酷な民族差別を経由して、近年になりようやく1997年「旧土人保護法」廃止とアイ ヌ文化振興法制定が実現した。しかし先住民族自身が「文化」の選択と創造を通して自文化を問いなおす契機は未だ成熟した状況にあるものではない。
【これまでの研究成果を発展させる内容】
(2)何をどこまで明らかにしようとするのか
これまで述べてきたように、先住民族運動という現象 の急激な変化に、研究者が対応できていない現状に鑑み、文化と言語復興という両方の民族が抱える課題を比較対照することが急務である。すなわち中米のマヤ 系先住民族研究者と日本の先住民族であるアイヌ民族の研究者が、工芸、音楽、ミュージアム、言語の4つの専門領域において、それぞれの先住民族の文化実践 家(=文化のエキスパート)との連携をもって、相互に〈学術交流〉——文化の往還(太田 2010:301)や返還(太田 2008:21)——することを目的とする。すなわち具体的な文化をめぐる「対話」を通して「文化的差異は乗り越え不能」と言われてきた状況を脱構築する ことを目論見るものである。
研究分担者の太田は科研費「ポストヴァナキュラー論 構築の試み」(課題番号:23520990)において、分担者の北原・山崎・丹菊らのアイヌ語復興プロジェクトに参加する研修生や研究者との対話のなか で、アイヌ語の使用が機能する共同体がないこと、つまり母語としてアイヌ文化を伝達する機能を失って久しいことに気づいた。この状況下で、アイヌと自称す る人びとは、アイヌ語をどのように理解しているのだろうかという実態の把握を希求するようになった。アイヌの文化復興運動においても、同様のジレンマを抱 えていることが指摘されている(野本 2009)。だが、アイヌ語を再び母語として学び直したいと望む人や、アイヌ文化の復興の講座やセミナーに訪れる人たちが近年になり増加をみている。マヤ 民族の文化や言語もアイヌ民族のそれらもアイデンティティの一部である、という意味では、「先住民族」の文化や母語の21世紀的なあり方なのである。また 分担者の関はグアテマラにおける平和記憶の博物館プロジェクトでもこれを痛感した。
したがって、言語や文化復興は、マヤ系先住民族のみ ならず、アイヌ民族にとっても重要なテーマになる。その意味で表記法の統一、語彙集の作成、文法の整備、第二言語としての学習方法の開発など、グアテマラ のマヤ民族の方が一日の長があるといえる。アイヌ民族の文化実践家が中米におけるマヤ先住民運動から学び、かつ先住民族研究のネットワークを形成する必要 性はここにある。そのような文化実践の現場にマヤ先住民族とアイヌ民族が学術研究を仲立ちとして相互に対話交流することは、研究のみならず大学の社学連携 活動としても意義深い。
(3)本研究の学術的な特色・独創的な点及び予想さ れる結果と意義
この研究は、人類学における中心的な課題であり、ま たその学問の成果物である民族誌が歴史的流れのなかで往還し「文化」についての新たな地位を獲得するという再帰性について、フィールドワーク実践を通して 考える研究である。先住民族の文化実践家と研究者が連携し、いわゆる比較文化論研究とは一線を画しつつ、また政治的コミットメントという回路を経由するこ となく、市民の自発的活動がもつ文化創造に対して文化人類学者が実践に関わることが、全く独自(sui generis)の観点と行動理念を持つものである。
※参照文献は研究計画・方法のセクションの末尾で 記載している。
研究計画・方法(概要)
中米(主にグアテマラ共和国)と日本(主に北海道) において、マヤとアイヌの工芸、音楽、ミュージアム、言語の先住民族の文化実践家と呼ぶと研究者の相互作用・相互交渉を、民族誌学的方法(参与観察、聞き 取りインタビュー、半構造化手法による質問紙方法、フォーカスグループインタビュー等)を中心に、語りの録音とビデオ映像記録をとる。研究成果の共有と共 同発表を通して、先住民族の文化実践家が文化研究の枠組の中で主体的に情報発信できるように働きかけ、かつ研究者と文化実践家の双方向的「協働」を記述で きるような文化の書記法を探究する。
■研究班の構成と研究手法と業務
