Lesson3「呪術 理不尽な闇あるいはリアリティか?」
池田光穂・奥野克巳編『医療人類学のレッスン』学陽書房、2007年 解説編
◆ 読解のポイント
呪術を信じないと公言する人の行動を詳細に観察しても人は〈呪術的世界〉を無視して生きるこ とはできません。世界を理性と非理性に分けて、呪術を後者の世界の出来事だけのことであると考えることは愚かなことです。呪術的な思考が人間にとってそれ ほど特異なものではないことを明らかにします。
◆ 各節の構成
1.偏在する呪術
2.呪術論の系譜
3.呪術告発をめぐる裁判—ボルネオ島カリス社会
4.呪術者が詐術を弄するとき
5.近代における呪術の再利用(リサイクル)
6.呪術のリアリティ
◆ 確認チェック!
□ ひとつまたは複数の象徴を操作して自然界に存在する力を制御し、なんらかの目的を達成す ることで、英語では magic の訳語で与えられている学問上の術語をなんといいますか。
□ 未開人の観念について『金枝篇』(The Golden Bough, 初版 1911)を著し、類似性と隣接性にもとづく観念連合について議論した英国の聖書学者の名前は。
□ デュルケームが宗教現象を説明する際に、〈非人格的超自然力〉が個人において現れること があることを説明した。英国のコドリントンが西洋に紹介したメラネシアの先住民の言葉に由来するこの用語をなんといいますか。
□ 英国の人類学者エヴァンズ=プリチャードが研究した民族で、西洋社会に特有と思われてき た合理的な概念の概念が彼らにもあることを報告し、合理性の文化的相対化に関する先鞭をつけた民族の名称をなんというでしょう。
□ カナダの先住民クワクワカワク出身 の男ケサリード(人類学者ボアズの友人で情報提供者だったジョージ・ハント自身と言われる)は、彼自身の呪術の修行をとおして、ライバルたちのな にについて暴露、明らかにしようと思ったのか。
◆ 各章の構成[『医療人類学の レッスン』ポータル]
1「医療人類学の可能性 健康の未来 とは何か?」池田光穂
2「病気と文化 人間の医療とは何 か?」奥野克巳・山崎剛
3「呪術 理不尽な闇あるいはリアリ ティか?」池田光穂・奥野克巳
4「憑依 病める身体は誰のものか?」 花渕馨也
5「シャーマニズム シャーマンは風 変わりな医者か?」奥野克巳
6「グローバル化する近代医療 医療 は帝国的権力か?」奥野克巳・森口岳
7「リプロダクション 「産むこと」 は単純ではないのか?」嶋澤恭子
8「女性の身体 身体は所与のもの か?」松尾瑞穂
9「エイジングと文化 老いはどのよ うに捉えられているか?」福井栄二郎
10「心と社会 狂気をどのように捉 えればいいか?」池田光穂
11「今日における健康問題 なぜあ る人びとは病気にかからないのか?」池田光穂
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1「医療人類学の可能性 健康の未来とは何か?」池田光穂
2「病気と文化 人間の医療とは何か?」奥野克巳・山崎剛
3「呪術 理不尽な闇あるいはリアリティか?」池田光穂・奥野克巳
4「憑依 病める身体は誰のものか?」花渕馨也
5「シャーマニズム シャーマンは風変わりな医者か?」奥野克巳
6「グローバル化する近代医療 医療は帝国的権力か?」奥野克巳・森口岳
7「リプロダクション 「産むこと」は単純ではないのか?」嶋澤恭子
8「女性の身体 身体は所与のものか?」松尾瑞穂
9「エイジングと文化 老いはどのように捉えられているか?」福井栄二郎
10「心と社会 狂気をどのように捉えればいいか?」池田光穂
11「今日における健康問題 なぜある人びとは病気にかからないのか?」池田光穂