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コミュニケーションデザイン視点の技術者倫理入門:スライド編

Engineering Ethics: An altenative introduction

池田光穂

このページは、コミュニケーションデザインの視点か らの技術倫理/技術者倫理(エンジニアリング/エンジニアーズ倫理)を考えるのが目的である。

コミュニケーションデザイン視点の技術者倫理:入門編

1  Engineering Ethics: An alternative introduction

コミュニケーションデザイン視点の技術者倫理入門
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http://www.cscd.osaka-u.ac.jp/user/rosaldo/engineering_ethics.html
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技術士会のCPD研修での僕の立ち位置は完全に
アウェーです!

CPD:Continuing Professional Development
建設関係の資格認定団体が実施しており、資格取得後の継続的な教育プログラムや講習会等を提供している技術者の継続教育。技術者が研鑽に要した時間を単位 に変換
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そもそも日本技術士会について僕は何も知らないっ!
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■僕:フツーの研究倫理講演ならばできますが?
■比屋根(ひやごん)先生:それだったら技術士会の会員の方々に「真の勉強」になりません。先生(僕)の専門分野の文化人類学やコミュニケーション学から のアプローチを!
■僕:こまったなぁ、先生との対談でもいいですか?
■先生:それだと研修の趣旨からはずれます
■僕:じゃあ、レクチャーとミニシンポで!
■先生:ちゃんと(会員が)退屈せず、為になるのを
■僕:はい、なんとか、トホホ[本日ここに……]

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こまったなぁ、先生との対談でもいいですか?

ちゃんと(会員が)退屈せず、為になるのを!
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とりあえず技術士会についてしらべました!
技術士法や組織の歴史の歴史についても!
技術部門の21番目が総合技術監理部門であることも知ってます!

ハイっ!画面左の「試験・登録情報」の二次試験の科目をごらんください。一番下の科目のpdfを開いてください。そこにあります。いえ、その次の一覧で す!
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コミュニケーションデザイン

    •コミュニケーションデザインとは、人と人のあいだのコミュニケーションをデザインすること。
    •    The Definition of "Communication-Design" is Designing communication between human beings by mediating designed concepts and objects. Significance of "Communication-Design" is management and control of "Emergence of Human Beings."
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人間とそれ以外の事物での
コミュニケーションデザイン


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アフォーダンス

    •    アフォーダンスとは、与えられた環境の中で適合的に遂行することができる主体の行動ならびにその特性のことをさす。
    •    たとえばボタン型のスイッチは、適切な質感と運動量をもつことで、スイッチとしてのアフォーダンスを誘発する。認知心理学(生態心理学)者であ るジェームズ・ジェローム・ギブソン(James Jerome Gibson, 1904-1979)は、環境のなかで生きる生き物が環境のなかで動き回る時に、適合的な主体の行動の引き起こす局所的な環境要因をもちうると考えて、~ できる、~する余地がある、~を提供するという動詞アフォード(afford)の名詞化を考案し、そのような適合的な「主体の行動ならびにその特性」をア フォーダンス(affordance)と呼んだ。
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Affordance induced character is not only physical but signal one, you can see that small tires did afford in the white marker on the taxiway.
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    •    具体的なコミュニケーションに先行して(観念の上でにおいてすら)デザインが先行することはあり得ないということ。多くのコミュニケーションデザインに関 する新規の提唱をみても、それ自体が新しいというよりも、既存のコミュニケーションのモード(様相)を前提にして、そのモードの変更・改善・付加などの提 案を、多くのコミュニケーションデザイナーはおこなっている。
    •    コミュニケーションをイノベーションを置き換えても同様かもしれない。
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    •    コミュニケーションは創発性に満ちている。つまり縦横無尽でどこに到達するか分からない。
    •    他方、デザインは統括管理し、事後的に計画的に実現されるための頭の中の設計図のようなもの。
    •    コミュニケーションデザインとは,創発性の管理思想でありコミュニケーションデザイン教育や指導の場は創発性と管理がせめぎ合う緊張感のある場である。
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以上が、コミュニケーション
デザインの解説