研究目的のところで述べたように研究班を、(1)工 芸、(2)音楽、(3)ミュージアム、(4)言語の4つのサブグループにわけて、(a)グアテマラ・マヤ研究者、(b)双方の先住民族の文化実践家、 (c)アイヌ研究者という、3つの集団とのマッチングで研究班を構成する。ただし、現地調査ならびに共同研究会・研究打合会議等は、区分分けはせず、原則 的に全員が参画するようにする。初年度は、予備調査と先行研究のレビューを中心におこなう(窪田・野林2009;太田2008,2010,2012; Bartolomé 2006)。
《表による分担分布》
グアテマラのマヤ系先住民の調査ならびに米国での学 会発表は海外旅費を充当させる。アイヌの文化実践家との共同研究ならびに研究打合は国内旅費を充当させる。
調査手法は、民族誌学的方法(参与観察、聞き取りイ ンタビュー、半構造化手法による質問紙方法、フォーカスグループインタビュー等)を中心に、語りの録音とビデオ映像記録などを活用する。
研究成果の発表は、日本文化人類学会、アメリカ人類 学連合(American Anthropological Association, AAA)の年次大会等でおこなう。研究成果の報告媒体は、『文化人類学』『国立民族学博物館研究報告』、Japanese Review of Cultural Anthropology, JRCA等でおこなう。
《研究初年度》
(1)調査研究実施国・地域及び旅行経路
1.日本→グアテマラ共和国(→グアテマラ国内移
動→2.)
2.チマルテナンゴ県、ウェウェテナンゴ県、アルタベラパス県、首都
3.日本→(米国/メキシコ経由)→グアテマラ共和国、以上の往復
初年度は調査スケジュールに従い、6月に研究打合を おこなう。(1)工芸サブグループは、チマルテナンゴ県(Kaqchikel語)ならびにウェウェテナンゴ県(Mam語)の代表的な工芸品工房や組合を訪 れるための行動計画を練る。(2)音楽サブグループは、チマルテナンゴ県ならびにアルタベラパス県を中心にして活動をする伝統ならびに現代音楽グループと の接触を目標に行動計画を練る。(3)ミュージアムサブグループは、アルタベラパス県(Q’eqchii’語)および首都の内戦の記憶に関する博物館ある いは学芸員との接触を取るべく行動計画を練る。(4)言語サブグループは、上記3県ならびに首都での言語復興運動関係者との接触を取るべく行動計画をね る。打合後の2〜3か月以内に、27年度最初のグアテマラ調査を実施する。その後、資料を取りまとめ12月での報告会で報告する。なお、 Kaqchikel, Mam, Q’eqchii’の言語集団の分布位置はこのセクションの末尾の図(England 1996)を参照のこと。
国内では北海道での実践家へのインタビューを中心 に、次年度以降のグアテマラでの渡航の可能性や、グアテマラからの先住民族の実践家の日本への招へいに対応できるようなスケジュールや、文化的交流の計画 を合わせておこなう(東京での調査はその打合も兼ねる)。
(2)研究計画を遂行するための研究体制
4年間の基本的な研究態勢は本セクションの冒頭で示 した。グアテマラ・マヤ研究者とアイヌ研究者の集団(セグメント)は、およそ6か月に一度(年2回程度)の打合をそれぞれ大阪と札幌でもつこととする。両 セグメントの合同の集会は、27年度においては2回大阪と札幌でおこなう。
《研究次年度以降》
基本的には、研究初年度の行動方針と同様のスケ ジュールでおこなうが、初年度と異なる点は以下のとおりである。
(1)国内開催の日本文化人類学会において研究調査 に関する研究発表(研究次=2年度は理論的な粗描でもかまわない)をおこない、かつ11月にアメリカ合衆国で開催される、アメリカ人類学連合 (American Anthropological Association, AAA)の年次大会に参加し、次年度以降の研究発表に関する情報収集をおこなう。グアテマラならびにアイヌ民族への研究調査や実践家との交流は、承前のご とく継続する。
(2)研究3年度は、アメリカ人類学連合年次大会に て研究発表をおこなう。そのため、前年度の冬期から、このことに関する準備に着手するものとする。
(3)研究4年度は、本研究計画の最終年度にあたる ために、前年度の冬期から、出版物(論文集あるいは個々の投稿論文等)に関する、準備に着手する。あわせて当該年度も日本およびアメリカ人類学連合年次大 会での発表を試みる。
