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同化

Assimilation among human being

池田光穂

同化(assimilation)とは、人間社会の なかで、より大きな集団、あるいはマイノリティーでも文化的ヘゲモニーを掌握した集団の価値や生活様式を、他の集団が取り込んでゆき、もともとあった自他 の差異が縮減してしたり、消滅したりすること。包摂や包合(absorption)と呼ばれることがある。

同化の代表的な例は、文化的同化(cultural assimilation) や宗教的同化(religious assimilation)である。文化的同化とは、(一般に)マイノリティグループが、優越する文化的態度や慣習を徐々に取り込んでいく過程のことであ る。宗教的同化とは、マジョリティが信奉する宗教に異教徒のマイノリティが改宗してゆくことであるが、改宗に儀礼的プロセスを踏む必要あり、改宗の難易に より、あるいは改宗に伴う宗教以外の要素(たとえば、政治的権利や経済的地位)が絡んで、宗教的改宗の進展の速度が変わる。

同化過程において、旧来の価値や生活様式が、消滅した後では、元々のものを復元することは容易ならざるものがあるが、さまざまな歴史的資料を駆使して、意図的に文化や言語を復元、復興することもみられる(→「文化復興運動」)

言語の同化過程には、言語交替(Languages shift) のように、部分的に置き換わるのではなく、もともとの言語を放棄してしまうことがみられる。たとえば、中米先住民における、個々の先住民言語は、モノリン ガル使用から、バイリンガル使用へ変化し、やがて、先住民言語の使用が消滅するという現象がある。アイヌ語や琉球語が、本土の標準日本語に交替することが あるが、このような言語交替は、民族アイデンティティの消失あるいは変化など、社会の中で問題化されることが多い。北米先住民の文化的同化(Cultural assimilation of Native Americans)は、北米先住民社会に深い傷跡を残していることは、周知の事実である。

また、民族宗教の独自性が強く、信仰共同体が父系親族とその配偶者と家族へと継承されるユダヤ人(ユダヤ民族)は、自発性にもとづいてユダヤ人に同化することがほとんど不可能である。そのためユダヤ同化(Jewish assimilation)と言われる同化過程は、反ユダヤ思想に基づく差別に遭遇しながらも、ユダヤ人がユダヤ教を保持しながらもホスト社会に同化するプロセス、すなわち同化ユダヤ人(assimilated Jew)を生み出す過程のことをいう。

また、フランスの植民地主義は、フランス革命を通し て人権宣言の思想を内面化する過程のなかで、フランス人になること=(イコール)普遍的人間になる、という形式的理念が採用されて、実際には、フランスの 植民地の被支配民は、過酷な人種主義に苛まれながらも市民権は付与されるという、複雑な受容すなわち同化(Assimilation  by French colonialism)がみられた。

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