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    •    三菱マテリアル(アルミ・銅)検査データ改ざん
    •    東レ・補強材製品の品質データ改ざん
    •    神戸製鋼所・製品データ改ざん
    •    キッセイ薬品・製品表示の虚偽
    •    NECのJAXA姿勢制御エンジン噴射データ誤入力によるX線観測衛星ひとみの破損への和解
    •    日産やSUBARUの検査不正(手続き違反)
    •    個人情報等流出事件(そこかしこ)
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    •    ものづくりの現場では、職人的な気質が残っており、それが古典的な職人的モラルの維持継承に役立っている。
    •    他方、高度に組織化された組織において製品の品質の保証をするのは職人の気質やモラルではなくデータによる管理原則(経営原理)が貫徹しているようだ(経 営と現場の齟齬)。
    •    管理監督官庁によりデータの報告は義務づけられているが、データの報告手続きなどの厳格化/簡素化の見直しを提起的におこない改善すべきだが、業界にも監 督省庁にもそのような改善の機運がない(コミュニケーション不足)
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閑話休題
リチャード・ファインマン

スペース・シャトル
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・スペースシャトル「チャレンジャー号」の事故(1986年1月28日)における事故調査委員会(ロジャーズ委員会=Rogers Commition) に招かれたファインマンさんが、事故の原因を探求するプロセスについて考える。

・ファインマンさんのプロセスを、科学コミュニケーションの問題として考えると、大きくわけて次の3つのポイントに絞られる。
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1.NASAの官僚制度のあり方。ポスト・アポロ計画における宇宙開発への連邦政府の予算獲得のために、安全性よりも話題性(=広報)に力点が注がれ、肝 心かなめの飛行の安全性に関する問題解決がないがしろにされたこと。

2.NASAシャトルの「安全率」の計算は、従来の他のロケット開発のように計画がボトムアップにおこなわれる安全率の低さにくらべて、トップダウンで設 計されたために、安全率を高く見積もる(=事故率を低く見積もる)という問題が、構造的にあった。

3.Oリングが、寒冷条件で硬化して、その気密性が大いに損傷を受け、致命的なものになることについて、「想定されて」いなかった? 発射時の早朝に、氷 点下を示していたこと、また、現場では、Oリングの低温での硬化については、早くから問題が指摘されていたのに、改善されなかったこと。——チャレン ジャーの発射時に氷点下を切っていたことは不運であると同時に、氷点下時におけるリスクマネジメントの発想が「なかった」ということ。
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技術者倫理 A B C