(4)本研究は、グアテマラとアイヌの研究者の交流 と相互浸透のフィールド調査を通して、従来は研究の対象として客体化されてきたその研究枠組の方向性を転換し、先住民の文化実践家が文化研究の枠組の中で 主体化できるように働きかけ、かつ研究者と実践家の双方向的「協働」を目的としている。それゆえ研究3年度下半期以降は、日本学術振興会、文部科学省、文 化庁、あるいは国際交流基金等の学術文化交流などの外部資金の調達を基にして、研究者と文化実践家が、日本ならびにグアテマラの市民に対して国際交流ない しは学術交流の実践を模索したい。そのことを通して、先住民族の文化実践家が文化研究の枠組の中で主体的に情報発信できるように働きかけ、かつ研究者と文 化実践家の双方向的「協働」を記述する。言わば社会気質の書記法(ethos-graphy)を探究する。
【図表関係】
●アイヌ言語の多様性
左:丹菊逸治氏からの私信による(2020年10
月)/左:Ono, Yohei, Reconsideration of “Major Division” of Ainu Dialects :
A Statistical Reanalysis of Asai (1974), 北方言語研究, 10, 231-254,
http://hdl.handle.net/2115/77595
【図表関係】
(左図)マヤ系先住民族言語集団の分布 (England 1996)|(右図)1893年当時のアイヌ民族の人口分布:Landor(1893)の資料によるLeroi-Gourhan(1938-1989)の 再構成。Un voyage chez les Aïnous, Hokkaïdo,1938
(左図)マヤ言語分布マップ(イングランド
1988)※上掲のカラーよりも古いもの|(右図)マヤ諸言語の歴史的分岐の再構成図(カウフマン 1974, よりイングランド
1988:8,による)
【図表関係】
参照文献
- Bartolomé, Miguel
Alberto. 2006. Procesos Interculturales: Antropología política del
Pluralismo cultural en América Latina. México D.F.: Siglo XXI Editores.
- England, Nora. 1996. Introducción a la lingüística: Idiomas Mayas.
Guatemala: Proyecto Lingüístico Francisco Marroquín.
- 太田好信『亡霊としての歴史』京都:人文書院、2008年
- ____『トランスポジションの思想(増補版)』京都:世界思想社、2010年
- ____編『政治的アイデンティティの人類学』京都:昭和堂、2012年
- 窪田幸子・野林厚志編『「先住民」とはだれか』京都:世界思想社、2009年
-
野本正博「イオルプロジェクトからみる先住民族としてのアイヌ:日本の先住民族を取り巻く現状と課題」窪田・野林編、Pp.318-335,2009年
研究上のファシリティ
1.本研究を実施するために使用する研究施設は、研 究代表者の本務場所である__大学___がある。北海道側では___大学____センターが利用可能である。研究代表者であるXと研究分担者のYは、これ までの科学研究費補助金の取得歴とそれに関する民族誌的資料がある。研究班のメンバーは現地社会にも数年から10数年の長期的な友好関係をもち、文化実践 家とも知悉している。
2.研究分担者の連絡調整の状況においては、これま での科学研究費補助金のメンバーであるものが多い。また日本文化人類学会および日本ラテンアメリカ学会でのシンポジウムや分科会などを共同で組織した経験 があり、研究者間の学術的関係は極めて良好であり、すべての関係者が腹蔵なく情報を交換出来る状態にある。
3.本研究の研究成果を社会・国民に発信する方法。 研究代表者はインターネットにより日本最大の文化人類学および医療人類学の情報提供サイトを運営している(www.cscd.osaka- u.ac.jp/user/rosaldo/)。またこれまでの科学研究費補助金による業績については著作権をクリアしたものに関しては、上記のディレク トリー内に情報データベースを提供して、情報公開には鋭意努力をしている。
