イアン・パーカー大先生の質的心理学脱構築!!!
Ian Parker's "Qualitative Psychology," Open University Press, 2004
イ アン・パーカーによる『質的心理学』はなかなかイノベーティブな心理学教科書である。それは、質的心理学の教科書であり、卒論などの論文執筆にも役立つ情 報が掲載されているのみならず、質的調査法や心理学が前提としている、学問の機能やあり方を批判的に考察することもまた読者に要求されている。この書物 に、普通の教科書のように「何かを教えてくれる」ことを期待すると、著者から大きなしっぺ返しをもらうことだろう。なぜなら、彼が、本書の随所で主張して いることは、この学問は、誰のためにあり、なにを(学術的に)生産し、そして、どんな方向に私たち(研究者と被調査者)を誘うのか?をつねに考えよという ことなのだから。
1 |
基本原理 |
1)フェミニズム 2)ミッシェル・フーコー 3)精神分析 4)マルクス主義 | |
2 |
倫理 |
1)人間性 2)相違 3)個別性 4)了解不能点 5)異種混交性 | |
3 |
反省 |
1)集合的認知プロセス 2)身体化された関係 3)反省的内在批評 | |
4 |
エスノグラフィー |
1)脱-習慣化 2)権力関係 3)了解不能点 4)幻想空間 | |
5 |
インタビュー |
1)準拠枠 2)テーマ 3)ジェンダー 4)物語 5)抵抗 | |
6 |
ナラティブ |
1)主体性 2)時間性 3)出来事 4)文脈 5)フォーマット | |
7 |
言説分析 |
1)多声性 2)記号論 3)抵抗 4)社会的結合 | |
8 |
精神分析 |
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9 |
アクションリサーチ |
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10 |
評価基準 |
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11 |
論文作成 |
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12 |
ボックスリスト |
関 連ページとして、ラディカル構成主義入門、があります(本書 のタイトルの英語版あり)。また、これを使った授業として「訪問術A(質的研 究のデザ インA): 2020」があります。
Ian Parker, Qualitative psychology : introducing radical research, Open University Press c2005
ボッ クス・リスト(ある種の「研究改善のための」チップス集)
スタートが間違いの心 理学 | 心理学研究の多様性 | 量的研究をおこなうべ きか? | ラディカルな5つの方 法論への誘い | 最初から間違いだらけ の倫理委員会 |
倫理をめぐる歴史的文 脈 | 品行方正にすべきか? | 倫理研究への5つの方 法論 | 自己からはじめること が自然なのか? | 立場と行動を記述する 文脈 |
自分立場を知るべき か? | 反省的研究への5つの ステップ | コミュニティ心理学に 御用心! | エスノグラフィからは 遠い道のり | エスノグラフィ研究の 落とし穴 |
反植民地主義の理論的 系譜 | グラウンディドセオ リーに注意 | インタビューの各プロ セス | インタビュー研究の落 とし穴 | カーニバルのための? 理論リソース |
解釈学的現象学分析に 注意 | ナラティブ研究の段階 | ナラティブ研究の落と し穴 | アイデンティティをク イア化するための理論リソース | 会話分析に御用心! |
言説分析の段階 | 言説分析の落とし穴 | レトリックから神話、 その理論リソース | 自由連想ナラティブイ ンタビューに御注意 | 精神分析研究の各段階 |
精神分析研究の落とし 穴 | ラカン派精神分析と関 連理論リソース | ひとくちにエンパワメ ントと言ってもなぁ | 心理学と解放のための オープン・クエスチョン | アクションリサーチの チェックリスト |
そこで止まるな?!ア クションリサーチ | ひとくちに科学と言っ てもなぁ | 質的であるとはどうい うことか?:オープンクエスチョン | 質的研究のチェックリ スト | そこで止まるな、評価 基準をこえて |
わかりやすさと一言で いってもなぁ | クリエイティブライ ティングに関するオープンクエスチョン | よい論文のための チェックリスト | そこでとまるな、論文 執筆を超えて | |
Ian Parker, Qualitative psychology : introducing radical research, Open University Press c2005
同情に訴える |
特別扱いを求める |
