かならずよんで ね!

ナチス・ドイツの優生学を学ぶ人のために

For students of the Nazi's Eugenics

Aktion 14f13用の移送バス

池田光穂

優生学とは、遺伝現象を利用して、優良な遺伝子をもつ子孫を次世代に反映させようとする一種の応用人類遺伝学のことである(→「優生学大全」)。またドイツでは、優生学のことを19世紀末に、アルフレート・プレッツとヴィルヘルム・シャルマイヤーによって19世紀末に構想された民族衛生学(Rassenhygiene)とほぼ同義であるとみてよい(→『新着情報』の水色の囲み記事の中に『優生学の現代』関連ののリンク集があります)。

このページは、大学生学部生が、ナチスの優生学 (Nazi's Eugenics)を勉強したい人したい、とくに、自学自習で学びたい人のために構想されました。想定している学生は、私の元職場の学生です が、みなさんの大学図書館でも手に入る邦訳を基礎としていますので、ぜひ、挑戦してください。

◎優生学とは?

優生學原理と人類遺傳學 / 古屋芳雄著, 雄山閣 , 1931
雄山閣から出版された「優生学講座」(1931-1933)の4冊のう ちの1冊。古屋芳雄(こや・よしお;1890-1974)は著名な解剖学者で、戦前はアイヌの身体計測(Rassenkunde der Aino)などをおこないドイツ語 で出版している。
14歳から考えたい優生学 / フィリッパ・レヴィン著 ; 斉藤隆央訳, すばる舎 , 2021
1 優生学の世界(科学的起源と社会的起源;優生学と社会改革 ほか) ▶ 2 優生学と知能(精神薄弱の定義と分類;社会環境の変化と知能 ほか)▶ 3 優生学と生殖(生殖を奨励する;生殖と積極的優生学 ほか)▶ 4 格差と優生学(民族衛生と、国家の概念;性別/ジェンダー ほか)▶ 5 一九四五年以降の優生学(ニュルンベルクの医師裁判とその影響;人口抑制 ほか)
日本の優生学 : その思想と運動の軌跡 / 鈴木善次著, 三共出版 , 1983.
優 生學概論 / 永井潜著(1947)は、上巻だけしか発刊されていない。▶ 1.欧化思想のなかの人種改良論、▶ 2.優生学の導入をめぐる議論、▶ 3.社会運動としての優生学、▶ 4.断種法制定をめぐって:人種衛生学(民族衛生学)と人類遺伝学。

近代日本の優生学 : 「他者」像の成立をめぐって  / 本多創史著, 明石書店 , 2022
ある人々を断種手術の対象として見なすのは、彼らが子孫を残すことは共 同体のためにならないと判断したからだ。では科学者たちはいかに彼らを“他者”として措定し、手術の導入を正当化したのか?日本で優生学が定着していく様 相を描きとった気迫の書。断種手術はいかに「常識」となったか?▶第1章 遺伝学と優生学—「進化学専攻」海野幸徳の選択▶ 第2章 接地—加藤弘之、井上哲次郎、永井潜の人間認識と提言▶ 第3章 興隆—優生学、政府調査会答申に盛り込まれる▶ 第4章 洗練—古屋芳雄による生物統計学の応用▶ 第5章 決定—浮上する断種手術▶ 第6章 主流派批判—木田文夫の思想の冒険

◎ナチス・ドイツとは?

ナ チス・ドイツの社会と国家 : 民族共同体の形成と展開  / 南利明著, 勁草書房 , 1998
ナチスの世界観とは何か。1933年の政権獲得後、それをどのように具 体化していったのか。教育、労働、刑罰、婚姻、人種政策などをトータルに検証する。▶︎ 合法革命︎▶︎ 血の基本原理に立脚した世界支配への意思▶︎ 戦いの第二段階としての民族共同体の建設▶︎ 運命共同体の建設▶︎ 運命共同体から種共同体へ▶︎ 種共同体の建設/ 補論:空間政策とユダヤ人政策に関するブロシャート説について
ナ チス・ドイツ : ある近代の社会史 : ナチ支配下の「ふつうの人びと」の日常  / デートレフ・ポイカート著 ; 木村靖二, 山本秀行訳、三元社 , 2005
日常史の視点からナチズムを検証し、近代の病理としてのナチズムの核心 に迫るとともに、近代そのものを問い直す国際的に高い評価を受けたナチズム研究の画期をなす書。▶︎ 第1部 例外状態下の「日常」(日常史—もうひとつの視点;産業階級社会の危機とナチズムの台頭)▶︎ 第2部 「民族共同体」と「民族反対派」のはざまで(「ふつうの人びと」の言動の矛盾;総統神話と日常の合意;第三帝国下のさまざまな紛争の領域 ほか) ▶︎ 第3部 「民族同胞」と「共同体の異分子」(民族共同体の理念と現実—社会的演出と私的なうけとめ方;秩序とテロル;社会政策としての人種主義 ほか) ▶︎ 補論にかえて 日常と野蛮—第三帝国の正常性をめぐって▶︎ 追補 歴史家論争で、かったのはだれか—歴史家論争は、歴史学がナチ時代を克服するうえで前進なのか、それとも後退なのか
わ が闘争(1,2,3) / アドルフ・ヒットラー著 ; 平野一郎, 将積茂共訳, : 黎明書房(→角川文庫) , 1961
第1巻: 罰▶︎ 第1章: 私の両親と家庭▶︎ 第2章: ウィーンでの勉学と苦悩の年月▶︎ 第3章: ウィーン時代に形成された政治的考察▶︎ 第4章: ミュンヘン▶︎ 第5章: 世界大戦▶︎ 第6章: 戦時プロパガンダ▶︎ 第7章: 革命▶︎ 第8章: 政治活動の開始▶︎ 第9章: ドイツ労働者党▶︎ 第10章: 崩壊の原因▶︎ 第11章: 民族と人種▶︎ 第12章: 国家社会主義ドイツ労働者党の初期構築段階▶︎ 第2巻: 国家社会主義運動(ナチズム)▶︎ 第1章: 哲学と党▶︎ 第2章: 国家▶︎ 第3章: 議題と市民▶︎ 第4章: 民族国家の特徴と概念▶︎ 第5章: 哲学と組織▶︎ 第6章: 初期の闘争 - 話し言葉の重要性▶︎ 第7章: 赤色戦線との闘争▶︎ 第8章: 強者は最強で孤独 第9章: 突撃隊の手段と組織に関する基本的概念▶︎ 第10章: 覆面としての連邦制▶︎ 第11章: プロパガンダと組織▶︎ 第12章: 労働組合問題▶︎ 第13章: 戦後のドイツ同盟政策▶︎ 第14章: 西洋の指導または西洋の政策▶︎ 第15章: 緊急防衛の権利▶︎ まとめ▶︎ 索引 (デジタルライブラリーにリンクがある「我が闘争(Mein Kampf)」)

