多元化する日本社会の試練
学校文化のなかでの多文化主義
08学校文化のなかで多文化主義とは対極に立つ「三重の ハードル」
「第一のハードルは「同化をしいる組織風土」であって、日本の社会や文化のなかにある「集団義」や「同調主義」が「一斉集団主義」や「奪文化 化」として学校に現れる。第二のハードルは「個人化する教師のイデオロギー」と志水が呼ぶものであって、「異質性」を極力排除しようとする「脱文脈化」と 同質的集団の一員として扱う「同質化」のもとに、問題解決を外国人の子どもの努力や心がけの変化へと「個人化」しようとする。第三のハードルは「ソフト化 を進める教育改革のトレンド」であって、そのもとで外国人の子どもが「ゆるやかな拒絶」によっておき去りにされる危険性がある。この三つのハードルを別の 視角からみているのが志水の引用する児島明の議論であって、教師たちは「外国人を特別扱いせず、生徒としてみんな一緒に扱う」という「差異の一元化」と 「外国人だから仕方がない」とする「差異の固定化」を学校で使いわけているとする、なお、ここでみたような公立学校にみられるような多文化化を抑止する要 因は、日本社会のあらゆる部面に大なり小なり存在していると考えられる」。(駒井 2006:63-64)
駒井洋「人権を重視する受け入れ体制」(第2章)『グローバル化時代の日本型多文化共生社会』明石書店、2006年
クレジット:多元化する日本社会の試練:学校文化のなかでの多文化主義