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メディアとは伝達手段のことである

Media are means of mass communication (broadcasting, publishing, and the internet) regarded collectively. Medium is Messageマーシャル・マクルーハン


池田光穂

メディアとは、マス・コミュニケーションにおける手段(放送、出版、インターネット)を総称したものである。Media are means of mass communication (broadcasting, publishing, and the internet) regarded collectively.

メディアは英語の複数形であり、その単数形はメディウム(medium)である。メディウムとは「何かをするためのエージェンシーまたは手段」のことである。

また、マーシャル・マクルーハンに言わせれば「メディアはメッセージである」と同時に「メディアはマッサージである」。

キットラーによるメディアの定義とは「ある所与の文化において、有意味なデータをアドレ ス指定して送り、記録保存し、処理することを可能ならしめる諸技術と諸制度のネットワーク」のことである。出典:『書き取りシステム1800・1900』邦訳書解説 (p.769)

ちなみにメディアとは媒介や媒体のことである。食塩 水を例にとると、食塩は媒質(ばいしつ)で、お水は媒体(ばいたい)である。両方とも物質なのではあるが、人は味をつけたり何かの用途を使うために塩を使 うことを目的として、お水に溶かして使う手段として使う。そのために、メディア(=新聞)はメッセージ(=戦争が起こった!!)を伝えるための媒体であ り、メディアとメッセージを区別しなければならない。にも関わらず、マーシャル・マクルーハンは、 メディアとメッセージは同じだと宣う。まさか?!と誰しもが思うであろう。

まさか?!と思う人は、1)古典的イメージでメディ アを理解している 人か、2)メディアがもつ社会性について理解が行き届かない人、であろう。

つまり、こういうことだ。メディア(情報媒体)自体 にメッセージ性を帯びるわけだから、「コンテンツなど必要ない」という意味に理解できるからこれは、ナンセンスである(「古典的メディア理解の人」)。

たしかにその通りである。だが、常識で考えてみよ! メディアにコンテンツがのっていなかったら、それはただのホワイトノイズである(「コミュニケーション」過程に関する下記を参照)。

もちろん、ホワイトノイズすら、芸術表現のコンテン ツになることがある……

The sky above the port was the color of television, tuned to a dead channel. - William Gibson, Neuromancer, 1984(「港の空の色は、空きチャンネルの合わせたTVの色だった」(黒丸尚 訳))

メディアは発せられた時に、すでにコンテンツが搭載 されているものなのだ!(そこでは「ノイズ」ですら「余計だが思わぬ効果をもたらす」コンテンツになる:上掲のギブスンの表現)

コンテンツのないメディアなど存在しないし、コンテ ンツのないメディアは、土管のなかの水あるいは空気(ことによればエーテル)にすぎない。

コンテンツのないメディアの代表格は光ファイバーを 経由する光がそれに値する。もちろん、光ファイバーを経由する光情報は、適切にエンコード/デコードされるだけで、夥しい情報量をもつコンテンツであるこ とが判明する。

しかしながら、それが光ファイバーが切断され、暗闇 の中で、ハッカーやテロリストの顔や指先を照らしだす時、それはメディアになる。

光ファイバーのことなど、生前にまったく知らなかっ たマー シャル・マクルーハンは、次のようにすでに、喝破していた。

電気の光はコンテンツのないメディアの代表である。 しかし、それが何かを照らす時、その照らされるものがコンテンツそのものなのだと(McLuhan 1964:23-24/邦訳 Pp.8-9)(レヴィンソン 2000:23)

マクルーハンは、メディア論の議論で革新的なことを 2つ主張している。そのひとつは、メディアはメッセージである(ただしすべてのメッセージは必ずしもメディアではない)。その意味で、(英語という)言語 もまたメッセージである。そして、メディアは、身体を拡張する、あるいは、身体感覚を拡張するということだ。



●マクルーハンの「メディアはメッセージ」のテーゼ (命題)が本当に効きだしたのは、SNSの時代からである

SNSとはソーシャル・ネットワーキング・サービス (Social Networking Service)の頭文字をとったものだ。頭文字をとる表現法をアク ロニム(acronym)という。ツイッ ター、インスタグラム、フェイスブックなどが有名である。中国では、新浪微博(Weibo)、百度贴吧(Baidu Tieba)などのサービスが人気がある。

従来のメディアとは、かつて新聞やテレビなどの、マ スメディア(Mass Media)——文字通り大規模メディア——の ことを指していた。それがインターネット(Internet) の普及により、誰もが情報発信することができ、これまで無名だった個人が、ある日突然に有名になることも可能になった。もっとも「有名」になるというの も、クセものだ。かつてのタレント業は虚業と呼ばれたが、いまやセレブのみならず、誰もが、「SNSの自分」と「ほんものの自分」の間を演じ分けなければ ならないからである。

おまけに、あまり頭が賢くないネーミングだが「メディア・ミックス手法」というのもある。これは「メディアはメッセージである手 法」と言っても過言ではない。

リンク

文献

メディアの理解』の各章のリスト

PART I 1

Introduction 3
1 The Medium is the Message 7
2 Media Hot and Cold 24
3 Reversal of the Overheated Medium 36
4 The Gadget Lover: Narcissus as Narcosis 45
5 Hybrid Energy: Les Liaisons Dangereuses 53
6 Media as Translators 62
7 Challenge and Collapse: the Nemesis of Creativity 68

PART II 81

8 The Spoken Word: Flower of Evil? 83
9 The Written Word: an Eye for an Ear 88
10 Roads and Paper Routes 97
11 Number: Profile ofthe Crowd 115
12 Clothing: Our Extended Skin 129
13 Housing: New Look and New Outlook 133
14 Money: the Poor Man's Credit Card 142
15 Clocks: the Scent of Time 157
16 The Print: How to Dig it 170
17 Comics: Mad Vestibule to TV 178
18 The Printed Word: Architect of Nationalism 185
19 Wheel, Bicycle, and Airplane 195
20 The Photograph: the Brothel-without-Walls 204
21 Press: Government by News Leak 220
22 Motorcar: the Mechanical Bride 236
23 Ads: Keeping Upset with the Joneses 246
24 Games: the Extensions of Man 254
25 Telegraph: the Social Hormone 267
26 The Typewriter: into the Age of the Iron Whim 281
27 The Telephone: Sounding Brass or TinklingSymbol? 289
28 The Phonograph: the Toy that Shrank the National Chest 300
29 Movies: the Reel World 310
30 Radio: the Tribal Drum 324
31 Television: the Timid Giant 336
32 Weapons: War of the Icons 369
33 Automation: Learning a Living 378

その他

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シャノンとウィーバによるコミュニケーション図式