「理解する」から「実践する」倫理入門
2 de dicembre, 2017 en Nagoya, Aichi

池田光穂
大阪大学COデザインセンター
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My Motivationとして——
私は技術者倫理の堅苦しさや威厳を伝えに来場したのではなく、現場における職務や研究がもつ〈わくわく感〉や楽しさ、そして善行としての研究を旨とする専 門職の社会的意義を皆さんにお伝えするために来ました。
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My Motivationとして——
私は技術者倫理の堅苦しさや威厳を伝えに来場したのではなく、現場における職務や研究がもつ〈わくわく感〉や楽しさ、そして善行としての研究を旨とする専 門職の社会的意義を皆さんにお伝えするために来ました。
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    •    The Title and Author’s name
    •    Abstracts
    •    Introduction
    •    Material and Method
    •    Results
    •    Discussion and Conclusions
    •    Summaries
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 研究者を縛る規則や法律のように〈倫理〉を考えている限り、人間の徳目である〈善〉は十分に活用されないまま埋もれてしまう。倫理は人間にとって空気の ようなものであり、よい倫理は生存にとり不可欠だが自覚されることはなく、澱んだ空気(=悪業)はすぐに気づくが、やがて慣れてしまい、生命に危険なレベ ルまで気付かなくなる。
 より高い〈徳〉とは、清浄な空気(=善行)のように、人間の基本的ニーズであり、人が生まれながらに備わる能力のレパートリーのひとつである。悪の多く は構造的なものに起因し、経験主義的な善悪のエコノミーの観点からみると、ハイリスク・ノーリターンなものである。人間が生んだ高度に組織化された社会 は、さまざまな欠陥はあるものの(あたかも免疫機構に似て)悪を極小化するようにできているが、残念ながら、個々人の善を自動的に強化(エンハンス)する ようにはできていない。なぜなら、強化とは、高地トレーニングや酸素療法のように、当たり前(=自然)以上のことを人間に強いるからである。悪から学ぶだ けでなく、善行が自然に身に付くような環境(=構造、文脈)の整備が不可欠である。
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Ἀριστοτέλης - Aristotélēs, B.C. 384-322
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・私が皆さんにお伝えしたいことを、まず設問形式で3点。これらの設問に御自身で回答が与えられば、私のミッションは完了したも同様です。それだけで学習 〈効果〉があります。
・私がここにいることの釈明を、3つの審問と2つの教訓でお答えします。
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    •    (1)なぜ、倫理事象をめぐるアリーナにおいて、産業・工業領域がスキャンダルの温床になるのか? →答えられますか?
    •    (2)そのようなスキャンダルに塗れずに〈平穏〉に業務に携わることは可能か? →可能でしょうか?
    •    (3)ふつうの技術者にとって〈善〉とはなにか?そして〈善〉は身に付けることができるのか? →定義した〈善〉を身に付けられますか?
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Francis Bacon, 1561-1626
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・Q:なぜあなた(=私)はここに立っているのでしょうか?そしてなぜ私たちは席に座っていなければならないのでしょうか?

・A:技術者倫理に関する研修だからです。技術をめぐる業界の倫理不正はなくなるどころか、毎度驚くべき違反事例のパレードです。どこでも謝罪と事故的な 研修が開催されます。しかし客観的に考えて、回を重ねるごとにマンネリズム(陳腐化)が危惧されます。
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・Q:倫理宣言や要綱を読めば、だたしい、技術者倫理を実践できますか?

・A:できません。それはたんなるお題目・お経(呪文)に過ぎません。優しい技術者倫理の実践は、別の次元の問題。
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教訓:壱と弐
倫理綱要を外部から押しつけられる徳目とすると身に付きません。実践を通して身体化=習慣化することが大切です。
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Galileo Galilei, 1564-1642
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・Q:倫理的に正しいことを学ぶために、ここに来たのに、なぜ(やりたくもない)研究不正の話や手口を毎回(恒例行事のように)聞かされなければならない のですか?

