ナッジ・アーキテクチャー
Nudges Architecture inspired by Richard Thaler and Cass Sunstein
Nudges Architecture inspired by Richard Thaler and Cass Sunstein
N: Incentives
U: Understanding mappings
D: Defaults
G: Give feedback
E: Expect error
S: Structure complex choices
ナッジとは、リチャードセイラー(Richard Thaler, 1945- )とサンスティー ン(Cass R. Sunstein, 1954- )『実践行動経済学』 の原著タイトルのことである。英単語の nudge とは、ひじで軽くつついて相手に何かを知らせたり、相手の背中をやさしく押して前に進めることを言います。彼らは、経済学の政策に、行動経済学の知見—— ダニエル・カーネマン(Daniel Kahneman, 1934- )のプロスペクト理論(Prospect theory)がその例——を導入して、人びとの選択をよい方向にもってゆくように、ナッジすることを提唱します。
一見、よく分からない表現ですが、な んでも規則や原則によって縛る日本とは異なり、米国では、選択の自由や、強制されない権利を重要視する伝統があります。その最たるものが、武装して自分の 私的財産を守る権利、つまり銃砲の合法的所持によく現れています。一応、理念的には武装して自分たちを守る権利やその選択を保証すべきだという発想から来 ています。また、公的な保険医療制度になじんだ日本人にはよくわかりませんが、政府が資金つまり税金をつかって、人びとの治療やケアのために平等に資金を 動員することに快く思わない人が多いのです。自分の健康は自分で守るべきだとか、治療のオプションが選択できずに、国家が規定した最低の治療方針にしたが う強制を嫌います。いわゆる「自己責任論」が強い面もあります——ただし米国に保険がないわけでなく私企業が提供している個人の医療保険や年金が主流で す。
セイラーとサンスティーンは、そのよ うな自由主義(Liberalism)あるいは自由放任主義(リバータリアニズム;Libertarianism)が多いなかでも、政府が国民に不平等にならず個人の自由意志を尊重するための政策方針を、「リバータリアン的パターナリズム(Libertarian paternalism)」といいます。パターナリズムとは、その当人のことを慮ってより大きな枠組みのなかでその当人にあれこれ世話を やく方法です。したがって、リバータリアン的パターナリズムには、お互いに矛盾している(「撞着語法」といいます)面もあります。したがって、矛盾し てもなお、自由意志を尊重しながらも、政府は政府でしっかりと国民によい「選択」を選んでもらうように「軽く(背中を)押す」という方針を、彼はとりま す。それは、個人への強制や命令ではなく、上記の行動経済学から導きだされた「経験的」あるいは「実験的」な選択の結果を予測して、政策に援用する方法で す。
実際に、キャス・サンスティーンは、 オバマ政権での行政管理予算局情報規制室の室長をつとめていたという(カーネマン 2014(下):254)。
以下、用語集
■筒井義郎&山根承子の『図解雑学・行動経済学』(ナツメ社、2012年)の目次
●クレジット:池田光穂「ナッジ・アーキテクチャー」Nudges Architecture inspired by Richard Thaler and Cass Sunstein, このページは、学生をナッジしてあげればいいわけね!と訳知り顔で職場のバカが言うので、ほんまかいなと思い、ナッジの本を読んで作ったものです。
リンク集
Bibliography
Copyleft, CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j, 1997-2099
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