ワークショップ技法
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へい、おまち おすしやさんに いきたいな
対話・討議によるークショップ技法: Introduction to Organizing Workshop in Your Class(作者:いけだ・みつほ)
目次
1.ワークショップとは?
(1)参加者が専門家の意見・助言を聞きながら、ある特定の問題解決のためにおこなう共同研究(会)をワークショップ(WS)という。具体 的な問題に取り組む小規模の共同作業を基調としているために、転じて(2)教育目的を兼ねた研究合宿のようなものや小規模研究会なども含めてWSと呼ばれ ることがある。
2.問題解決技法を学ぶ2つの意義
WSにおける「特定の問題解決」をおこなう意義は2通り考えられる。まず、文字通り(1)その分野における〈学問上の問題の解法〉にむけて 皆が資料や知恵を出し合って議論するもの。これは問題解決のための背景知識が参加者に共有されている必要がある。次に(2)ある種の社会的現場における 〈特定の実践的問題の解法〉のために参加者が個人的経験や知恵を出し合って議論をするもの。後者は与えられた問題を解決するための答えを習得するよりも、 解法のプロセスにいたる知識や技法の〈ある特定の問題解決の過程〉に参加することを通して、意見表明の仕方、まとめ方、自分にはない発想の習得、伝達技法 などを学ぶことがWS開催の主眼となる。後者の場合は、参加者に対して求められる背景知識はそれほど必要ではなく、むしろWSの活動により自発的であるこ とが求められる。
3.WSの時間的構造
WSのうち、特定の問題を提示されて、その解法のために参加者が個人的経験や知恵を出し合って議論をするものには、時間軸に沿っておよそ 6つのステップが考えられる。すなわち、(i)アイスブレーキング、(ii)レクチャー、(iii)課題提示、(iv)グループ討論、(v)プレゼンテー ション、(vi)講評およびまとめのレクチャーの6つのステップである(図を参照)。以下にそれぞれのステップを簡単に解説する。
(i)アイスブレーキング
文字通り「氷の中」に閉じこもったよそよそしい参加者を「暖かなWSの場」に解放してあげる儀式である。伝統的に使われるのは児戯に類するコミュニケー
ションゲームで、短時間の間に多くの人と話をするためのタスクを楽しい雰囲気の中で試みられるものである。よくいわれるように内向的な引っ込み思案の人を
解放するというよりも、外向的な出しゃばりを含めて集団内のコミュニケーションモードを比較的自由に保障するように〈平準化〉することが重要である。個々
の技法は専門家に教えてもらうかマニュアルを参照する。
アイスブレーキングの時にくじ引きゲームなどをおこない(iv)グループ討論のためのグループ分けをおこなっておけば便利である。
(ii)レクチャー
その次のステップである課題提示の前に予備知識を授け、また考え方のパターンなどについて解説をすることが目的である。レクチャー冒頭にはWS全体のス
ケジュール紹介と、そのレクチャーが果たす目的について参加者が明確に理解できるように示しておく必要があるだろう。そのため個別知識を授ける一般の講義
や講演とは多少異なった趣旨で行われることを講師はよく自覚しておくこと。あるいは[論点先取(begging the question)の危
険を冒しても]議論の方向性について予め示唆しておくこ
とも必要になるかもしれない。
(iii)課題提示
グループ討論に入るまえに、解かれるべき問題を提示する。課題の通知において重要なのは、何をどこまで議論するのかを正確に伝えることである。またグ
ループ討論の形式、例えば司会と書記を決めておき、書記がプレゼンテーションをおこなうことなど、具体的な段取りもまた伝えておくことである。提起される
問題について合意を得られるように、時間的には短くてもよいが、形式や運営に関する基本的な質疑を受け付けておくのがよい。
課題提示には、統一した1種類の問題をそれぞれのグループでやらせるものと、各グループに別々のテーマを与えるもの、あるいはその中間形態である。
(iv)グループ討論
司会者と書記を決め、書記や司会者も含めて全員が平等に話せるように配慮するように指導する。議論を盛り上げるために、ファシリテーターを参加させた
り、巡回させたりしてもよい。司会者に求められるのは、発言の管理のみならず、時間内に課題の全てをこなす時間の管理の能力でもある。
(v)プレゼンテーション
グループ討論の時間が数日間かつ複数回におよぶ場合はコンピュータプレゼンテーションソフト(商品名:パワーポイント)を使ったものも可能であるが、通
常は模造紙あるいは大型の着脱式の張り紙(商品名:ポストイット)などを補助的用具として口頭で発表してもらう。司会者側の時間管理が要求される。学会な
どのプレゼンテーションの運営などの経験がない受講者のために、形式的な礼儀正しさを守ることは、プレゼンテーターやグループの志気を高めるために重要で
ある。
(vi)講評およびまとめのレクチャー
WSの企画者は、グループのプレゼンテーションに関する講評において、いわゆる「出たとこ勝負」でコメントを行ってはならない。WS以前に想定できるさ
まざまな議論の可能性について想定されうる議論を踏まえてよく事前に練ったコメントを予め用意しておくべきである。出てくる議論の論理的な分類を示してあ
げることが、参与者が他のグループでの討論の経過を想像することを大いに助ける。
コメントの構造が企画者にすでに練られたものであっても、プレゼンテーションで出てきたさまざまなキーワードやメタファーは適宜コメントに挟むようにす
れば、参加者の理解度も増すだろう。議論の成熟度だけでなく、そのプロセスに着目し、権威主義的ではない褒め方が重要になる。最初のレクチャーと関連性を
持たせ、何がどれだけ議論として達成されたかを明示してあげる。
以 上の方式を授業に応用したものが「ワークショップ形式でおこなう対話型授業」である。その運営モデルの図式を下記にしめそう。所要時間は休憩時間(15 分)を含めて2時間20分です。段取りがわかるようなればば半分スケジュールで休憩時間5分をとって70分程度になります。
画像をクリックするとgif画像が取り出せます
授業の実例:専門分野の知識とクライアント分析能力と行動予測をどのように考え るのか?(臨床コミュニケーション)
クレジット:池田光穂「対話・討議によるワークショップ技法」
参考:デブリーフィング/ディブリーフィング(Debriefing)とは?
軍事用語で上官が部下から前線や戦況の情報を聞くことをデブリーフィング、またはディブリーフィング(Debriefing)という。これ を外国語グループ学習の方法として応用すると、以下のような段取りをとることになる。1)先生から「聞き取ったことをレポートする活動」を行う旨を学生に 伝えておく、2)キーワードをメモにとることを伝えておく、3)(グループ学習時に)重要な用語をそれぞれ3語程度提案して、全員でどんなことを聞き取っ たのかを報告する、4)代表者が、グループ発表で報告する(これがデブリーフィング)、 5)聞き取りの全文などを公開したり、あるいは字幕付きなどで再度、閲覧して、自分たちのグループの発表に対する反省的な振り返りをおこなう。
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