研究業績
2014年(以降)——現在、照会中
2014年
1.池田光穂『生命倫理と医療倫理(改訂3版)』
[共著]伏木信次・樫則章・霜田求編、金芳堂(担当箇所:第21章「医療人類学」Pp.224-233)255pp.2014年3月、査読無
2.池田光穂『世界民族百科事典』[共著]国立民族学博物館編、丸善(担当箇所:「病気観と身体観」Pp.686-687;「民族表象と運動」
Pp.738-739)、816pp. 2014年7月、査読有
3.池田光穂「科学における認識論的アナーキズムについて」『現代思想』42巻12号、Pp.192-203、2014年8月、査読無
4.池田光穂「研究不正とどのように向き合うのか?:実践的審問」『質的心理学フォーラム』6巻、Pp.18-25、2014年9月、査読有
5.Ota, Y., 2014[2011], “Strange Tales from the Road: A Lesson Learned
in an Epistemology for Anthropology.” In The Challenge of Epistemology:
Anthropological Perspectives. Christiana Toren and Joao de
Pina-Cabral, eds., pp. 191-206. London: Berghan. 査読有
6.滝奈々子「ホンジュラスを包む音—民俗舞踊と国家」(単著)桜井美枝子/中原敦編『ホンジュラスを知るための60章』262-266ページ、明石書
店、2014年
7.関雄二2014「中米グアテマラにおける内戦の記憶と和解」小田博志・関雄二編『平和の人類学』pp.95-117、京都:法律文化社。査読無
8.山崎幸治「境界を展示する—「アイヌと境界」展における試み—」『境界研究』特別号.pp.141-149.査読無.2014.
9.岩下明裕・木山克彦・水谷裕佳・山崎幸治「先住民という視座からの眺め」『図説ユーラシアと日本の国境ボーダー・ミュージアム』岩下明裕・木山克彦
(編著).北海道大学出版会.pp. 89-96. 査読無.2014.
10.北原次郎太『カラフトのアイヌご』公益財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構、2014.3、査読無。
11.北原次郎太『初級アイヌ語 カラフト』公益財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構、2014.3、査読無。
12.北原次郎太『中級アイヌ語 カラフト』公益財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構、2014.3、査読無。
2013年
13.
池田光穂「ヘルスコミュニケーションの生命倫理学」Pp.234-256『医療情報』板井孝壱郎・村岡潔編、丸善出版(担当箇所:第12章)260pp
(査読有)
14. 池田光穂「情動の文化理論にむけて」Communication-Design, 8:1-34(査読有)
15. 太田好信「アイデンティティ論の歴史化—批判人類学の視点から」『文化人類学』第78巻2号、245-264頁。(査読有)
16. 太田好信「アイデンティティと帰属をめぐるアポリア—理論・継承・歴史」『文化人類学』第78巻2号、198-203頁。(査読有)
17. 関雄二「最初のアメリカ人の移動ルート」印東道子編『人類の移動誌』、臨川書店、pp.206-218、査読無。
18. 丹菊逸治「サハリン口承文学の地域差」『口承文芸研究 第三十六号』(査読有)
19. 北原次郎太「樺太アイヌ語の世界」『ニューエクスプレス 日本語の隣人たち』2pp8-29、白水社、2013.1、査読無
20.
北原次郎太『北海道大学アイヌ・先住民研究センター アイヌ・先住民言語アーカイヴプロジェクト報告書 和田文治郎樺太アイヌ説話集1』2013.3、査
読無
21.北原次郎太「《テキスト》『上川アイヌ熊まつり』収載の祈り詞」千葉大学文学研究科ユーラシア言語文化論講座【編】「ユーラシア言語文化論集」第
15号pp.233-256、2013.12、査読無
2012年
22.
