よい対話型教育プログラムのつくりかた
How to elaborate
your dialogic classroom
よい教育プログラム:チップス集[pdf版はこちら]
以下の文章19項目は、エリック・スティーブン・レイモンド『伽藍とバザール』山形浩生訳、光芒社、 1999年より発想を得て、まったく違 う観点から池田が書いたものである。
1.よい教育プログラムはすべて、教育者の個人的な悩み解消からはじまる。
2.なにを教授すればよいかがわかっているのがよい教師、なにを修正すればいいかがわかっているのが、すごい教師だ。
3.捨てる内容をあらかじめ用意しておく。いやでも捨てることになるから。
4.まともに行動すれば、むこうが問題を持ち込んでくれる。
5.ある教育プログラムに興味をなくしたら、それを優秀とおもう教員に引き継ぐべし。
6.学生(生徒)を授業の共同参画者として扱うのは、教育プログラムの高速改良と、プログラム上のエラーを学生じしんが発見してくれる楽な方法 だからだ。
7.はやめのプログラムデビュー、頻繁なプログラムの改良、そして、学生の声を聴くこと。
8.第三者の参観とコメント聴取について、広い心と寛容性をもっておけば、ほとんどの教授法にかんする問題はすぐに見つけ出されて、その改良の 方法は、教員のみならず学生にもわかるようになる。
9.よく練られた授業の時間構造と、まぬけな解説フレーズのほうが、その逆よりもよっぽどまし。
10.第三者の参観とコメント聴取を大切に取り扱えば、向こう(第三者のスーパーバイザー)も我がことのように真剣に助言することで報いてくれ る。
11.良いアイディアを探す次善の策は、いうまでもなく君自身だけではなく、学生(生徒)の声に耳を傾けることである。時には、後者のほうが役 立つこともおおいにある。
12.もっとも革命的な解決策のなかには、自分のそれまでの考え方そのものが間違っていたという認識からやってくることが、しばしばある。
13.教育プログラムの真の「完成」とは、もう何も付け加えることがなくなった時ではなく、なにも取り去るものがなくなった時である。
14.教育で使うツールはすべて期待通り機能してくれないと困るが、すごいツールは予想もしないことで役立つことがある。
15.学生(生徒)とのコミュニケーション技法を授業で実装する際には、連続的に与えられ時間順に整列されている(すなわち時系列上の)状況へ の干渉は最低限にするように必死で努力せよ。またそこから得られる実装時でのデータ収集と(事後的な)分析は怠ってはならない。
16.自分の教育プログラムの説明概念や理解が厳密な意味での論理整合性に叶っていない時には、逆にアバウトな構造を先に伝えることが重要だと 思い直すと、気分が楽になる。
17.自分の教育プログラムが魅力的だと感じ、それを秘技として特許化するような認識を持ったままだと、それまで自分がさまざまな人たちから助 けられてきた学習の構図に対して無反省になるだけだ。君の授業の内容が秘密にするぐらい魅力なのではなく、君のやり方がたぶん魅力になったということなの だろう。君の知識は譲渡できるが、君の魅力は譲渡できないからね。授業の魅力の本質を間違ってはならない。
18.面白い授業上の問題を解決するには、まず自分が授業のなかで見つかった面白い問題の発見からはじめることにしよう。
19.授業改善のノウハウは(17.の君の魅力同様)個々の教師のなかにあるので、授業改善について議論するためには、君と同じような境遇をも つ人とより多く議論することが近道になるはずだ。
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