認知症コミュニケーション(2016年版)シナリオ(A):04
「私はこのノートに書き留めたものから、簡単な「五つのカギ」をまとめ、今では脳血管性認知症、ピック病、レビー小体病など、さまざまな進行性 認知症の患者の世話をしている方々に、このカギを教えています。これらはヒューマニスティックなケアの基本的な考え方であり、私はそれを「ハビリテーショ ン」と呼んでいます。ハビリテートという言葉は、元来「服を着せる」という意味なのですが、私はそのもっと古い語源である「できるようにする」という意味 で、この言葉を使っています。つまり「ハビリテーション」をしている認知症の患者は、精神的、感情的、知能的にも最大限の力を駆使して生活しているという ことなのです。そして、ハビリテーションの「五つのカギ」を使うことで、患者とケアパートナーは、お互いを打ちのめすのではなく、自分たちでできることに 対してある種の達成感を持てるようにもなるのです(「ケア提供者」という言葉は、ケアを受ける人と与える人との次元の差を感じさせるので、ここではむし ろ、「ケアパートナー」または「ハビリテーター」という言葉を用います)。
これらの考え方はもともと自分だけのためでしたが、後に他の認知症患者の方々にも有効だということがわかりました。その「五つのカギ」とは以下 のものです。
1.環境改善:周りの環境から余計なものを取り除き、できるだけシンプルにして、知覚力の衰えに適応させる。
2.コミュニケーションは可能だということを肝に銘じる:話すことのできない言葉の奥には、言葉より重要な感情が隠されていることを忘れず、患 者は自分に対する感情に関しては、まだ受け取る能力があると考える。
3.残された力に目を向ける:残っている能力を最大限に生かし、患者に悟られることなく失われた能力を補うようにする。
4.患者の世界に生きる:言い返したり叱咤(しった)せず、患者の視点で物事をみる。患者の今いる「場所」と「時」を共有し、そのなかでお互い に喜びを見いだす。
5.患者の人生を豊かにする:患者に失敗させることを最小限に抑える一方で、何かをやり遂げさせる状況を最大限つくりあげ、褒めるようにする。
どんな状況でも、できるだけユーモアを見いだす」。
シナリオリンク:【ちゅうい!】 それぞれのシナリオに基づく討論と予復習をしないと先に進んでもPBL学習の効果が期待できません。
シナリオファイル(pdf):【ちゅうい!】 それぞれのシナリオに基づく討論と予復習をしないと先に進んでもPBL学習の効果が期待できません。
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