はじめによんでください

シレンティアリウスと免疫

Silentiarius and social immunity system

池田光穂

シレンティアリウス(Silentiarius) は、ローマ帝国時代に存在した特殊な役割を帯びた奴隷(の役職)にもとづく役割のことで、人々が実践状況で規則を守るべきときに、取り締まる役割のことで ある。シレンシアとは沈黙のことであり、人称化した接辞がついて、静かにさせる人という意味になるらしい。

Silentiarius, Hellenized to silentiarios (Greek: σιλεντιάριος) and Anglicized to silentiary, was the Latin title given to a class of courtiers in the Byzantine imperial court, responsible for order and silence (Latin: silentium) in the Great Palace of Constantinople. In the middle Byzantine period (8th–11th centuries), it was transformed into an honorific court title. - Silentiarius, wikipedia

シレンティアリウスの存在で重要なことは、人々が社 会的秩序を守るために、すでに規則ひいてはその道徳を内面化しており、奴隷の身分であるシレン ティアリウスの指示に素直に従うという行動原則が確立しているということなのである。人々は、力があったり、恐い人、あるいは権力や暴力的パワーをもつ人 から命令されるから、人は秩序を守っているわけではない。また、そのような命令やそれを守らす権威がなければ、人々は簡単にカオス状態になってしまうの だ、と いう考えも[完全に]正しいとは言えないことを教えてくれるからである。

「ある状況できびしい規制(あるいはゆるやかな規制 が規則正しく繰り返される時に、その状況で規範的安定性がみられるのは、公式あるいは非公式的に「秩序」を守る使命をおびた監視人の存在があったからであ る。すなわち、ローマ帝国時代にはシレンティアリウス(Silentiarius)と呼ばれる奴隷がいて、他の奴隷がたてる騒音を規制して いたという。現代では、社交界のシャペロン*、競技の審判、保育園の保育士、裁判官、警官、病棟の看護師、劇場の案内係がこの機能を果たす」(ゴッフマン 1980:224、訳文は変えた:Goffman 1963:210)。

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