かならず 読んでください

学部生および大学院生が参加する「よい」相互作用を引き出すコミュニケーションを設計する

     「それはともかく、君のレクチャーを活気づけるのか?それとも君の学生たちを活気づけるのがいいのか?」

     Planning communication-design for "good" interactions among undergraduate and postgraduate participants

     "Anyway which is better animating your lecture or activating your student corps?"

池田光穂

Summary;

大学および大学院における対話型授業や能動学習の意 義に関する議論はすでに出尽くした感がある。問題はその研究方法やその帰結としての分析の多様性であり、相互作用型の授業設計のコミュニケーションデザイ ンの専門家たちによる〈恣意的な処方箋〉あるいは〈お手軽なレシピ〉の類である。複数の要因が複雑に交錯する偶発的な要因によるものと思われる成功例が 〈恣意的な処方箋〉として定番化するプロセスに関する考察をおこなう。

 コミュニケーションデザインに関するテーゼ

    1. 現今のデザイン論的転回について述べる。そして、そこで何が授業の現場で起こっているのかを思想史的に解明——人類学的に解釈——するこ とである。
    2. デザイン論的転回の起源や、そこで現代人が何を考えているのかについて抽出する
    3. デザイン的発想の対極にある、エマージェンス(emergence, 創発)/エマージェント(emergent)な事態を「対照化」する
    4. デザイン的発想の歴史的根源に、超越論的な神の創意をみる。近代以降は、神の役割を人間が担うようになった。それが近代啓蒙の発想の起源
    5. 生命現象、組織現象、情報工学(セルオートマトン等)における「エマージェントなもの」と「デザイン的発想や制御思想」を二元論的に見る 観方が古くある
    6. 他方、その発想を調和させる発想としての、コミュニケーションデザインがある。コミュニケーションは創発的なもの、デザインは制御や設計 の発想である。
    7. 従って、コミュニケーションデザインとは、創発性の管理思想である
    8. 他方、創発性には必ず「制御できない」「予測できない」性質がある——だから、それを人は創発性と呼ぶのである。
    9. 創発性万歳の思想をつきつめれば、なんでもあり(anything goes)である(→科学において認識論的アナーキスト、ができるまで)またそのことに畏れてはな らない。
    10. 管理の発想を推し進めれば、従来の講義室でのレクチャー一辺倒の授業に戻ってしまう。だから、創発性をデザインしようという発想が登場す る。
    11. コミュニケーションデザインは、創発性万歳の思想には強い親和性を持たず、むしろ、「よき管理」に傾斜することを余儀なくさせる。なんで もあり(anything goes)への畏れがある。
    12. なんでもあり(anything goes)への畏れは、同時に、より上位の権力管理者(ないしはエージェント)から管理されないようにする防衛から生まれている。
    13. このような防衛こそが、コミュニケーションデザインを、管理された中での自由と創発性を「制度的に」保証する強力な場を形成することにな る。
    14. 証明終わり(Quod Erat Demonstrandum)

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 こんな教師には要注意だっ!(13のタイポロジー)(cf. ワーマン 2001:98-108)

    1. 失敗したことに対する良い訳を用意するタイプ
    2. 俺/私は偉い、君に説明するヒマはないと言い放つタイプ
    3. 危機管理のスローガンだけを声高に言うタイプ
    4. 授業が完結する前に、別の話題を持ち出し脱線するタイプ
    5. 学生の理解のレベルを知りたいあまりに詮索しすぎるタイプ
    6. ちょっと俺/私にやらしてみなさいと指導したがるタイプ
    7. この授業が好きならできるはず!根性中心タイプ
    8. とにかく、おもしろいと連発しすぎて、何がおもしろいのか説明しないタ イプ
    9. 言葉で説明できずに叱る馬鹿タイプ
    10. 言われたことしかやらないのか?と叱責するタイプ
    11. 以心伝心、学生たちの忖度するのが好きで、その逆に、学生たるもの教師 の真意を忖度すべきだとする自己中タイプ
    12. あとすこし、あとすこしと励ますが、どこが終着点かを示さないタイプ (事後的に嘘つき認定されちまう)
    13. 失敗がなんだ、どんどん失敗しろと励ましているようで、失 敗の原因に解説しないので学生が辟易するドンマイ連呼タイプ

なにを考えないとならないのか?

