ゲイ・レズビアンからクイア・アイデンティティへ
Identity formations from the LGBTs
to the Queer
1. いきなり結論 [熊本の皆さんへ:いきなり団子のギャグですよ]——これは以前、熊本大学文学部(池田の以前の職場)で授業かゼミでおこなった資料に由来します。
これが「いきなり団子」です。
※輪切りにしたサツマイモと餡(小豆あん)を餅(ねりもち)、または小麦粉を練って平たく伸ばした生地で包み、蒸したおもに子ども向けの菓子
(1) identity politics (2) empowerment through come-out |
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(1)identity politics
(2)empowerment through come-out
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(1)アイデンティティ政治学 identity politics, where is your IP address ?
1.1 アイデンティティ概念の誕生
アイデンティティ概念の流行・感染・予後
1950年代エリクソン(Erik Erikson,
1902-94):社会的自我の形成、あるいは個人は共同体の価値観に自己を「同一化」させることを通して、自己を確立する(古典的意味ででの「アイデンティティ」)。(cf.革命的主体の形成:
ルカーチ理論)
アイデンティティ概念は、資本主義における「革命的主体」の類似概念である。ポスト冷戦期
には、一気に社会変革の鍵概念として、流通、濫用、誤用の定着
がおこなわれるようになる。
ジェンダーポリティクスにおけるセクシスト・テーゼ:「アイデンティティは金玉(男)であ る。アイデンティティは子宮(女)である」イデオロギーの蔓 延。
1.2 アイデンティティの操作性
すでにアイデンティティ概念の中に、(a)主体と(b)操作可能な社会表象(=社会の価値
観)が前提として用意されている。ところが主体概念のみが強調されて、後者の操作可能な社会表象の可能性が忘却される。したがって(a)>(b)の不等式
とその後の蔓延を生む。
(例外:フロム(Erich Fromm,
1900-80)ただしセクシュアリティに関してはストレート主義者;ライヒ(Wilhelm
Reich, 1897-1957))
アイデンティティの操作性が力を持ち始めるのは、言説生産に関する諸理論が一定の社会的認知
を獲得してから(グスタフ・ベルクマン→リチャード・ロー
ティの言う「言語論的転回」以降)。言
語を介して社会性を構築できるという信念の登場。これはマルクス主義の下部(=経済)構造決定論に、実質的にとって変わる。大学紛争時代におけるグラフィ
ティ、メディアの影響力など、社会を構成する[と信じられる]想像力の表象の転換。
言語活動と個人のアイデンティティが直結する(→カムアウト戦術へとリンク)。
■ アイデンティティの政治(→「アイデンティティ・ポリティクス」)
アイデンティティ・ポリティクスあるいはアイデンティティの政治(またはアイデンティティの政治学)とは、アイデンティティに基づく集団の 利益を代弁して行う政治活動のことである。ここで焦点化されるアイデンティティとは、ジェンダー、人種、民族、先住民、性的指向、障害などの、いわゆる社 会的不公正の犠牲になっている人々のカテゴリーのものであるが、必ずしも少数派である必要はなく、その集団が他の集団から特異な差異をもちうる時には、ア イデンティティに基づく集団の利益を代弁して行う政治活動が可能になる。社会的に抑圧されているアイデンティティ集団に属する人びとは、彼/彼女らに共通 の社会課題に取り組むため、それらのアイデンティティのもとに団結してすることがみられ、それが多数派にとっても、是正しなければならない課題になるとき に、その権力性を有効に発揮することができる。アファーマティブ・アクションはアイデンティティ政治が社会的不公正を是正し改善し時に立法化するために推 進する政治的威信行為である(→「アイデンティティ・ポリティクス」)。
Identity politics "refers to political positions based on the interests and perspectives of social groups with which people identify." - Wiki 英語
アイデンティティの政治(学)は「人々が同じ者どうしだと同一視する社会的グループの価値利 益と視座に基礎づけられた政治的態度(ポジション)をもとにする」(英語ウィキ)。
"L'identité politique est une forme d'identité sociale marquant l'appartenance à certains groupes ayant en commun une lutte pour une certaine forme de pouvoir." - Wiki フランス語
「政治的アイデンティティとは、ある種のパワーの形態に抗する闘争のなかで一般にみられるグ ループに所属することで特徴づけられる社会的アイデンティティの一形態である」(フランス語ウイキ)
■ 次項にも関連するが「再帰的近代化(Reflexive modernization)」についての知識があれば、この理解はもっと深まるだろう。
(2)カムアウトを通したエンパワーメント empowerment through come-out
エンパワーメントとは、もともと「開発学」分野などで使われてきた用語。(国際人道)援助の対象のように、最初からターゲット集団や属性を庇護者として保護的(パターナリズム)立場から保護、援助するだけでなく、当事者が直面している問題に、直接・間接的に対峙できるように、当事者の内面から「力」を伸展させる方法論の総称である。
ここでの問題は、カムアウト・カミングアウト・アクトアウトとよばれる、自己の外に言語行為(パフォーマティブな発話)をおこなうことが、なぜ、当事者たちにパワーをつけるのか?そのことについて理解する必要がある。
カムアウトは、隠されたネガティヴ・アイデンティティの暴露を通して、スティグマを逆に武
器にする戦術。したがって、カムアウトする目的はエンパワーメントにある(エンパワーメントが成功するかどうかは、それらの主体——
enpowermentは集合的社会行為である——が置かれた政治的文脈と主体の操作戦術において、さまざまな経過をたどる)。
象徴的行為としてのカムアウトは、マイノリティの強度が強いほど効果的だが、集合的行為として
のカムアウトには、カムアウト後に帰属できる集団の存在が
不可欠である。したがって、カムアウトは、アイデンティティ・ポリティクスに深く関与する。
エンパワーされるのは、狭義の主体のみではなく、行為主体、支援主体、関与主体
(agency)など、共同的諸主体ともいえる人間(ども)である。
カムアウトを通してエンパワーメントが市民権をもつのは、北米におけるエイズパニック (1980年代中葉)以降である(仮説)。エイズキルト運動には、 クイアネーション運動なども関与する。
2. いまなぜクイア共同体論か?
