君の内面にある生き 方をスマート化せよ!
From teaching Digital
Humanities to Creating Smart-Campus in our universities
池田光穂・松浦博一・宮本友介
◎ このページは、ダイキン工業株式会社による「基礎検討フェーズ報告書・研究テーマ提案」から「2020年度共同研究委受託研究」のフィージビリティ調査研 究である。調査研究班は、池田光穂・松浦博一(大阪大学COデザインセンター教員)と宮本友介(大阪大学大学院人間科学研究科)である。 →クレジット:05:「空気と空間づくり」から考えるイノベーション・キャンパスの実現: デ ジタル・ヒューマニティズからスマート・キャンパスへ!
命題05:デジタル・ヒューマニティズからスマート・キャンパスへ!
コロナ禍がもたらした、遠隔教育の英語には、Distance education or distance learning,
correspondence courses, online
educationなどが含まれる。日本語でも遠隔教育は、オンライン教育や通信教育などが含まれるのと同じ事情である。「教師が生徒や学生と直接(物理
的に)対面して提供するのではなく、離れた場所から提供する教育」が遠隔教育の意味である。そのような「遠隔教育を行う理由は様々であり、たとえば学校へ
通学が困難な場所で生活している生徒・学生に教育を届けるため、日中は仕事をしていて時間に余裕が無く(物理的な)教室に通えない人に教育を提供するた
め、例えば COVID-19
感染症の爆発などで学校に生徒を集めることができないため(2020年当初の世界各国)等々、さまざまである。感染爆発により学校閉鎖措置がとられても、
その代わりに遠隔教育が行われれば、教育がまったく止まってしまうような事態を防ぎ、教育の提供を続けることができる」ウィキペディア)。
さて、デジタル・ヒューマニティズを、スマート・キャンパスに導入し、変化させるため には、ICTにもとづくデジタル化というものが不可欠になる。私が現在重要視しているのは、グーグル社のアドワーズというウェブによる広告とその課金のシ ステムである。これは、ただ単にICT時代のビジネスモデルだけでなく、情報の提示と、それを受けた人たちの行動変容モデルであると考えるべきなのであ る。アドワーズ戦略とは何か?そして、アドワーズ戦略を使った、スマート・キャンパスとはどのようなものかについて、考えていこう。
まずアドワーズ戦略(AdWords Strategy)についてである。アドワーズ(AdWords)とは、Google社がつくった造語で、正式には「グーグル・アドワーズ(Google AdWords)」という。私たちが、商用ポータルサイトつまりアマゾンや楽天の通販サイトなどをくり返し訪問すると、自分の欲しい/欲しがっている商品 が《あなたへのオススメ》という形で適確に上位に登場している実感がわくはずである。その理由は、特定のユーザーがグーグル検索すると、ユーザーがアクセ スした情報を蓄積しておき、本人が望んでいる情報を最適化して提示するような仕組みになっているからである(=グーグルはそれをポートフォリオ戦略のひと つである「自動入札戦略」と称している)。教室でみんなが持ち込んだノートPCで簡単な用語で各自検索すると、その登場順が各人で異なるのはそういう理由 からなのである。それをインターネットを介した双方向のコミュニケーション技術を、広告提示に応用したのがグーグル・アドワーズである。グーグルは、さま ざまな商用ポータルサイトを利用する顧客に対して、その検索情報を提供して、商用サイトはその最適化技術を使って、客を購買行動に誘うことになる。大概の ユーザーはログイン情報を登録してあるので、第三者には配信しないことを条件にしてその際に個人情報を利用して、広告もカスタマイズして提示することは了 承済であるという規約にもとづいて広告が提示されるために、ユーザーがそれを嫌がる場合は、自らがログアウト(=オプト・アウト)しないかぎりは魅力ある (あるいはすでに購入したはずの関連の)広告が提示されるようになっているのは、実際そういうわけなのである。
グーグルは、そのクリックの数に応じて(従量制)広告主から課金する。ユーザーがク リックしなければ広告主はグーグルには支払わなくてもいい(=課金されない)ので、広告主にも不要な広告料を支払っているという認識は生じ難いようになっ ている。また、新規広告主は、広告のグレードに応じて、より不特定多数のユーザーに広告を打つことも可能である。ユーザー(と広告主)にとっては魅力的で あると同時に、悩ましいものであるが、広告も立派な情報なので、対価を伴うシステムとしては、従来の不特定多数に効力もわからず広告を打つよりもきわめて 合理的であり、顧客の不満も低減するという。
このアドワーズ(AdWords)を、インターネットにおけるキャンパスにおける情報
提示の戦略として位置づけたのがアドワーズ戦略(AdWords
Strategy)である——この用語は池田のオリジナルである。アドワーズ戦略(AdWords
Strategy)のAdをadvertisingと考えるのはグーグルであるが、そこにはadd(付け加える)という意味がある。意味や情報が
wordsで表現されるのなら、キャンパスにおけるAdWords
Strategyとは、キャンパスの中でアクセスする時に、ハイパーテキストのようにさまざまな情報が付加されることなのである。。たとえば、大学におけ
る学生の履修方法も、従来は時間割と履修規定にあわせたものをユーザー自身がやりくりしてなんとか創りだすものであった。大学の初学生はそれが分からない
ために、大学は履修指導の教員やTAを動員してそれに対処してきたが、彼らの経験知のレベルと質もまちまちであるし、学生の個性もあいまって、経験的な泥
縄でおこなわれてきたのが現状である。学生の学習への取り組みや自分自身のキャリアデザインをICT技術によりサポートしてあげ、それをもとに学生に対し
て最適化した時間割とシラバス閲覧と選択をさせることができれば、それほど相応しいことはないだろう。わが大学には、それに対応することができる教員がた
くさんいるはずなのに、全く履修サービスの提供に、彼/彼女らの優秀な能力が活かされていないのは、残念至極である。
結論である。大学生・大学院生が、自分の自助努力で、大学が提供している情報をカスタマイズして、学生の皆さんにとって自助のためのステップを今踏み出
しているとしたら、それは、アドワーズ戦略(AdWords
Strategy)の本義に照らし合わせれば、人々が住まうキャンパスは確実にスマートになりつつあるということだ。
●クレジット:最古のクレジット「05:「空
気と空間づくり」から考えるイノベーション・キャンパスの実現:デ
ジタル・ヒューマニティズからスマート・キャンパスへ!」:旧クレジット「身体の外部にあるデジタル・ヒューマニティズから君の内面にある生き方をスマー
ト化せよ!」現在は「君の内面にある生き方をスマート化せよ!」
【続く!】
●続編→「「空気と空間づくり」から考えるイノベーション・キャンパスの実現」︎▶︎「空気」が読めるための大学院共通教育科目▶︎︎▶︎▶︎︎▶︎▶︎︎▶︎▶︎︎▶︎▶︎
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