 教育の伽藍とバザールに関する19のチップ集(→出典:よい対話型教育プログラムのつくりかた

    1. よい教育プログラムはすべて、教育者の個人的な悩み解消からはじまる。
    2. なにを教授すればよいかがわかっているのがよい教師、なにを修正すればいいかがわかっているのが、すごい教師だ。
    3. 捨てる内容をあらかじめ用意しておく。いやでも捨てることになるから。
    4. まともに行動すれば、むこうが問題を持ち込んでくれる。
    5. ある教育プログラムに興味をなくしたら、それを優秀とおもう教員に引き継ぐべし。
    6. 学生(生徒)を授業の共同参画者として扱うのは、教育プログラムの高速改良と、プログラム上のエラーを学生じしんが発見してくれる楽な方 法だからだ。
    7. はやめのプログラムデビュー、頻繁なプログラムの改良、そして、学生の声を聴くこと。
    8. 第三者の参観とコメント聴取について、広い心と寛容性をもっておけば、ほとんどの教授法にかんする問題はすぐに見つけ出されて、その改良 の方法は、教員のみならず学生にもわかるようになる。
    9. よく練られた授業の時間構造と、まぬけな解説フレーズのほうが、その逆よりもよっぽどまし。
    10. 第三者の参観とコメント聴取を大切に取り扱えば、向こう(第三者のスーパーバイザー)も我がことのように真剣に助言することで報いてくれ る。
    11. 良いアイディアを探す次善の策は、いうまでもなく君自身だけではなく、学生(生徒)の声に耳を傾けることである。時には、後者のほうが役 立つこともおおいにある。
    12. もっとも革命的な解決策のなかには、自分のそれまでの考え方そのものが間違っていたという認識からやってくることが、しばしばある。
    13. 教育プログラムの真の「完成」とは、もう何も付け加えることがなくなった時ではなく、なにも取り去るものがなくなった時である。
    14. 教育で使うツールはすべて期待通り機能してくれないと困るが、すごいツールは予想もしないことで役立つことがある。
    15. 学生(生徒)とのコミュニケーション技法を授業で実装する際には、連続的に与えられ時間順に整列されている(すなわち時系列上の)状況へ の干渉は最低限にするように必死で努力せよ。またそこから得られる実装時でのデータ収集と(事後的な)分析は怠ってはならない。
    16. 自分の教育プログラムの説明概念や理解が厳密な意味での論理整合性に叶っていない時には、逆にアバウトな構造を先に伝えることが重要だと 思い直すと、気分が楽になる。
    17. 自分の教育プログラムが魅力的だと感じ、それを秘技として特許化するような認識を持ったままだと、それまで自分がさまざまな人たちから助 けられてきた学習の構図に対して無反省になるだけだ。君の授業の内容が秘密にするぐらい魅力なのではなく、君のやり方がたぶん魅力になったということなの だろう。君の知識は譲渡できるが、君の魅力は譲渡できないからね。授業の魅力の本質を間違ってはならない。
    18. 面白い授業上の問題を解決するには、まず自分が授業のなかで見つかった面白い問題の発見からはじめることにしよう。
    19. 授業改善のノウハウは個々の教師のなかにあるので、授業改善について議論するためには、君と同じような境遇をもつ人とより多く議論するこ とが近道になるはずだ。

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For all undergraduate students!!!, you do not paste but [re]think my message. Remind Wittgenstein's phrase,

"I should not like my writing to spare other people the trouble of thinking. But, if possible, to stimulate someone to thoughts of his own," - Ludwig Wittgenstein

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