罪悪感に訴える |
恐怖に訴える | 希望に訴える |
おせじをつかう |
ステイタスに訴える |
バンドワゴン・アピール(みなさんやってますよ!) |
愛情に訴える/信頼に訴える |
プライドや忠誠心に訴える |
誠実さに訴える |
ポピュリズム(俗情との結託) |
バンドワゴン・アピール(承前) |
くり返し |
自信 |
真面目さ、誠実さ |
単純化 |
ステレオタイプ化 |
かっこいい大風呂敷 |
スローガン |
転移 |
有名人の証言 |
「みんな仲間」です的な… |
俗物精神へのアピール:「やっぱりみんな愚直がいいのです!」 |
文脈を無視した統計 |
「たくさんの方が……」(多数派の威力に同調させる) |
問題のでっちあげ(悪者やスケープゴートをつくりだす) |
事実のでっちあげ(カードスタッキング) |
命令 |
ヒントを出す |
強調 |
証拠の選択 |
口調を変える |
言い回しを変える |
単語の選び方 |
たとえ(比喩、隠喩) |
並列 |
無関係なディテール |
イメージ単語 |
大げさなことば、ジャーゴン、ダブルスピーク、ゴブルディーグック |
悪いイメージのタン度 |
誘導尋問(コントローリング・クエスチョン) |
人格攻撃 |
地位や立場を非難する |
交友関係を非難する |
ポイズン・ウェル(井戸に毒を盛る) |
”オマエモナー”tu quoque("you too") |
質問返し(カウンター・クエスチョン) |
ノーンセクウトゥル(前提と結論が無関係) |
無関係なディテール(承前) |
脅しをかける |
無知に訴える論証 |
イプセ・ディキシット(”○○さんもおすすめ!”) |
過去または過去の権威に訴える |
漠然と権威にすがる |
決め付け |
信頼に訴える |
「聖域」 |
警句、故事成句、スローガン、ことわざ、決まり文句 |
ジャーゴン(専門用語) |
伝統や前例に訴える |
語源学の悪用(ハイデッガー?) |
不適切な平均 |
パーセントの悪用 |
サンプリングでだます |
あいまいな統計 |
個人的な保証 |
個人的な経験 |
ドミノ理論 |
神頼み |
憶測と事実の金堂 |
レッドへリング(意図的、偶然に討論に組み込まれた無意味なディテー
ル) |
ユーモア、皮肉、嘲笑、あてこすり、パロディ、仕草 |
気の利いたセリフ |
たとえ話を文字通りに受け取る |
ハッタリ |
重箱の隅をつつく・揚げ足を取る |
わからないふりをする |
相手の発言を拡大解釈する |
相手が言ってないことを言ったことにする |
単なる例にかみつく |
代案にかみつく |
問題のすり替え |
言葉のあいまいさを利用する |
厳密でない物言い |
口調のあいまいさ |
皮肉っぽい態度 |
強調 |
文脈と離れた引用 |
切り貼り引用 |
気のない称賛 |
あいまいな語法 |
文法的なあいまいさ |
並列 |
省略三段論法 |
語句の混同 |
多義語 |
大言壮語 |
ダブルスタンダード/ダブルシンク |
視野狭窄 |
循環論法(circular
reasoning)/論点先取(begging the question) |
必要条件、十分条件、寄与条件を混同する |
間接原因と直接原因の混同 |
自己正当化 |
原因と結果の取り違え |
続けて起きただけの現象に因果関係を見る虚偽 |
同時に起きただけの現象に因果関係を見る虚偽 |
原因でないものを原因として扱う/偶然 |
間違った結論 |
個別性の虚偽 |
複合質問 |
排中律/「2つにひとつ」の虚偽/「白か黒か」の虚偽 |
お手軽な分類 |
結論に飛びつく |
ヒゲの虚偽(ヒゲの総数を正確にかぞえられないが、それを数えられる/
だからアバウトでよい、などというはぐらかし) |
「すべて」の虚偽 |
”間を取って”/妥協の虚偽 |
循環定義/はぐらかし定義 |
堕落の虚偽 |
復帰の虚偽 |
時間の虚偽 |
より大きな悪の虚偽/ポリアンナ的解決 |
決意の虚偽 |
理想主義の虚偽 |
黙契の虚偽 |
にせのジレンマ |
アナロジーの悪用 |
統計の誤用 |
無意味な対比 |
無効な対比 |
一貫性の虚偽 |
半分だけの事実 |
質問にあいまいに答える |
回答をごまかす |
引き伸ばし |
”一歩一歩進もう” |
「もし」が多すぎる |
ドミノ理論(承前) |
相手の発言を言いかえる |
伝統と前例を持ち出す |
質問のすり替え |
意味論的あいまいさ/発言のあいまいさ |
構文的あいまいさ |
あいまいな接続詞 |
あいまいな並置 |
あいまいな「両方」 |
あいまいな「すべて」 |
あいまいな「か」 |
選択肢のひとつが真であることを理由に、もうひとつの選択肢を偽と考え
る虚偽 |
あいまいな「もし〜なら」 |
後件肯定の虚偽 |
前件否定の虚偽 |
条件連鎖(仮定の積み重ね) |
リ ンク
文 献
その他の情報
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