・A:聞かされる必要はありません。技術者倫理を学ぶことは、悪を為さないためにあるからです。悪は否定的判別事象(negative instance)すぎません。重要なことは、みなさんの善悪の弁別の陶冶(=自分で判断できるようになる)にあります。ただし、善行の話はすぐに眠たく なりますが、悪業の話は眼が覚めます。これが唯一の取り柄。
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教訓:参
不正から学ぶことは、十分な戒めにはなりますが、それだけでは人間の善意がもつ〈創造性〉を育むことができません。
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René Descartes, 1596-1650
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 僕の専門は医療人類学と臨床コミュニケーションです。海外調査はラテンアメリカを中心に20数年のキャリアーがあります。また国内では神経生理学教室の 実験動物と人間の関係や、生命倫理学者との共同研究などがあります――研究者であって技術者でないので僕に十分な資格があるかどうか疑問。しかし門前の小 僧ならぬ、門外漢が勇気をもってアドバイスできることもあるはず!
 文化人類学者の研究方法の常として、研究倫理を考える時の材料も、他の研究者の実践報告や科学社会学の理論を読んできた座学的知識と、自分の足で稼いだ 研究者とのインタビューや会話などが基礎となっています。研究倫理や臨床コミュニケーション教育に関しては、全米アカデミーの教科書を使ったり、オリジナ ルの事例集を使って大阪大学で大学院生との〈対話型の授業〉をおこなっている経験をもとにしています。
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Resultsとして——
先の3つの設問について考えてみましょう
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Isaac Newton, 1643-1727
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(1)なぜ、倫理事象をめぐるアリーナにおいて、技術&工学領域がスキャンダルの温床になるのか?
→Money, Moral, Power, and Structure (MMPS)
→開発費が他の分野に比べると大規模
→世間から道徳性を問われる職業
→世間から権能を付託されている
→専門性が複雑で内部者でも門外漢に
→自浄機能が上手に機能しない
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(2)そのようなスキャンダルに塗れずに〈平穏〉に研究開発に携わることは可能か
→可能だから、私はここにいます。
→公正な契約と同様に、現在の私たちの倫理は過去の事故・逸脱・検討・反省・実証などの〈遺産〉に負っています。その負の遺産を有効活用することで、被害 を極小化できると思います。
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(3)研究者(=ふつうの人)にとって〈善〉とはなにか?そして〈善〉は身に付けることができるのか?
→〈善〉とは社会的属性であり、個人に内在する[だけの]ものではなく、社会関係のなかで[も]体現されるものです。〈善〉は自分を犠牲にすることなく他 者に降り懸かる危害を極小化する、人間の行為上の理念です。我々は具体的な〈善〉を経験的に知っている以上、それが不可能だと断定することはできません。
→したがって逆説的ですが、本人の真意とは関係なく〈善〉が身に付いているように他者から判断されることが必要になります。
→ロビンソン・クルーソーが〈善〉を実現するためには、フライデーからそう判断される必要があり、それを可能にするためには、両者の間には相互承認(ヘー ゲル的な意味での)が必要なのです。
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Albert Einstein, 1879-1955
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・善と徳の使い分けは、good と virtue に対応しています。善を社会的属性としたのは外面的に観察や判断ができることを指します。それに対して徳は、日常的な使い方に従い、その人に内在する資質 のように理解します。しかし後者も、やはりその判断には外面的に観察や判断ができることに我々は頼らざるを得ないわけですので、こちらも行為に表出する社 会的属性と言うことができます。(→清浄な空気の比喩)
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・村松秀『論文捏造』2006年、白楽ロックビル『科学研究者の事件と倫理』2011年の衝撃!にも関わらず、ふつうの科学者・技術者にはよい読後感は得 られない。
・【効用】:天網恢々疎にして漏らさず(=捏造はハイリスク・ノーリターン)の教訓。「悪い手口を知ること」から反省材料を若干だが得ることができる。
・【弊害】:犯罪の常態化を知ることで逆にモラルハザードがおこる。万引きが発覚した子供が「なぜボクだけなんだ」と反論するように。悪の手口から学ぶこ との限界(戦記だけでは平和学の授業ができないように!)
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・何をもって研究の倫理を動機付けるか?