◎ナチス・ドイツの優生学

ナ チスドイツと障害者「安楽死」計画 / ヒュー G.ギャラファー著 ; 長瀬修訳, 東京 : 現代書館 , 2017.1

ナ チ・コネクション : アメリカの優生学とナチ優生思想 / シュテファン・キュール著 ; 麻生九美訳, : 明石書店 , 1999

わ たしで最後にして : ナチスの障害者虐殺と優生思想 / 藤井克徳著, 同出版 , 2018

「生 きるに値しない命」とは誰のことか : ナチス安楽死思想の原典を読む / カール=ビンディング, アルフレート=ホッヘ著 ; 森下直貴, 佐野誠訳・著, 窓社 , 2001.

遺 伝管理社会 : ナチスと近未来 / 米本昌平著, 東京 : 弘文堂 , 1989.3. - (叢書・死の文化 ; 4)

ナ チス・ドイツと聴覚障害者 : 断種と「安楽死」政策を検証する / 中西喜久司著, 文理閣 , 2002

第 三帝国と安楽死 : 生きるに値しない生命の抹殺 / エルンスト・クレー著 ; 松下正明監訳, 批評社 , 1999

クローディア・クーンズ『ナチと民族原理主義』滝川義人訳、青灯社, 2006
▶プロローグ 民族の血統を信仰する—その意識の形成▶ 1 民族原理主義へ—血統の正義と良心▶ 2 フォルクに寄せる無限の信頼—道義の政治▶ 3 学問ふうの反ユダヤ主義—学界の味方▶ 4 ひそかに進む日常生活の変容—政治文化の征服▶ 5 フォルクという血の大河—民族の再生と人種主義者の懸念▶ 6 新しい教科書の登場—少年の心に刻むカギ十字▶ 7 官僚たちの迫害手続き—法と人種秩序▶ 8 大量虐殺を用意する学者たち—体裁のととのった人種主義を求めて▶ 9 「隣人愛」という大罪—人種の戦士たち▶ 10 排除を受入れた国民—銃後の人種戦争
From racism to genocide : anthropology in the Third Reich  / Gretchen E. Schafft, University of Illinois Press , 2004
From Racism to Genocide is an explosive, richly detailed account of how Nazi anthropologists justified racism, developed practical applications of racist theory, and eventually participated in every phase of the Holocaust. Using original sources and previously unpublished documentation, Gretchen E. Schafft shows the total range of anti-human activity from within the confines of a particular discipline. Based on seven years of archival research in the United States and abroad, the work includes many original photos and documents, most of which have never before been published. It uses primary data and original texts whenever possible, including correspondence written by perpetrators. The book also reveals that the United States was not merely a bystander in this research, but instead contributed professional and financial support to early racial research that continued through the first five years of Hitler's regime.
1. The Jews of the Tarnow ghetto
2. Anthropology in Germany before the Second World War: The Kaiser Wilhelm Institute
3. The rise of Hitler his embrace of anthropology
4. The discovery in the Smithsonian
5. Population selection and relocation in the midst of war
6. Anthropology and medicine in the Third Reich
7. The end of the war and the aftermath
8. Race and racism
9. Professional denial, civic denial and a responsible anthropology

●大戦間期から第二次大戦敗戦までのナチス優生学と人類学

1. はじめに——本研究の意義

2. 前史:大戦間期以前の優生学と人類学(アメリカ合衆国における優生学の隆盛;トゥーレ協会の知的源流など)

3. 政権掌握以降のナチスの人種政策と人類学:前期

4. 政権掌握以降のナチスの人種政策と人類学:中期

5. 政権掌握以降のナチスの人種政策と人類学:後期

6. 優生学の戦後

7. 結論:ナチス優生学と人類学

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