Lesson8「女性の身体 身体は所与のものか?」
池田光穂・奥野克巳編『医療人類学のレッスン』学陽書房、2007年 解説編
◆ 読解のポイント
ふたたび〈産む主体〉としての女性について考えます。しかしここでは、人間の身体に関する ジェンダー的構成が、文化を媒介にしてどのように編成されるのかを学びます。女性の身体についての文化的拘束性とそこからの抵抗と解放の可能性を、インド の社会を例にとって考えます。
◆ 各節の構成
1.身体への理解
2.ジェンダーと身体
3.女性の生殖経験の文化的多様性
4.権力との関わりあいからみる身体
5.「女性」のカテゴリーの差異と多様性
6.生のあり方の模索として
◆ 確認チェック!
□ 生物学的な性差をセックスとよびますが、社会的な慣習行為に支えられた性差ならびに性差 の意識の差異のことをなんというでしょうか。
□ マーガレット・ミードが1930年代に調査したチャンブリ社会では、ミードは男性と女性 のなにが他の社会のものと異なることを指摘したのでしょうか。
□ 身体の性別(セックス)と性差の自己認識(ジェンダー)の間に違和感をもち、性器形成手 術などを試みる必要性を感じる人びとのことを一般的にどう呼びますか。
□ セックスとジェンダーという通常の認識論的な区分に疑問を示し、自然と思われているセッ クスの概念すらも社会的な性差として構築されていることを理論的に主張した(2008年2月現在)カリフォルニア大学バークレー校の教授の名前をあげてく ださい。
□ 日本語の古語で「トリアゲ婆さん」とは、現代用語の専門用語風に翻訳するとどのような訳 語が考えられるでしょうか。(ヒント:TBAすなわち「伝統的 〜 」と呼ばれます)
□ 妙齢の女性にとってインドのヒンドゥー教のお祭りに行けない身体的条件とはなんでしょう か。言いかえるとタブーとされている身体的状態のことです。
□ 豊饒が重要視される伝統的なインドの社会において、既婚女性にとって、どのようなことが スティグマ(社会的烙印)になるのでしょうか。
□ 世界ではじめて国家政策として家族計画(出産のコントロール)を採用した国家はどの国で しょうか。
□ 松尾瑞穂が2002-2005年に調査したインドのある村での避妊手術のうち、最も多 かったのは次のうちどれでしょうか。(i)腹腔鏡手術、(ii)精管切除手術、(iii)卵管結紮手術。 □ シェーパー=ヒューズとロック(1987)の記念碑的論文「3つの身体」がありますが、個人的身体と政治的身体と、残りのひとつの身体はなんでしょう か(ヒント:「 〜 的身体」と表現)。
□ アフリカのイスラム圏の一部で女児の性器におこなわれる手術を英語の略称(アクロニム) でなんと呼ぶか(ヒント:Mutilation のMを含む3文字です)。
□ ピアッシング、タトゥー、摂食障害など、現代人が健康、清潔、強壮、快楽などの観念に強 迫的に支配されている状態を鷲田(2001)は「 〜 ・ボディ」と呼びました。この中に入る用語はなんでしょうか。
□ IUDとはなんのためにつかう道具(DすなわちDevice)なのでしょうか。
◆ 各章の構成[『医療人類学の レッスン』ポータル]
1「医療人類学の可能性 健康の未来 とは何か?」池田光穂
2「病気と文化 人間の医療とは何 か?」奥野克巳・山崎剛
3「呪術 理不尽な闇あるいはリアリ ティか?」池田光穂・奥野克巳
4「憑依 病める身体は誰のものか?」 花渕馨也
5「シャーマニズム シャーマンは風 変わりな医者か?」奥野克巳
6「グローバル化する近代医療 医療 は帝国的権力か?」奥野克巳・森口岳
7「リプロダクション 「産むこと」 は単純ではないのか?」嶋澤恭子
8「女性の身体 身体は所与のもの か?」松尾瑞穂
9「エイジングと文化 老いはどのよ うに捉えられているか?」福井栄二郎
10「心と社会 狂気をどのように捉 えればいいか?」池田光穂
11「今日における健康問題 なぜあ る人びとは病気にかからないのか?」池田光穂
◆リンク
◆文献
◆その他の情報
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