サイバー倫理学
Cyber-Ethical-Atnrhopology
(旧 版)(新版は こちら)
サイバー倫理(cyber
ethics)とは、サイバー空間における倫理や道徳さらには法学にも関わる約束の事柄のことである。現今におけるサイバー空間の多くはインターネットの
ことを
さすので、インターネット倫理(internet ethics)ともいう。他方、サイバーパンクたちの行動の原理あるいは生き方はサイバーパンク倫理学(Cyberpunk
ethics)と呼ばれる(→サイバー・オントロジー)。
「規範の存在は、そこからの逸脱を暗黙のうちに想定している。逸脱の社会的定義は制裁によっ て明確に境界づけられるというのが機能主義的な考え方である。インターネットでおこっている事柄が現実社会の運用規則に抵触しない場合は、それ自体が問題 になることはない。だがインターネットを生きている人たちは、慣習法則に則って自分の身の回りに道徳を構築している。道徳が慣習にゆらいする由縁である 。そこには多様な解釈の共同体が存在する。意見の相違は人畜無害な学問的議論や世間話のレベルで終わることが多い。ただしその問題が一種の客体 化をとげて、我々の行動を拘束したり、感情を励起するようになると、現実の社会問題化され操作可能になり、またその問題が以前から存在してきたかのように 当事者に意識されるというのが社会構築主義的な考え方である」サイバーパンクにおいて倫理は可能か?より
◎それまでの情報倫理学一瞥
コンピュータ倫理学 |
倫理的コンピューティングとは、家庭や学校、オフィスでコンピュータを 使用する際に、人が守るべき道徳的原則の体系を指す。The Computer Ethics Instituteは、コンピュータを使用する際に倫理的であり続けるためのガイドラインとして、「コンピュータ倫理の十戒」を示 している。条文は池田光穂が、改作と改造を施している(2022年3月10日)。コンピュータ倫理学が必要 なのは、倫理学が必要とし てきた「かつて」の日常生活の中で、存在してこなかった「倫理的指針の空白」があり、それを埋める必要があるからだ。コンピュータ倫理学 (Computer ethics)の呼称の歴史は古く、1976年 に遡れるという。また「倫理的コンピューティング(Ethical computing)」という言葉も定義されており、古語で10の命題文から構成されている。 |
The Ten
Commandments of Computer Ethics. 1. 汝は、他者を傷つけるためにコンピュータを使用してはならない。 2. 汝は、他者のコンピュータ作業を妨害してはならない。 3. 汝は、他者のコンピュータファイルを盗み見してはならない。 4. 汝は、あらゆる窃盗行為ためにコンピュータを使用してはならない。 5. 汝は、偽証するためにコンピュータを使用してはならない。 6. 対価を払っていない独占的ソフトウェアをコピーまたは使用してはならない。 7. 汝は、(所有権あるいは使用権が)他者のためにあるソフトウェアを使用してはならない。また、許可なく、または適切な報酬を得ずに、他者のコンピュータ資 源を使用してはならない。何時は、許可なく他者のファイルを使用してはならない。 8. 汝は、他人の知的財産を粗末にするなかれ。 9. 汝は、(許諾利用が可能な)他者のファイルを使用しても良いが、他者のソフトウェアをコピーしてはならない。 10. 汝は、常に仲間への配慮と尊敬を忘れないようにコンピュータを使用しなければならない。すなわち、自分が書いているプログラムや設計しているシステムの社 会的な影響について考えるべきである。 |
情報倫理 |
情報倫理(information ethics)とは、情報の創造、組織、流通や配布・配信、利用などに関する一切の倫理規範(ethical standards)と道徳コード(moral codes )に関することがらのことである。情報処理学会の倫理綱領には、情報倫理を守るべき人として「社会 人、専門家、組織責任者」の3つのカテゴリーにわけて、それぞれ、4〜5項目の倫理要綱(コード)を掲載している。 |
つまり、社会人には「1.1 他者の生 命、安全、財産を侵害しない。1.2 他者の人格とプライバシーを尊重する。1.3 他者の知的財産権と知的成果を尊重する。1.4 情報システムや通信 ネットワークの運用規則を遵守する。1.5 社会における文化の多様性に配慮する。」の5項目。 |
また、専門家には、「2.1 たえず専門能力の向上に努め、業務におい
