かならずよんで ね!

共創イノベーションとはなにか?

What is Co-innovation in our University Campus?

池田光穂

日本におけるこれまでの、大学と企業のベンチャービ ジネスのほとんどは、それらのアクターの一方あるいは両方の知財侵犯により失敗するということである。そして、そのような失敗から、企業は、大学との連携 を嫌がり、べつの知的創造力をもつ企業を探すという。そして、大学は、ベンチャーが大学の金で運営しているために、企業損失には痛みを感じることなく、ま た類似のパートナーを探すという。このような状況が今後もつづけば、優良な私企業は(必ず実を結ぶという予測と確信がないかぎり)大学と絶対にパートナーになりたがらないだろう。

大学が無反省な理由は、失敗しても痛くないという無責任体質と、研究者の後半生をこれに賭けるという切迫感と情熱がそもそも欠けているからである。そのようなことでは、産学連携の文脈でも「破壊的イノベーター」は生まれない。

このような状況(=旧弊)を、破壊しないかぎり、大学と企業の良好な関係は絶対に結ぶことはできないだろう。そのような文脈(コンテクスト)を踏まえて、以下の文章を読んでみよう。

共創イノベーションの定義とはなにか? 「共創イノベーションへの挑戦」と銘打った大阪大学の産学共創本部(現:大阪大学共創機構)の広報ページから読み解いてみよう。

「『共創』を掲げる大阪大学は、産学連携の分野で産業界や地域と手を携え、共創イノベーションを目指す新たな取り組み」に着手し、「これまでの課題を克服し、近未来の社会課題解決と社会実装を通じた経済的インパクトの創出を図る」と記されている。すなわち、共創=「産学連携の分野で産業界や地域と手を携える」こと、とされている。共創イノベーション=上掲の共創の枠組みのなかでイノベーションすなわち「これまでの課題を克服し、近未来の社会課題解決と社会実装を通じた経済的インパクトの創出を図る」ことである。そして、共創テーマという用語を、同組織は位置づけている。すなわち「産学のニーズ・シーズに官民も一体となっ」た「社会課題(共創テーマ)」のことである。

■共創イノベーションに対する質問状

【質問】:プラットフォーム技術をベースに複数企業が参画する取り組みについて

「共創イノベーションへの挑戦」http://www.osaka-u.ac.jp/ja/news/snapshots/special_issue/research_topics_nl77/201710_special_issue01

「複数企業からの資金を集めることで、単独では困難 な高度な共通課題の検討、コストや時間のかかる研究活動、先進的機器の協働利用などを行い、産業界に成果を還元するしくみ」と、なっていますが、研究成果 がでない場合の(社会的名声の)リスクは本学がとることになるとは思いますが、拠出していただいた企業様には、事前にどのような契約を結んでいかれる予定 なのでしょうか?また大阪大学がなんらかの保険に加入して、そこからの失敗した時のコストを提供してくださった企業に賠償という形で支払うのでしょうか? なぜこのような質問をするのかと申しますと、研究資金の潤沢な大企業様では、そのような資金損失リスクは折り込み済みでしょうが、中小企業などは、大阪大 学に期待するいっぽうで、研究資金損失リスクをマネジメントできなくて、大阪大学の豊富な研究資源の協力を求めることができないという事情もあるのではな いでしょうか?

「地域に生き世界に伸びる」ことをモットーとする大 阪大学は、関西圏のさまざまな創意工夫のシーズのある中小企業界とどのように結びつくのかについては、上記のサイトの「近未来の社会解決課題や新たな価値 創出に資する全学的・学際的な取り組み」で大阪大学・企業・市民(国と自治体を含む)の三者が、「共創イノベーションプラットフォーム」を共有することで 「共創イノベーション」を生み出すと描かれております。大企業ではない中小企業では、上掲の作図では「企業」と「市民」の中間の位置に属するような中小企 業の位置づけをより明確にされると、より多くの、大阪大学との協働研究が広がるように思われます。

以上の点について、「大阪大学と関西圏の(研究上のさまざまなシーズをもつ優良で野心的な)中小企業とどのような関係を構築するのか?」について、貴部門・貴室のお考えやアイディアをお教えいただければ幸甚です。

【質問の背景】

大阪大学COデザインセンターの教員の調査チームが「次世代イノベーショ ン人材育成にむけた企業現場における高度汎用力教育の具体像に関するニーズ調査」(下記URL参照)を立ち上げました。

http://www.cscd.osaka-u.ac.jp/user/rosaldo/OSTEC_Innovation_andragogy.html

大学と各地の企業体と市民の三者の連携に、各地域の 全国地域技術センター連絡協議会との協力関係が欠かせないという認識をもっています。そのために、COデザインセンターは産学共創本部と、さまざまな大学 と社会の間の共創のモデルを構築し、それを実装してゆくこと、また、同時に、大阪大学の学生・院生たちに、そのような理念を教育を通して取り組んでもらう ことが大変重要であると考えております。そのような理念にもとづく純粋に知的な動機に基づく質問です。ご回答いただいた情報については、本調査活動に役立 てると同時に、調査のアウトカムについては、産学共創企画室との情報の共有を通して、より魅力的な大学運営に資するよう配慮いたします。

【その後】

これに関する、回答は得られなかった。そして、大阪大学共創機構(旧:産学共創本部)にアクセスするように指示された(2017年6月)。

● SDGsに配慮しないかぎり本物の共創イノベーションなどあり得ません!

大阪大学は、異なる領域の人と知識をつなぎ、社会課 題の解決や新たな価値の創造に向けて専門的知識を役立てることのできる高度汎用力(課題発見力、課題解決力、社会実践力)を備えた人材を養成するために、 2016年7月にCOデザインセンター(Center for the Study of Co*Design)[読み方は「こ・でざいん・せんたー」 である]を設立しました。学部生・大学院生の社会への幅広い関心と課題発見のための多様なスキルを学ぶ横断型高度教養・高度汎用力基礎教育プログラム「コ ミュ ニケーションデザイン科目」、Problem-Based Learning (PBL)も含む高度汎用力発展科目「COデザイン科目」からなるカリキュラムの開発・実施を段階的に進めています。社会イノベーション部門は、課題解決 の具体化に向けた産官学民のあいだの共創と協奏をつくりだすための研究教育を探究するセクションです。とりわけ2018(平成29)年度からは、部門全体 が一丸となって「SDGs達成に向けた高度汎用力教育開発」に取り組んでいます(→「SDGs達成に向けた高度汎用力教育開発」)。

上の画像あるいは「大学も持続可能な開発が必要です!」でリンクします!

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