かならずよんで ね!

悪魔との契約

pact with devil

池田光穂

「悪魔との契約(悪魔との交渉)」はマイケル・タウ シグ『悪魔と商品の物神性』(1980)においてよく知られる議論である。ラテンアメリカの鉱山労働者やプランテーション日雇い労働者の間で、突然羽振り がよくなった仕事仲間は、突然死や失踪などその後の不幸な顚末を迎えるが、それは大切なものと引き換えに悪魔との契約をしたのだという一見すると「迷信」 のように思える人々の解釈である。しかし、タウシグはマルクス『資本論』における貨幣と資本の増殖性という「商品の物神性(フェティシズム)」を手掛かり にして、資本主義社会の外縁部でも悪魔(=資本家)との契約における羽振りが良くなる(=資本の増殖)という同型の現象がみられることを指摘している。我 々のみが信じている経済合理性を一般化することを「悪魔との契約」の理論は雄弁に語っている。「不法」移民労働を通してアメリカと接続する資本の流通は、 規模と速度において住民の解釈学を産ませるほどの規模なのかもしれない。

+++

「『南米の悪魔と商品崇拝』は、人類学に関する論争の書物であり、コロンビアとボリビアの農村およ び都市の労働者たちが抱く、一見魔法のような一連の信念の分析でもある。タウッシグの論争は、人類学の主たる関心事は西洋(特に資本主義)文化を批判する ことである、というものである。さらに、世界資本主義経済の周辺部に暮らす人々は、資本主義に対して批判的な視点を持っているため、自分たちの文化的な表 現を用いて資本主義に対する批判を明確に述べると主張している。 したがって、人類学者は、自分たちの文化に対する批判的な洞察力を得る方法として、世界資本主義経済の周辺部に暮らす人々を研究すべきであると結論づけて いる。つまり、この論争は人類学者の研究対象を他文化から自文化へと移し、かつての人類学の研究対象(先住民など)を価値ある批判的思考家として再評価す るものである。」https://en.wikipedia.org/wiki/Michael_Taussig

「タウッシグは、このアプローチを2つの信念に適用している。1つは彼自身のフィールド調査 と人類学者ジュン・ナッシュの調査の両方に基づく信念、もう1つは彼自身の調査のみに基づく信念である。1つ目は、コロンビアの半プロレタリア化した農民 (ボリビアの錫鉱山労働者にも同様のケースがある)が抱く信念である。サトウキビ切りをプロレタリア化した労働者は、悪魔と契約を結び、多額の金を手に入 れることができるが、その金は軽薄な消費財にしか使えない。また、切り手は早死にして悲惨な最期を遂げる、というものだ。タウッシグは、以前の人類学者 は、この信念は資本主義以前の文化の名残である、あるいは平準化メカニズム(仲間の中で誰一人として著しく裕福になる者がいないようにすること)として機 能すると主張していたかもしれないと示唆している。しかしタウッシグは、悪魔を通して農民たちは、資本主義は資本が生産的であるという魔法のような信念に 基づいているという認識を表明していると主張している。実際には資本主義は貧困、病気、死を生み出している。2つ目の信念は、資本が生産的であるという資 本主義の主張に対する農民たちの理解を示すもう一つの例である。すなわち、ある人々が、洗礼を受けるのは赤ちゃんではなくペソであるというスイッチを操作 するという信念である。その結果、お金は生き物であり、どのように使われようとも、もとの持ち主に戻ってくる。そして、もとの持ち主のもとに、より多くの お金をもたらしてくれる」https://en.wikipedia.org/wiki/Michael_Taussig


Links

リンク

文献

その他の情報

Maya_Abeja

Copyleft, CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j, 1997-2099

池田蛙  授業蛙 電脳蛙 医人蛙 子供蛙