かならずよんで ね!

身体技法

techniques du corpus, body techniques

池田光穂

身体技法(techniques du corpus)という用語は、マルセル・モースになる論考に由来するものである。モースによると、あらゆる身体の所作は、その担い手が属する文化の仲で コード化され、修得されていく、技法をこのように呼んだ。「身体技術」の名称も、理論的にはそれを継承しているが、本稿では「身体を護りながら発達させて い く」という点に、より多くの力点をおき、文化的なコードと同様に、生物学的な視点も加味している。

マルセル・モースは、入院した時に、看護婦(当時) の歩き方——たぶん腰の振り方——が、見覚えあるような気がしてならなかったが、その看護婦とは面識がない。そのあとで、彼女の歩き方は、ハリウッド映画 でみた、女優の歩き方と似ていると感じたそうだ。そこから、モースは、人は、心理的にアイデンティファイする人の、体の動かし方、つまり、身体技法 (techniques du corpus)が、意識的に学ばなくても、半ば無意識的に学んで、実際に身体の動かし方を通して、身についていくのだろうと、推測した。

実際に異性からのまなざしの中で社会生活をおくる (かつての)若い女性の所作は、そのようにして学んでいく可能性がある。また、ミラーニューロンの発見により、注視している身体所作と、その同じ運動領域 の神経活動が動いていない見守っている人の頭のなかでおこるという示唆は、人間の身体—神経細胞—人間のこころ、の連関性を示唆して余りある事例である。

ジェ ンダー、年代、セクシュアルアイデンティティ、 今の気分などにより、このマリリン・モンローの写真(あるいは、その近傍のBill Viola, b.1951)をみているあなたの神経細胞も多様な活動をしている可能性がある。写真は左より、マリリン・モンロー、ビル・ビオラ、そしてヒラリー・クリントンである。

ミラーニューロン論争:"A mirror neuron is a neuron that fires both when an animal acts and when the animal observes the same action performed by another.[1][2][3] Thus, the neuron "mirrors" the behavior of the other, as though the observer were itself acting. Such neurons have been directly observed in human[4] and primate species,[5] and in birds.[6] In humans, brain activity consistent with that of mirror neurons has been found in the premotor cortex, the supplementary motor area, the primary somatosensory cortex, and the inferior parietal cortex.[7] The function of the mirror system in humans is a subject of much speculation. Birds have been shown to have imitative resonance behaviors and neurological evidence suggests the presence of some form of mirroring system.[5][8] To date, no widely accepted neural or computational models have been put forward to describe how mirror neuron activity supports cognitive functions.[9][10][11] The subject of mirror neurons continues to generate intense debate. In 2014, Philosophical Transactions of the Royal Society B published a special issue entirely devoted to mirror neuron research.[12] Some researchers in cognitive neuroscience and cognitive psychology consider that this system provides the physiological mechanism for the perception/action coupling (see the common coding theory).[3] They argue that mirror neurons may be important for understanding the actions of other people, and for learning new skills by imitation. Some researchers speculate that mirror systems may simulate observed actions, and thus contribute to theory of mind skills,[13][14] while others relate mirror neurons to language abilities.[15] Neuroscientists such as Marco Iacoboni (UCLA) have argued that mirror neuron systems in the human brain help us understand the actions and intentions of other people. In a study published in March 2005 Iacoboni and his colleagues reported that mirror neurons could discern whether another person who was picking up a cup of tea planned to drink from it or clear it from the table.[16] In addition, Iacoboni has argued that mirror neurons are the neural basis of the human capacity for emotions such as empathy.[17]"

DeepLによる翻訳:ミラーニューロンとは、ある 動物が行動したときと、その行動を他の動物が観察したときの両方で発火するニューロンのことである。このため、このニューロンは、あたかも観察者自身が行 動しているかのように、相手の行動を「鏡のように」映し出す。このようなニューロンは、ヒトや霊長類、鳥類で直接観察されている。ヒトでは、運動前野、補 足運動野、一次体性感覚野、下頭頂葉でミラーニューロンの活動に一致するものが見つかっている。ヒトにおけるミラーシステムの機能は、多くの憶測を呼んで いる。鳥類には模倣的共鳴行動があることが示されてお り、神経学的な証拠から、何らかのミラーリングシステムが存在することが示唆されている。しかし、ミ ラーニューロンがどのように認知機能を支えているのか、広く受け入れられている神経モデルや計算論的モデルは今のところ存在しない。ミラーニューロンとい うテーマは、激しい議論を生み続けているのだ。2014年、Philosophical Transactions of the Royal Society B は、ミラーニューロン研究に完全に特化した特集号を発行しました。認知神経科学や認知心理学の研究者の中には、このシステムが知覚と行動の結合の生理学的 メカニズムを提供していると考える者もいる(共通コーディング説を参照)。彼らは、ミラーニューロンが他者の行動を理解し、模倣によって新しい技能を習得 するために重要である可能性を主張している。ミラーシステムは観察された行動をシミュレートするため、心の理論スキルに貢献するのではないかと推測する研 究者もいれば、ミラーニューロンを言語能力に関連付ける研究者もいる。Marco Iacoboni(UCLA)らの神経科学者は、人間の脳内のミラーニューロンシステムは、他人の行動や意図を理解するのに役立つと主張している。 2005年3月に発表された研究では、Iacoboniと彼の同僚は、ミラーニューロンが、お茶の入ったカップを手に取っている他の人が、それを飲むつも りなのか、テーブルから片付けるつもりなのかを見分けることができると報告している。また、Iacoboniは、ミラーニューロンが、共感などの人間の感 情能力の神経基盤であると主張している(→科学の語彙や科学の隠喩を解明する!)。

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●ルロア=グーランの『身振りと言語』

人類の進化の本質とは、突き詰めてみれば何なのか。 本書は人間を動物から区別する二つのもの「身ぶり」と「言葉」から、この大きな問いに迫ってゆく。ここで言う「身ぶり」とはたんなるしぐさに留まらない。 技術を含む文化的行動様式いっさいを含んでいる。二足歩行によって頭蓋と手足を発達させた人類が、いかにして「知性」を育み、記憶を外部のアーカイブに託 していったのか。その後の文明的価値観に大きな変更をもたらした新たな「欠乏と制御」とは。壮大なパースペクティヴのもと、人の進化に理論的かつ実証的に 迫った、スリリングな大著。章立て:第1部 技術と言語の世界—手と顔が自由になるまで(人間像;脳髄と手;原人と旧人 ほか) 第2部 記憶と技術の世界—記憶とリズムその1(記憶の解放;身ぶりとプログラム;ひろがる記憶) 第3部 民族の表象—記憶とリズムその2(表象の古生物学への序説;価値とリズムの身体的な根拠;機能の美学(感性論) ほか)

Leroi-Gourhan, with fellow archaeologists, outside the Altxerri cave

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