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Thick Description:Toward an Interpretive Theory of Culture (by C. Geertz)

クリフォード・ ギアーツの論文「厚い記述」ノート


解説:池田光穂

"In her book, Philosophy in a New Key, Susanne Langer remarks that certain ideas burst upon the intelectual landscape with a tremendous force."

"In her book, Philosophy in a New Key, Susanne Langer remarks that certain ideas burst upon the intellectual landscape with a tremendous force. They resolve so many fundamental problems at once that they seem also to promise that they will resolve all fundamental problems, clarify all obscure issues. Everyone snaps them up as the open sesame of some new positive science, the conceptual center-point around which a comprehensive system of analysis can be built. The sudden vogue of such a grande idee, crowding out almost everything else for a while, is due, she says, "to the fact that all sensitive and active minds turn at once to exploiting it. We try it in every connection, for every purpose, experiment with possible stretches of its strict meaning, with generalizetions and derivatives." "

●ギアツ「厚い記述」ノート:クリフォード・ギアツ(ギアーツ;1926-2006)

「厚い記述」の英文と翻訳のテクストはこちらです.

(「人類学は著述、論文、講義、博物館の展 示、‥‥フィルムの 中にも存在する 」p.27)

"anthropology exists in the book, the article, the lecture, the museum display, or, sometimes nowadays, the film (p.16)"

【厚い記述】のミニマムな説明

「「厚い記述」(thick description):厚い記述あるいは分厚い記述とは、米国の文化人類学者クリフォード・ギアーツ(1926 -2006)が同名の論文で提唱したも のであるが、元々は英国の哲学者ギルバート・ライルによる。人類学者はフィールドワークをするときに、現地の人と仲良くなり、情報を提供してもらう人を探 し、関連文書を写し、系譜関係をとり、付近の地図をつくり、活動の日記などを書く。これらの一連の行為を厚い記述と呼ぶ。そして反対に、薄い記述とは、 「少年が瞬きした」というようにそれ以外に情報のないシンプルな記述をいう。瞬きは、付近にいる誰かに合図したのか、それとも目にゴミが入ったのか、ある いは以前に読んだ小説の感動的な部分を思い出して涙ぐんだのか、などの情報の収集、などの記録の積み重ねにより、少年の瞬きを描いてゆくことを厚い記述と 呼ぶ。フィールドワークではそれだけ記述を重ねることの重要なのだが、事情はそれほど簡単ではない。レヴィ=ストロースは『悲しき熱帯』(1955)で何 日もかけて奥地の住民を探し出したが、必要とする情報が手に入らず、系譜関係の収集などわずか数十分で終わることがあり、そんな徒労の積み重ねがフィール ドワークだという。つまりフィールドワークと厚い記述とは直接の関係性がない。他方で、多くの人類学者は、文化人類学の方法論を知らない時代や人が書いた 旅行記や事件記録などに触れて、自分が積み重ねてきた厚い記述が一瞬にして瓦解するぐらいインパクトがある(=より厚い)ことを感じる。厚い記述は単に自 分のフィールドノートの記録を厚くしてゆくことではない。だからと言って、厚い記述はフィールドワーカーの精神性が可能にするものでもない。逆に厚い記述 をフィールドワークの精神論としてのみ理解するだけでは、決してそのような記述(=厚い記述)が常に可能になるわけではない。」100%の出典

















「厚い記述」の英文と翻訳のテクストはこちらです.

【出典】

C・ギアツ「厚い記述——文化の解釈学的理論をめざして」『文化の解 釈学I』(吉田禎吾ほか訳)岩波書店、1987年(Geertz, Clifford.,1973, Thick description: Toward an interpretive theory of culture, in "The Interpretation of Culture", New York: Basic Books.,pp.3-30.)

英文(全文サイト)の引用は以下のところ からおこなった(最終確認日 2010年11月7日)

Copyleft, CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j, 1996-2099

池田蛙 文化人類学蛙