・研究者の善行は、これまで言われてきたところによると(1)真理を追究するロマン、(2)人びとに善きことをなしたい夢、(3)純粋に知ることを喜ぶ無 垢な心に支えられてきた(Merton’s the CUDOS)。他方、研究者を悪業から見る視座は、専門職者の狭量・独占・権威主義から、偽悪的に表象されてきた嫌いがある(Ziman’s PLACE)
・こういう対比は、明らかに善悪を分かつマニ教的断定として、なんら生産的議論を生み出さない。
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Richard Phillips Feynman,
1918-1988
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・研究者・技術者の悪業が横溢するようになると、制度は2つの〈近代的装置〉を使って、悪を制圧するように試みました。
・ひとつは、研究者・技術者の一人一人に訴える〈倫理教育〉です。もちろん、その中には、善の徳目を教えるのみならず、悪を列挙して、劣情に訴え、それを 抑止するという発想です。ただし、これは善を維持するためには悪が必要になる。供犠の羊を常に必要とするという問題があります。
・他のひとつは、監視・処罰・啓蒙が組み合わされた制度です。研究公正(research integrity)という発想はここに由来します。これは公正性の観点から評価・判定・処罰基準を標準化する、研究組織の一種の〈免疫機構〉のようなも のです。
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・第二次大戦終結前後から登場する「近代の逆説」理論なるものがあります。つまり近代化はよいこと以上の弊害をもたらし、我々はその処方せんを未だ持たず にいる(例:全体主義の台頭や冷戦構造の維持)という説です。この理論的構成を使うと、研究の捏造・偽造・盗用という三悪は、研究者の悪よりも、そのよう なことに手を染める誘惑を産み出す研究制度(MMPS)の好まざる副産物のほうがより大きな問題をはらむことになります。しかし、この説明は「罪人を憎む よりも罪を憎め」という説諭と同様、近代が、システムに巻き込まれながらも自律能力を持つ「責任のある主体」を生み出した、肯定すべき現象の意味を過小評 価するものです。
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Rosalind Elsie Franklin, 1920-1958
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 では「責任ある主体」とは何でしょうか?
 それは言い換えると「責任を果たせる人間」ということです。責任は常に〈他者からの/他者への働きかけ〉から生まれます。
 つまり、他者からの働きかけ(=審問)には応答責任(responsibility)が、他者への働きかけ(=実践)には、それを自ら弁明する説明責任 (accountability)という2つのタイプの責任があります。
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しかしながら本当に近代の逆説という現象は横溢しているのでしょうか?
――もし人が誰も見ていなかったら研究者は捏造・偽造・盗用をもっと頻繁におこなってもよいはずです。人が周りの〈敵〉を自由に殺すことができれば―― ホッブズの危惧はそうでした!――人間なんてロトカ=ヴォルテラの方程式なしにとっくに死滅していたはずです。人間の歴史的経験は、我々の想像以上に、人 間が平和裏に道徳的に隣人との関係を築く能力をもつことを示しています。利他行動や善行に遺伝的根拠を求めようとする社会生物学や行動遺伝学は、そのよう な否定しがたい経験的事実への理論的説明への試みです。社会システム論なら、近代が準備した「責任ある主体」の形成が、その安全弁として機能したと主張す るかもしれません。近代は逆説ではなく二面性を持つのです。
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    •    (1)倫理事象をめぐるアリーナにおいて、今後も工学&技術領域がスキャンダルの温床になることは避けられない
    •    (2)しかしながら、そのようなスキャンダルに塗れてもなお、その逆境を克服し〈平穏〉に研究と開発に携わることは可能である
    •    (3)技術者&工学教育とは、研究者(=ふつうの人)にとって〈善〉とはなにかを足元から考えることである。そして人間以上の能力を超えた〈徳〉を身に付 けることを求めるのではなく、身の丈に合い、無理をしない=自然な〈善〉の修得について考えることである。
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Thomas Samuel Kuhn, 1922-1996
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 1.研修会「技術者倫理」節目にあたりを、これまでの不正行為を防止するための倫理の考察水準(Ver. 1.0)を超克するための方策を考えました。
 2.これからの技術者倫理教育(Ver. 2.0)は、科学者の不正行為(捏造・偽造・盗用)の実態の解明と予防策の探究という後ろ向き原因探究(retrospective seeking for causality)だけでは、研究がもつ創発性や創造性と倫理実践の調和は期待できません。
