医学=医療
medicine, medical practice
A short history of medicine / by Charles Singer and E. Ashworth Underwood, 2nd ed. - Oxford [England] : Clarendon Press. - New York : Oxford University Press , 1962
★☆ 医学(Medicine)とは、患者をケアし、その傷病の診断、予後、予防、治療、緩和を管理し、健康を促進する科学[1]および実践[2]である。医学は、病気の予防と治療 によって健康を維持・回復するために発展してきたさまざまな医療行為を包含している。現代の医学は、傷害や疾病の診断、治療、予防のために、生物医学科 学、生物医学研究、遺伝学、医療技術を応用しており、一般的には医薬品や外科手術が用いられるが、心理療法、外反器や牽引、医療機器、生物学的製剤、電離 放射線など、多様な療法が用いられている[3]。 医学は先史時代から実践されており、そのほとんどの期間、それは芸術(創造性と技術の領域)であり、しばしば地域文化の宗教的・哲学的信念と結びついてい た。例えば、薬師が薬草を塗って治癒の祈りを捧げたり、古代の哲学者や医師がユーモアの理論に従って瀉血を施したりする。近代科学が登場して以来、ここ数 世紀、ほとんどの医学は芸術と科学(医学の傘の下で、基礎と応用の両方)の組み合わせになっている。例えば、縫合糸を縫う技術は練習によって習得される芸 術であるが、縫合される組織の細胞レベルや分子レベルで何が起こっているかについての知識は科学によってもたらされる。 現在では伝統医学や民間療法として知られている、科学的根拠のない医療は、代替医療と呼ばれている。倫理的、安全性、有効性に懸念がある科学的医学以外の 代替医療は、ヤブ医者と呼ばれる(→「医療・医学・メディシン」「「医療」の概念についての覚書」)。
ロナルド・デイヴィッド・レイン(Ronald David Laing, 1927-1989)は、メディシンに対してこういう。
「医学=医療(メディシン)」という用語がくせものである(レイン 1986:
8)。
タルコット・パーソンズ(『社会体系論』1974[1951])は、医療実践(medical practice)を次のように定義している。
『個人の健康の撹乱つまり 「病気」とか「やまい」をうまく処理することを指向する」行動や実践である(パーソンズ 1974:425)。
しかし、医療や健康を社会構造との関連について考察する意図をもった彼は、医療実践の社会的意味 づけについて解説した後に、医療[実践]の定義を次のように言い換える。
つまり、医療実践とは「社会 体系の成員の病気をうまく処理するための社会体系の「メカニズム」である。それは、これから分析する一組の制度化された役割を含んでいる。しかしこのこと もまた、近代社会の全般的な文化的伝統の一定の側面との特殊な関係を伴っている。近代医療は、病気と健康の問題に対する、「疾病」の制御にたいする科学的 知識の応用を中心として編成されている」(パーソンズ 1974:427)。
ここで、彼は、医療を徹底的に社会的な逸脱(=逸脱としての病気)の管理メカニズムとしてみな
し、その構成概念を社会的なものとして理解している。
医療は、社会生活から遠く離れた、学問的真理を探究する装置ではないことが、彼=パーソンズの定 義から明らか になる。
リンク
文献
その他の情報
文献