9「エイジングと文化 老いはどのように捉えられているか?」
池田光穂・奥野克巳編『医療人類学のレッスン』学陽書房、2007年 解説編
◆ 読解のポイント
人間には(もちろん動物にも)かならず死が訪れます。感染症や事故あるいは戦闘行為などで死 なない限り、老化はかならず訪れます。老年をどのようにとらえ、老人をどのように扱うのか(もちろん老年や老人の定義もまた!)は歴史、文化、社会によっ て多様でありかつ永遠に続くものではなく大きく変化するものであると言われています。老人と老年の多様性について考えます。
◆ 各節の構成
1.老いの意味
2.ライフサイクル〈人間の一生〉
3.老いとその処遇
4.老人と近代化
5.老人観の変遷
◆ 確認チェック!(→答えは「エイジングの文化人類学」のページにあります。まず、どれくらい答えられるか挑戦してみましょう!10点満点です!)
□ 古代ローマの哲学者で『老年について』というエッセーを残した人は誰でしょうか。
□ 老人性痴呆症という用語が、疾病概念はそのままで、2005年に新しい用語に変更されま した。それをなんというでしょうか。
□ 人間の一生を、幼年、少年/少女、青年、中年、老年などと区分し一生を表現することばを なんというでしょうか(ヒント:「 〜 サイクル」とよびます)。
□ ある社会集団のなかで年齢と性を基準にして、その社会が階層化され、メンバーあるいは集 団に特定の呼び名がつくことがあります。このような制度を文化人類学ではなんというでしょうか。
□ ヘアー・インディアンの老人が、採取狩猟のための皆との移動生活をすること放棄すること を老人自身が決定することを、福井栄二郎は「老人遺棄」とは呼ばず、なんとよびましたか。
□ 1850年から1世紀弱の間にヴァヌアツ共和国のアネイチュム社会では人口が20分の1 まで減少したが、その理由はなんであったと説明されていますか。
□ Gerontology という英語で表現される学問は、日本語でなんと翻訳できますか。
□ 人間のエイジングと呼ばれる現象を、医学用語では漢字2文字で表現します。なんといいま すか。
□ 年齢による社会的差別や思想を、外来語でなんといいますか(ヒント:「年齢差別主義」な いしは「年齢中心主義」と訳されることがあります)。
□ エイジングなどの人間の「自然の変化」が、克服すべき障害や病気となって近代医療の対象になっていくことをなんといいますか?
◆ リンク
◆ 文献
Clark, Margaret. 1973. Contributions of
Cultural Anthropology to the Study of the Aged. In Cultural Illness and
Health. L.Nader and T.W. Maretzki. Washington, DC: American.
Anthropological Association. Anthropological Studies, No.9., pp.78-88. m-Margaret_Clark_1973.pdf(要パス
ワード)
◆ 各章の構成[『医療人類学の レッスン』ポータル]
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1「医療人類学の可能性 健康の未来とは何か?」池田光穂
2「病気と文化 人間の医療とは何か?」奥野克巳・山崎剛
3「呪術 理不尽な闇あるいはリアリティか?」池田光穂・奥野克巳
4「憑依 病める身体は誰のものか?」花渕馨也
5「シャーマニズム シャーマンは風変わりな医者か?」奥野克巳
6「グローバル化する近代医療 医療は帝国的権力か?」奥野克巳・森口岳
7「リプロダクション 「産むこと」は単純ではないのか?」嶋澤恭子
8「女性の身体 身体は所与のものか?」松尾瑞穂
9「エイジングと文化 老いはどのように捉えられているか?」福井栄二郎
10「心と社会 狂気をどのように捉えればいいか?」池田光穂
11「今日における健康問題 なぜある人びとは病気にかからないのか?」池田光穂