池田光穂編『コンフリクトと移民』池田光穂編10名執筆、大阪大学出版会、(担当箇所:「序論コンフリクトと移民:新しい研究の射程」Pp.3-30、
「第2章外国人労働・構造的暴力・トナンスナショナリティ」Pp.49-74、「第11章「コンフリクトと移民」を考えるブックガイド」Pp.303-
335)339pp (査読無)
23.
池田光穂「地方分権における先住民コミュニティの自治:グアテマラ西部高地における事例の考察、『ラテンアメリカ研究年報』(日本ラテンアメリカ学会,
ISSN: 02861127)No.32、Pp.1-31(査読有)
24. 太田好信『政治的アイデンティティの人類学』昭和堂、査読無
25. 太田好信『ミーカガン—沖縄県八重山地方の潜水漁民の眼からみた世界』 櫂歌書房(査読無)
26. 山崎幸治他2名編『世界のなかのアイヌアート』北海道大学アイヌ・先住民研究センター、査読無
27. 関雄二他2名編『アンデス世界 交渉と創造の力学』世界思想社、査読無
28. 北原次郎太「モコットゥナシ「aynuitah eyaycaakasno -tani an=kii pe・tani orowano
an=kii kun pe-」」『ことばと社会』14号、三元社、査読無
2011年
29.
池田光穂『国際ボランティア論』内海成治・中村安秀編、ナカニシヤ書店、(担当箇所:「国際ボランティアと学び」Pp.26-40)186pp.
(査読無)
30. 池田光穂「拡張するヘルスコミュニケーションの現場」、『保健医療社会学論集』22(2):1-4(査読無)
31. Ota, Y., “Strange Tales from the Road: A Lesson Learned in an
Epistemology for Anthropology.” In The Challenge of Epistemology:
Anthropological Perspectives. Christiana Toren and Joao de
Pina-Cabral, eds., pp. 191-206. London: Berghan.
32. 関雄二「東京大学文化人類学教室のアンデス考古学調査」山路編『日本の人類学
植民地主義、異文化研究、学術調査の歴史』pp.517-571、関学出版会(無)
33. 丹菊逸治「アイヌ異類婚譚における「守護神」--ニブフ民族の伝承との比較から」『和光大学表現学部紀要11号』p122-130、査読無
34. 丹菊逸治「ニヴフ語の複数表示 −ポロナイスク方言の-gunの特殊用法」『北方人文研究 第5号』(北方言語ネットワーク編)査読無
35. 山崎幸治他2名編『千島・樺太・北海道 アイヌのくらし−ドイツコレクションを中心に−』財団法人アイヌ文化・振興研究推進機構.査読無
36.
北原次郎太2名他「北海道文学館所蔵「知里真志保遺稿ノート」の細目次」『北海道立アイヌ民族文化研究センター研究紀要』18号pp.115-321、
2011.3、査読無
2010年
37.
池田光穂他編『認知症ケアの創造:その人らしさの看護へ』池田光穂・阿保順子編[共著]5名執筆、雲母書房、査読無
38. 池田光穂『看護人類学入門』文化書房博文社、査読無
39.
池田光穂1名他「実践を生み出す論理の可能性:対話論ノート」、『Communication-Design』第3号、Pp.210-224、2010年
3月査読有
40. Seki, Yuji,et al. 4名“Nuevas evidencias del sitio arqueológico
Pacopampa en la sierra norte del Perú.” Boletín de Arqueología PUCP 12:
69-96. Fondo Editorial de la Pontificia Universidad Católica del Perú.
査読有.
41. 関雄二『アンデスの考古学 改訂版』、同成社、査読無。 /査読無↓
42. 丹菊逸治「ニヴフの異類婚譚」(『和光大学表現学部紀要10号』和光大学表現学部)
43. 丹菊逸治「あるニヴフ人の戦前と戦後」『和光大学現代人間学部紀要4』p129-143
44. 関雄二他2名編『古代アンデス 神殿から始まる文明』、朝日新聞出版、査読無。
45.
池田光穂「臨床コミュニケーション教育:PBLから対話論理へ、対話論理から実践へ」『日本ヘルスコミュニケーション研究会雑誌』第1巻第1号
(2010)Pp.48-52.査読無
46. 山崎幸治他2名著『アイヌ—美を求める心』アイヌ文化振興・研究推進機構、査読無
2009年以前
47.
