序論「歴史学の運命」
Lynn Hunt's "Writing history in the global era"
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・グローバル時代における歴史叙述について考える。 ・グローバリゼーションは、歴史学を活性化するか? ・それとも西洋の思考モデルを世界の隅々にまで届ける(支配する)ことか? |
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・歴史学の危機 ・何に役立つかという審問がつねになされる ・19世紀にハーバード大学は、男子学生しか入学が許されず、古代ギリシアやローマの歴史が必須として教えられていた。 ・ラテン語とならんで、それまでのリベラルアーツの必修科目としてあった。 |
・「何に役立つかという審問」
に対する人文社会科学の側からの回答は、それに直接答えず(1)「役に立つように自分たちの学問を変容させよう」という努力か、(2)「役に立たないのが
私たちの学問」と居直ることで、「なぜ君たちは役に立つことを強迫的に我々に審問するのか?」という反撃に向かわなかった。 |
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・19世紀後半から20世紀前半の歴史学は「国民に対する教師」としての機能化する(→「想像の共同体」) ・大学における歴史学の地位の向上→国民史( national history)が支配的になり、古代ギリシアや古代ローマ史を凌駕するようになる。 |
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・諸国民の歴史が、緊急性と目的性を帯びるようになる——国民の基礎教育に受けるべきであるという発想が登場する ・国民皆教育制度 ・多様な階級、民族、地域集団からなる国家を統合するには「国民勃興の物語=ナショナル・ヒストリー」は必要とされた。 |
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・歴史学とナショナリズムは不可分に発達してきた ・古い起源をもつ国民国家もアイデンティティ強化のための歴史学を必要とする。 ・法案659号、歴史教育を強化して国民強化する。S.659 - Improving the Teaching and Learning of American History and Civics Act of 2009、111th Congress (2009-2010)、Senator Lamar Alexande (1940- ) |
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・新興国、体制が変わった国家では、教育における歴史学の位置が向上する(例:ウクライナ) |
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・歴史教育と国民史はパンとバターの関係だ ・フランス、ドイツ、英国 ・インド、中国 ・オーストラリアの事例 |
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・国民史そのものも変化している ・エリート史から社会史への変化、それは誰が大学で学んでいるのかということにも関係する |
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・ソブール『共和暦2年のサン・キュロット』、E・P・トムスン『イングランド労働者階級の形成』 ・社会の底辺の人たちの歴史変革を無視できなくなる。 ・トムスンの著作はインドにも影響を与える |
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・労働組合、フェミニズム、マイノリティ運動と社会史 |
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・歴史の目的についてのコンセンサスも掘り崩される |
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・歴史学者たちが、さまざまな社会科学の理論を取り入れるようになる ・近代化論、とりわけマルクス主義の影響 |
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・トムスンやソブールの研究のなかに、文化への関心の低下があきらかになる。また、そのような著述家たちもまたその文化への理解のハンディを乗り越えようとする |
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・ウェーバーと近代化論。ウェーバーは伝統的形態そのものを擁護はしなかったが…… |
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・文化への着目は、歴史学が袋小路から抜け出る方策 ・ただしやがて、文化理論の影響力も衰退する |
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・文化理論にかわって浮上するのが、グローバリゼーションの現象である。それは文化に対する代替的理論提供になりつつある。 |
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・グローバリゼーションは唯一可能なオルタナーティブではない ・本書の構成 |
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・歴史学も歴史家も変化している(同じものではない) |
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