呪術は本当に効くのでしょうか?
(ヴァーチャル・シラバス)
「呪術は一個の完璧な体系であり、それ自体科学に劣らないほどの整合性をそなえている」 ——オクタビオ・パス『クロード・レヴィ=ストロース』法政大学出版局, p.83, 1988年
呪術は本当に効くのでしょうか?——これに真面目に答えようとするのがこの授業です!
この授業は、専攻が決定されていない1年生の学生を主な対象とする宗教人類学入門の講義 です。宗教と医療は、近代社会においては、それぞれ別の社会的機能をもつ制度であると社会学理論は、私たちに教えます。すなわち、宗教は何らかの心の平安 をもたらす制度、そして、医療は心身の不調(=病気)を自然科学的な方法——臨床検査、手術、投薬、生活管理など——で治してくれる制度だからです。
しかし、人類の歴史を遡れば、このような社会的分業が発達したのは近年であることが一目 瞭然です。私たちが日頃使う言葉の中にある「癒し」に着目しましょう。宗教がもたらす癒しは「心が平安になる」ことを意味しますが「傷が癒される」とか、 「心身が癒される」と表現すると、それは病気や病苦から治ることを指します。「癒し」には、宗教的なものと医療的なものの2つの意味があるように思われま す。
他方、伝統的な社会(=「昨日までの社会」)では、呪い(=呪術)が人を苦しめたり病気 にしたりするという思考法は当たり前のようにあります。そのような病苦からの解放されるには「まじない」や儀式——文化人類学では儀礼と呼びます——が不 可欠なこともよく知られています。伝統的な社会のみならず近代においても、呪術あるいは呪術的思考法について研究する文化人類学者は、しばしば、学生から 「呪術は本当に効くのでしょうか?」「まじないで人を傷つけたり殺したりすることでできるのですか?」としばしば聞かれます。この授業は、端的に、これら の素朴な私たちの問いに、学問的に真面目に答えようとするものです。
どのような宗教でも、(a)人間の病苦に関する教義による説明と、(b)それを「癒す」 ための具体的な方法があります。先に、かつて宗教と医療は同じ社会的機能をもっていたと記しました。宗教と医療は鋭く対立するものとする見方でも、これら の間には対応概念があります。医学理論では、それぞれ(a)病因論、(b)治療法と呼ぶものがこれです。現代社会における宗教の働きや実態を、具体的に取 り上げながら、それを分析する方法として、伝統的な医療を研究する文化人類学の方法論——医療人類学と言います——を用います。私たちが持つ宗教のイメー ジを解体し、心身を「癒し」たり「苦し」ませたりする技法——「臨床実践」と言います——という観点から宗教がもつ古くて新しいイメージと機能について、 一緒に考えましょう。
学期が終わって、みなさんが「呪術は本当に効くのか?」について、納得のできる解答を与 えることができれば、この授業はとても楽しくて有意義なものになっているでしょう!
文献&リンク080527med.html080527med.html
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For all undergraduate students!!!, you do not paste but [re]think my
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other people the trouble of thinking. But, if possible, to stimulate
someone to thoughts of his own," - Ludwig Wittgenstein