池田光穂「「文化の翻訳」に資格はいらない」、『こころと文化』8: 139-145査有
48. Mitsuho Ikeda & Michael K. Roemer “Distorted Medicalization” of
Senile Dementia: The Japanese case., World Cultural Psychiatry Research
Review 2009, 4(1): 22-27,査有
49. 池田光穂他1名臨床コミュニケーション教育における発話と実践の対話的関連性について、電子情報通信学会技術研究報告HCS2009-6,
HIP2009-6, WIT2009-6(2009-05), Pp.23-28、2009年5月査読無
50. 太田好信『増補版・民族誌的近代への介入』人文書院、査読無
51. Seki, Yuji el al. (eds.) 2名Miradas al Tahuantinsuyo:Aproximaciones
de peruanistas japoneses al Imperio de los Incas. Fondo Editorial de la
Pontifica Universidad Católica del Perú. 査読有.
52. 山崎幸治他2名編『teetasinrit tekurukoci
先人の手あと 北大所蔵アイヌ資料−受けつぐ技−』北海道大学アイヌ・先住民研究センター、査読無
53. 北原次郎太「樺太西海岸多蘭泊のhawki「海馬嫁」のテキスト」「itahcara」6:49-68
54. 北原次郎太「現代のアイヌと宗教」『宗教と現代がわかる本』平凡社、共に査読無
55.
北原次郎太「「アイヌの人々を理解する」とは−学芸員講話の実践例を通して−」北方民族博物館編「第23回北方民族文化シンポジウム報告書 北太平洋の文
化:北方地域の博物館と民族文化3」pp.45-50、査読無
《過去の科学研究費補助金の成果:梗概》
【科学研究費補助金】
・基盤研究(C)2011〜2014年度(予定) 「ポストヴァナキュラー論構築の試み」研究代表者:太田好信(本研究課題の研究分担者)直接経費(2011年1,100千円,2012年900千円, 2013年900千円)
ポストヴァナキュラー論の観点から、グアテマラ・ マヤ系言語、アイヌ語の言語研究・言語復興運動、ハワイ日系人の日本語教育運動などの比較研究が進行中である。言語共同体を完全に喪失した言語の復興の課 題が明らかにされ、コミュニケーションの手段と一義的に定義されてきた言語が、断片化された価値を象徴的に表現する可能性を新たに持ちうるという社会的機 能の発見等、篤実に成果があがっている。それゆえ、この研究の成果の延長上に、メソアメリカのマヤ系先住民(族)研究者とアイヌ研究者が連携や「対話」を 試みようとする本研究課題に関する基本的アイディアを提供していると評価できる。
・基盤研究(B)2010〜2013年度「中米先住 民運動における政治的アイデンティティ:メキシコとグアテマラの比較研究」研究代表者:池田光穂(本研究課題の研究代表者)直接経費(2010年度 3,500千円,2011年度3,100千円,2012年度3,100千円,2013年度2,800千円)
メキシコおよびグアテマラの先住民(先住民族)に ついて、彼/彼女らを本質主義的な文化的アイデンティティの担い手とみるのではなく、周縁化による排除から自らの権利行使としての国政への参加や存在の文 化的顕示の実践、すなわち先住民の政治的アイデンティティの主体(およびその構築)という観点から捉え直すことがこの研究の目的である。言語復興運動にお ける先住民が果たす社会的役割の意義や、地方自治や自警活動、国政への参画などの調査結果は、本研究課題が模索している先住民族の文化実践家の今後の課題 などの研究に役立つはずである。
・基盤研究(B)2005〜2007年度「先住民の
文化顕示における土着性の主張と植民国家の変容」研究代表者:太田好信(本研究課題の研究分担者)直接経費(2005年度4,700千円,2006年度
4,200千円,2007年度4,500千円)
過去20年近く先住民(先住民族)たちの政治活動は活発になってきた。この研究課題は、先住民運動が活発であるラテンアメリカと太平洋地域において、国
