多元化する日本社会の試練
渡日外国人に対する人権侵害
「人権無視がもっとも強くみられるのは、法的保護をほとんど受けることのできない非正規滞在者である。非正規滞在者は医療保険への加入ができないため、治療費は全額自己負担となる。ところで、一九九〇年厚生省は、非正規滞在者にたいする生活保護の適用は妥当ではないとする指示をだした。その結果、非正規外国人が負担できない高額医療費を生活保護費で補填することが不可能となり、多くの病院での診療拒否が多発することとなった。なお、一九九五年の東京地裁の判決は、非正規滞在者が国民健康保険に加入できないことを再確認した」(駒井 2006:49)。
駒井洋「人権を重視する受け入れ体制」(第2章)『グローバル化時代の日本型多文化共生社会』明石書店、2006年