クイア共同体を論じる前に、まずコミュニティ概念をおさらいしておこう。コミュニティとはなにか?
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クイア理論(Queer Theory)についてはこちらを参照にしてください。【こちら】
"Queer theory is a field of critical theory that emerged in the early 1990s out of the fields of queer studies and women's studies. "Queer theory" can have various meanings depending upon its usage. Two common usages of queer theory include a (1) methodology for literary analysis and (2) a productive practice of theory. A literary methodology could include queer readings of texts, that is, textual interpretations which are presented from a queer perspective. While the theorization of 'queerness' works to produce ideas which relate to how queerness can be understood in various disciplinary contexts." -Queer theory - Wiki
"Heavily influenced by the work of Lauren Berlant, Leo Bersani, Judith Butler, Lee Edelman, Jack Halberstam,[1] and Eve Kosofsky Sedgwick, queer theory builds both upon feminist challenges to the idea that gender is part of the essential self and upon gay/lesbian studies' close examination of the socially constructed nature of sexual acts and identities. Whereas gay/lesbian studies focused its inquiries into natural and unnatural behavior with respect to homosexual behavior, queer theory expands its focus to encompass any kind of sexual activity or identity that falls into normative and deviant categories. Italian feminist and film theorist Teresa de Lauretis coined the term queer theory for a conference she organized at the University of California, Santa Cruz in 1990 and a special issue of Differences: A Journal of Feminist Cultural Studies she edited based on that conference.[2]"-Queer theory - Wiki
"Through the context of heterosexuality being the origin and foundation of society's heteronormative stability, the concept of queerness focuses on, "mismatches between sex, gender and desire"[3] Queerness has been associated most prominently with bisexual, lesbian and gay subjects, but its analytic framework also includes such topics as cross-dressing, intersex bodies and identities, gender ambiguity and gender-confirmation surgery. Queer theory holds that individual sexuality is a fluid, fragmented, and dynamic collectivity of possible sexualities and it may vary at different points during one's life.[4] Its criticism of stable (and correlated) sexes, genders, and sexualities develops out of the specifically lesbian and gay reworking of the post-structuralist figuring of identity as a constellation of multiple and unstable positions. Queer theory also examines the discourses of homosexuality developed in the last century in order to place the "queer" into historical context, deconstructing contemporary arguments both for and against this latest terminology."-Queer theory - Wiki
3. 今後の課題
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クイア・ネーションの市民であることと、コスモポリタンであることは、両立可能か?【実践論】
なぜ、カミング・アウトすることが、主体に「力」を授けるのか?【理論的課題】
これは私の「精神現象学」的課題でもある【私的な課題】
映画
『大阪ストーリー』
サイモン・アトキンス(カメラ)
中田統一→「映画を通して家族を考える」
勝利(弟)、京子(姉:長女)
日常の会話を通してみる、性に方向付けられた会話
7人キョウダイの3番目の姉、日本人と結婚、河合眼科
族譜をみるオヤジ
シシー:なよなよした男
1920-30 ハリウッド検閲に対する最初のプロテスト
1934 カトリック教会の圧力増す
1930-50年代 ジューブリニン→同性愛表現のカモフラージュ
隠されたものを共有する←→カムアウトと同じ
50年代は平和だけど退屈
テーゼ:映画は見たいものを変える。
クローゼットは、ゲイのアイデンティティ
ゲイのふりをするヘテロセクシュアル(イヴ・セジュック)
ゲイの解放:性的倒錯
クイアの二重のアイデンティティ
60年代のゲイ=希望なし、自己嫌悪=サバルタン性
ホモセクシュアル映画の登場
「ファゴット」蔑称
1982 メイキング・ラブ
セクシュアル・アイデンティティ=外部表象と一致(アイデンティティ・ポリティクスの問題へ)
Vito Russo(1948-1990)
【問題文】
『セルロイド・クローゼット』が主張するテーマのひとつは、映画表象とはつねに共通のメッ セージを伝えているはずであると言われれる映画が、実は鑑賞者のジェンダー/セクシュアリティの指向・嗜好によって多様に解釈されてきたという、あまり知 られることのない事実である。このことと制作者がいだく(ないしは意図する)ジェンダー/セクシュアリティの指向はどのような関連性をもつのか具体例をあ げて論じなさい。
Wood Carving Guanyin (Bodhisattva) of the Southern Sea, Chinese, 11th/12th century, Liao (907-1125) or Jin Dynasty (1115-1234).
Nelson-Atkins Museum of Art, Kansas City, Missouri
『プリシラ』
監督: ステファン・エリオット 製作: アル・クラーク、マイケル・ハムリン 製作総指揮: - 出演: テレンス・スタンプ、ヒューゴ・ウィーヴィング、ガイ・ピアース
『ピンクフラミンゴ』
映像資料:不詳
参考文献:『ジョン・ウォーターズの悪趣味映画作法』ジョン・ウォーターズ、柳下毅一 郎、青土社 1997年:『クラックポット ジョン・ウォーターズの偏愛エッセイ カルト映画の巨匠』徳間書店、1991年