家と先住民がお互いに土着性の主張をめぐり競合する状況を解明することにあり、ラテンアメリカやニューカレドニアにおいて、土着性は先住民が国家の市民で
ありながら、同時に文化と政治を横断する数少ない概念であり、ラテンアメリカと太平洋地域では先住性が主題化され文化の政治化が著しく進行していることが
判明した。この研究課題を遂行途上にて、2007年の国連における「先住民族の権利に関する宣言」がなされ、我々の研究は、文化の政治化の概念が重要であ
ることが確認された。このテーマは、3年後に採択されることになる「中米先住民運動における政治的アイデンティティ」の研究に多いに影響を与え、かつ先住
民族における言語や文化復興運動の意義をより一層強調することになった。
《人権の保護および法令遵守への対応》
・本研究は、日本および海外での現地調査を予定して
いるため、参与観察、インタビュー、民族誌的データの収集等において、個人のプライバシーに関わる情報を取得する可能性を有する。
・とりわけ先住民族研究においては、人類学研究の歴史において、さまざまな社会的功罪について議論があり、つねに細心の注意をもって、また国内外の研究倫
理上の諸成果をつねに反映させる体制で臨む。
・研究情報の保護に関しては、調査対象者に文書および口頭において、事前に確認をとり、被調査者との信頼性を確保することに努める。また、データを記載し
たフィールドノートならびにパーソナル端末等は管理を厳格にして漏えいがないように努める。また研究発表に関しては、個人情報と当人とが「連結可能」にな
る危険性をもつ場合は、必ず本人に照会するようにする。
・これらの調査上における個人情報の保護と、文化人類学者としての研究上の責務に関しては「日本文化人類学会倫理綱領」
(www.jasca.org/onjasca/ethics.html)に記載されている理念を本研究に関わるすべての人と共有するように努める。ま
た、この要綱は研究の各年度の初回の会合・集会のごとに(事前にメールあるいは)印刷配布して、倫理上のミスコンダクトがおこらないように留意する。
・研究代表者が所属する大阪大学コミュニケーションデザイン・センターには、研究倫理委員会が設置されており、研究が採択されることがわかった時点で、審
査のための具体的な調査項目に関する研究計画書を別途作成し、その研究倫理上の審査を受けるものとする。
《研究経費の妥当性》
初年度には、研究遂行と事務処理のための最小限のパ ソコン・ビデオ機材・ネットワーク関連用品を整備する。
本研究では、現地調査に最大の重点が置かれている。 そのため国内・海外旅費が申請額の90%以上を占めている。学際的研究体制をより円滑に運営するために国内・海外調査に先立ち、国内での打ち合わせ会議が 必要である。それらの費用が計上されている。
国内における事前打ち合わせと総括については、北海 道と大阪での開催を想定し、大阪、福岡からの旅費と北海道での宿泊・日当を算定し、調査と研究打合せために平成27年度には2回を予定している、平成28 年度にも2回、29年度にも2回、30年度にも6回を想定して都合8回の研究会開催の費用を算出申請している(研究計画・方法(つづき)の調査スケジュー ルを参照)。海外旅費では、グアテマラ調査を、調査日数を平均35日間、さらに両調査地への日本国内からの通常航空運賃と調査地での宿泊・日当(旅費規程 による丙地)の合算額を計上している。調査時期の太平洋路線は繁忙期にあたるが、航空運賃の算出は安全かつ経済的な市場価格に基づいている(当該地域を専 門とする旅行代理店において確認済)。
グアテマラ国境の先住民の居住地域へは、公共交通 サービスがほとんどなく、移動にはチャーターを要するが、現地での公的領収書の徴収が困難な場合が多く、場合によっては調査者の旅費・日当から捻出せざる を得ない。国内外の旅行については安全でかつ安価な切符を入手し効率的な予算執行を心がけ申請書類の旅費の明細に真摯に反映させている。
その他の情報(1)
その他の情報(2)
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その他の情報
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Ainu Traditional Costume Design, cited from Mr. Reed's ELEMENTARY ART CLASS