このページは(旧版)文化人類学者の情報収集です
Collecting Information in the academic field for Cultural Anthropologists, Executive Summary
【文化人類学者の情報収集:フィールドワーク】→あたらしい「文化人類学者の情報収集」はこちらです!!!!
社会学者とならんで、そのオリジナルな活動を探検から調査へと転換させてきたのは文化人類学者(民族誌学者・民族学者)たちではあるが、 フィードワークは、社会学者や文化人類学者だけに独占されているものではない。だが、フィールドワークを専業としてきた民族誌学者たちは発達させた独自の 方法論という歴史的伝統を文化人類学者たちは受け継いできているのも事実である。また、今日におけるビデオ機材や録音器具の性能向上により、フィールド ワークの姿は技術革新の影響を受けたものになっている(→文献:佐藤郁哉,1992,『フィールドワーク』新曜社)。
■ フィールドワーク
■情報源
インタビュー[構造的/非構造的]:
参与観察:
対話・会話:
■情報を記録する技術
フィールドノート
録音器具:(例:テープレコーダー)
映像記録器具:(例:ビデオレコーダー)
■リンク先
文化人類学者が、どのような情報収集をおこなうかを理解する鍵は、まず民族誌がどのように書かれているのかを知ることである。民族誌は、研 究対象になった人びとの文化や社会が、文化人類学者が描きたいと考える筋書きに沿って書かれている。これは、民族誌が、文化や社会についての理論書である と同時に、文芸的作品として読めることをあらわしている。しかし、民族誌における文芸上の修辞(レトリック)は、あくまでも前者の<文化や社会についての 理論書>としての体裁を保証するための手段として使われていると考えるべきだ[少なくとも当面は]。
民族誌は、古典とよばれている主要な著作や論文がある(→ブックリストの【著作年表】・【名著論文選】を参照)。文化人類学者、それらの学界内部で敬意をもたれていたり、自分の興味に あった学派の著作や論文を手本にしたり、あるいは、文化人類学以外の著作や論文からインスピレーションを受けて著作や論文をまとめようとする。
従って、文化人類学者はその研究者の仲間でよく読まれている学会誌や研究雑誌、さらには著名な人類学者の著作を読むことに専念する。
■ アメリカ人類学協会(American Anthropological Association, AAA)
略号がAが3つ並んでいるので、トリプル・A[エー]とよばれることがある。アメリカのさまざまな人類学会をとりまとめている学会の連 合体でかつ、それ自体がひとつの巨大な学会。。ただし、応用人類学会(The Society for Applied Anthroplogy)だけは、これに所属していない。American Anthropologistを発刊。タブロイドのニュースAnthropology Newsもある。
■ 王立人類学協会(The Royal Anthropological Institute)
どうも欧米かぶれですんません。英国の、ということは社会人類学関連のリソース、Journal of the Royal Anthropological Institute (Incorporating 'MAN')やAnthropology Todayに関連した情報がわかる。
■ 日本文化人類学学会(Japanese Society of Cultural Anthropology)
日本の文化人類学者の学会である。『民族學研究』を発刊する。日本における文化人類学の成立には独特の経緯があるために、同学会員に は、日本人類学会、日本民俗学会(→これらは日本民族学会のブックマークにリンクがあります)に所属している人も多い。
■ 人 類学者バイオグラフィー・ウェブ(Anthropology Biography Web)
英語圏の人類学者に偏ってますが—もちろん人類学の最大のヘゲモニー言語は英語ですので—人類学者の伝記的事実、著作文献などをし らべ る優良のサイトです。人類学の歴史を勉強する人はハマりますよ。
■ カルチュラル・サバイバル(Cultural Survival)
地球上の先住民族との連携をとりながら、先住民族の権利の保護と伸長を試みている国際的組織です。実践派の人類学者たちにとっての 重要 な議論の場でありかつ情報源です。
■ アリアドネ
日本語で入れる人文社会系リンクに関するコンテンツとしては最良・最大サイト
■ アジア歴史資料センター(Japan Center for Asian Historical Records)
日本ならびにアジア近隣諸国の公文書類のデータベースとそれにリンクするデータベース。
■ インターネット・サーチ・エンジン
Anthropology
Resources on the Internet WEB RESOURCES for Cultural Anthropology |
■アンカバー
UnCover (c): 論文データベース
■人類学レビュー年報(Annual Review of Anthropology):
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【文化人類学の情報の加工】
フィールドワークで得た資料があり、さまざまな民族誌論文・著作を読んだ経験があっても、民族誌を書かねばただの調査ディレッタントで あ る。
自分が心酔している著者のスタイルをまねても、オリジナルの苦労仕事でも何でもいいから、民族誌を書かねば文化人類学者とは言えない。
しかし、民族誌学にもとづく論文や著作は、フィールドを知れば知るほど<書けなくなる>という逆説が、研究者のあいだではよく言われ る。調 べれば調べるほど、新たに調べる項目やテーマがどんどん増殖していくのである。
このため、欧米の研究者のあいだでは、調査期間が終わった博士課程の研究者は、すみやかに隠遁して比較的に集中して博士論文を書き上げ るこ とと助言する先達の人類学者も多いと言われている。そして、この助言は日本でも通用すると思われる。
民族誌論文でも著作でも、結局はアイディアが固まったら、どんどん書いてゆき、ある程度まとまったら、小出しに独立した論文にするか、 同業 者の集まる研究会や学会で発表したり、先達の人類学者に読んでもらって批判や助言を受けることである。
以上のような知的生産のプロセスは、フィールドワークで得たデータを実験室で得たデータだと考えれば、いわゆる実験系の研究者と同じプ ロセ スをたどって、論文生産にこぎつけていることになる。だから、文化人類学の論文生産は、外側をなぞれ ば実験系の科学者とおなじことをやっていることになる。ただし、実験とフィールドワークが根本的に異なることがある。それは、 フィールドワークの研究対象は、生身の人間であり、情報の質やその加工には倫理的な関係が生じるということである。もっとも、自然系の実験でも、人間を相 手にする医学研究における人体実験は当然のことながら、動物実験でも倫理要綱が定められており、なんでもありというわけではないことは当然である。
テーマ:文化人類学者の情報収集
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