ては最善を尽くす。2.2 事実やデータを尊重する。2.3 情報処理技術がもたらす社会やユーザへの影響とリスクについて配慮する。2.4
依頼者との契約や合意を尊重し、依頼者の秘匿情報を守る。」の4項 目。 |
そして、組織責任者には「3.1 情報システムの開発と運用によって影
響を受けるすべての人々の要求に応じ、その尊厳を損なわな いように配慮する。3.2 情報システムの相互接続について、管理方
針の異なる情報システムの存在することを認め、その接続がいかなる人々の人格をも侵害しないように配慮する。3.3 情報システムの開発と運用について、
資源の正当かつ適切な利用のための規則を作成し、その実施 に責任を持つ。3.4 情報処理技術の原則、制約、リスクについて、
自己が属する組織の構成員が学ぶ機会を設ける。」の4項目である。 |
さらに、法令や他の社会的規範(たとえば「研究規
範」)などとの矛盾や齟齬をおこすことがらには「会員個人の判断」という、自己管理と自己責任もあることを謳っている。 |
つまり「本綱領は必ずしも会員個人が直面するすべて
の場面に適用できるとは限らず、研究領域における他の倫理規範との矛盾が生じることや、個々の場面においてどの条項に準拠すべきであるか不明確(具体的な
行動に対して相互の条項が矛盾する場合を含む)であることもあり得る。したがって、具体的な場面における準拠条項の選択や優先度等の判断は、会員個人の責
任に委ねられるものとする」と、最終的には、倫理的行為の管理は、個人に帰属する個人の責任とされている。 |
++
Thou shalt not use a
computer to harm other people. Thou shalt not interfere with other people’s computer work. Thou shalt not snoop around in other people’s computer files. Thou shalt not use a computer to steal. Thou shalt not use a computer to bear false witness. Thou shalt not copy or use proprietary software for which you have not paid (without permission). Thou shalt not use other people’s computer resources without authorisation or proper compensation. Thou shalt not appropriate other people’s intellectual output. Thou shalt think about the social consequences of the program you are writing or the system you are designing. Thou shalt always use a computer in ways that ensure consideration and respect for other humans. |
1. 汝は、他者を傷つけるためにコンピュータを使用してはならない。 2. 汝は、他者のコンピュータ作業を妨害してはならない。 3. 汝は、他者のコンピュータファイルを盗み見してはならない。 4. 汝は、あらゆる窃盗行為ためにコンピュータを使用してはならない。 5. 汝は、偽証するためにコンピュータを使用してはならない。 6. 対価を払っていない独占的ソフトウェアをコピーまたは使用してはならない。 7. 汝は、(所有権あるいは使用権が)他者のためにあるソフトウェアを使用してはならない。また、許可なく、または適切な報酬を得ずに、他者のコンピュータ資 源を使用してはならない。何時は、許可なく他者のファイルを使用してはならない。 8. 汝は、他人の知的財産を粗末にするなかれ。 9. 汝は、(許諾利用が可能な)他者のファイルを使用しても良いが、他者のソフトウェアをコピーしてはならない。 10. 汝は、常に仲間への配慮と尊敬を忘れないようにコンピュータを使用しなければならない。すなわち、自分が書いているプログラムや設計しているシステムの社 会的な影響について考えるべきである。 |
https://online.glyndwr.ac.uk/what-is-computer-ethics/ |
リンク
文献
その他の情報:このページはかつて「サ イ バー人類学」と呼ばれていたサイトです。