 3.製造物の検査不正等という躓きの石を、技術者倫理 Ver. 2.0 発掘と発展という僥倖とするためには、つねに「良きことをなす態度」を涵養すべきだと考えました。
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「倫理学についていかなる定義を与えようとも、それは、問いを問いとして示すにすぎない。答えは結局倫理学者自身によって与えられるほかはないのであ る。……倫理的判断とは何であるか、人間的行為とは何であるか、倫理的評価とは何であるか。それは既知量として倫理学に与えられているのではなく、まさに 倫理学において根本的に解かれるべき問題なのである。だから倫理学とは何であるかを倫理学の初めに決定的に規定することはできない」→コミュニケーション デザインの解説を思い出しましょう!
――和辻哲郎『人間の学としての倫理学』
(1934年=3年後には田河水泡『のらくろ総攻撃』が描かれた)
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Lynn Margulis, 1938-2011
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御静聴ありがとうございました!
池田光穂 rosaldo@cscd.osaka-u.ac.jp
このイラストは、ルネ・デカルト(1596-1650)のTraité de l'homme(1648年に執筆が終わっていたが異端審問を恐れて出版しなかった)が含まれる L’homme de René Descartes, 1664年の、該当部分の14ページの空白の中に埋め込まれたイラストです。この後に、眼球の筋肉とそれを動かす動物精気の働きを描く解剖図(XIX図= 邦訳では第3図) が登場します。エッチングの挿画のタッチからみて一連の解剖図の作者とは異なる書肆の作家の作品のようですが、詳細は不明です。
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your name, born-present-future
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コミュニケーションデザインと技術者倫理
(拾遺)
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明石海峡大橋(1998年4月完成)は1995年1月の地震で全長が1m伸びて3,911mになったらしいが懸垂橋の無事が報告されて世界の橋梁工学専門 家は驚嘆したという。これ自体は「美談」だが、驚嘆の陰には歴史的には悲劇という可能性も工学者は想定していたこともあろう。このエピソードは、「あらゆ る技術の安全性は結果オーライの可能性を完全に払拭できぬ」ということを何よりも正直な技術者は理解していることにほかならない。http: //www.jsce.or.jp/what/hakase/bridge/10/index.html
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    •    戦前ニューヨーク市の都市計画家にロバート・モーゼスがいた。モーゼスは黒人を差別する人種主義者だった。当時、彼がニューヨーク市からロングアイランド のジョーンズビーチ公園にむかう公園道路の設計を担当することになった。モーゼスは公園道路を横断する200ほどある陸橋の高さを普通乗用車がくぐるには 十分な高さはあるが、バスがくぐるには低すぎて通れないようにデザインした。自家用車を利用する人たちはドライブすることができるが、公共交通であるバス にたよる人たちには、ジョーンズビーチへはアクセスできないようして、自分の理念を実現することができたのである。(原出典はラングドン・ウィナー「人工 物に政治はあるか」『鯨と原子炉』紀伊國屋書店、2000年)
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    •    戦前ニューヨーク市の都市計画家にロバート・モーゼスがいた。モーゼスは黒人を差別する人種主義者だった。当時、彼がニューヨーク市からロングアイランド のジョーンズビーチ公園にむかう公園道路の設計を担当することになった。モーゼスは公園道路を横断する200ほどある陸橋の高さを普通乗用車がくぐるには 十分な高さはあるが、バスがくぐるには低すぎて通れないようにデザインした。自家用車を利用する人たちはドライブすることができるが、公共交通であるバス にたよる人たちには、ジョーンズビーチへはアクセスできないようして、自分の理念を実現することができたのである。(原出典はラングドン・ウィナー「人工 物に政治はあるか」『鯨と原子炉』紀伊國屋書店、2000年)

イケズなデザイン
公共の場における、若者やホームレスの排除?

◆リスクマネジメント

キーワード:工学倫理、工学者倫理、Engineering Ethics、Engineer Ethics、技術者倫理、技術倫理、工業倫理、こうがくりんり、ぎじゅつりんり

旧クレジット:工学倫理:もうひとつの入門 (Engineering Ethics: An altenative introduction)〜2017年10月30日

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文献

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