さまざまな文化の理解にむけて
Foundations of understanding othre cultures
解説:池田光穂
「異文化理解(いぶんか・りか
い;Understanding of other cultures)とは、複数 の「文化」
の概念を前提にして、自分のそれ(=文化)
とは「異なる文化=異文化」を、理解した
り、解釈したりしようとする努力のことをさす(2002年熊本大学文学部で開催された授業シラバスが雛形になっています)」
[授業形態]演 習 (→課題文献を読み議論をおこない ます)
[授業目標]文化概念について理解する。文化の収斂と拡散、文化の中心 と周縁、文化の優越と没落が、権力構造と深 く結びついた諸相について理解する。
[授業の内容]異 文化も共生の概念も近代思想に由来するが、今日では さまざまな適用が可能なグローバルでさまざま局面で流 用可能な概念となった。グローバルポリティクスにおい てヘゲモニックな言語と なった英語を中心とした多言語 資料を用いて考究する。
[キーワード]文化、異文 化理解、グローバリゼーション、ポストコロニアル状況、マイノリティ・カル チャー、医療人類学
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テーマ |
文献 |
1 |
[1]文化の使われ 方<文化と権力> |
【1】R・ウィリアムズ「文化の分析」
『長い革命』若松繁信・妹尾剛光・長谷川光昭訳、 pp.43-69、ミネルヴァ書房、1983年[Williams, Raymond.
1965.The Analysis of Culture. in " The Long Revolution," pp.57-88.
London: Penguin Books ] 【2】太田好信「第2章 カルチュラル・スタディーズとの出会い」『民族誌的近代への介 入』、Pp.43-69, 人文書院、2001年(初出→太田好信「人類学/カルチュラルスタディーズ/ポストコロニアルモーメント、あるいは新たなる節合の可能性に向けて」『現代 思想』第24巻3号(1996年3月号)、pp.124-137、1996年) 【補足資料】文化の定義/文化概念の検討:連続講義ポータル |
2 |
[2]文化概念の誕
生から文化人類学の成立まで |
【3】H・ガードナー「人類学──個別
事
例を越えて」『認知革命』佐伯胖, 海保博之監訳 、pp.215-24、産業図書、1987年 【4】C・ギアーツ「厚い記述──文化人類学の解釈学的記述をめざして」『文化の解釈学 I』吉田禎吾ほか訳、pp.3-56、岩波書店、1987年 |
3 |
[3]人種主義に対 抗する文化主義 |
【5】D・フリーマン「第一章 ゴール
ト
ンと優生学と遺伝決定論」 「第二章 ボアズにお ける文化と遺伝」 「第三章 文化決定論の船出」 『マーガレット・ミードとサモア』木村洋二訳、pp.3-21、pp.22-38、pp.39-58、みす ず書房、1995年 |
4 |
[4]植民地・帝国
のエートスとしての文化主義 |
【6】J・トムリンソン「文化帝国主義
と
は何か」『文化帝国主義』片岡信 訳、 pp.10-70、青土社、1993年 【7】R・ロザルド「帝国主義的ノスタルジア」『文化と真実』椎名美智訳、pp.103- 132、日本エディタースクール出版部、1998年 |
5 |
[5]抵抗する<文化>の登場──サブカ
ルチャー入門 |
【8】アリエル・ドルフマンとアルマ
ン・
マラトゥール『ドナルド・ダッグを読む』山崎カヲル 訳、晶文社、1984年 【9】池田光穂「のらくろ帝国主義入門」 |
6 |
[6]多文化主義を 超えて |
【10】米山俊直編『現代人類学を学ぶ
人
のために』世界思想社、1995年 【11】G・スピバック「マルチ文化主義の諸問題」『ポスト植民地主義の思想』清水和子・ 崎谷若菜訳、pp.107-120、彩流社、1992年 |
7 |
[7]シド ニー・ミンツ『甘さと権
力』を精読する |
【12】シドニー・ミンツ『甘さと権力』
川北稔・和田弘光訳、平凡社、1988年/ Sweetness and power : the place of sugar in modern
history / Sidney W. Mintz, Penguin (1986) |
8 |
[8]古典的民族誌の読解 |
「アザンデ人の世界:序論」を読む 「『西 太平洋の遠洋航海者』序論およびトロブリアンド諸島住民(1章)」 |
9 |
[9]異質な他者への理解 |
コリン・タンブール「老年期」『豚と精
霊』 より、太田至訳,どうぶつ社、Pp.259-309、1993年 フレッド・ピアス「第一部異邦人の帝国」『外来種は本当に 悪者か?』より、藤井留美訳、草思社、Pp.18-148 |
10 |
[10]ノンフィクションの中の〈他者〉 |
ディビッド・ハルバースタム「8.ベトナ
ム・コミット メント」「12.マクナマラ伝説の虚構」「20.偉大さに憑かれた大統領」、以上、『ベスト&ブライテスト』1,2,3巻
より |
11 |
[11]貧困の文化について | オスカー・ルイス「サンチェスの家族、背
景」『貧 困の文化(五つの家族)』より ヘディ・プトラ「ベチャ引き ラヒムの家族、フィールドから」 『ベチャ引 き家族の物語』より |
12 |
[12]日本における草の根フェミニズム について | 山崎朋子「偶然の邂逅・2度目の旅へのた
めらい/おサキさんとの生活」 ・山 崎朋子『サンダカン八番娼館 : 底辺女性史序章』後半 ・Yamazaki Tomoko ; translated by Karen R. Colligan-Taylor, Sandakan brothel no. 8 : an episode in the history of lower-class Japanese women. |
13 |
[13]薬物・アルコール中毒者の世界 | ペッパー,アート(ローリー・ペッパー
と
の共著)「21-23章 シナノン(Pepper_straight_synanon.pdf)」
『ストレートライフ』より ・吾妻ひでお『失踪日記』イースト・プレス (2005)[Hideo Azuma, Disappearance Diary. Ponent Mon, 2008./ Diario de una desaparición / Hideo Azuma ; [traducción, Shizuka Shimoyama y Miguel Ángel Ibáñez Muñoz]Ponent Mon (2006)]/吾妻ひでお『アル中病棟』イースト・プレス (2013)/ |
14 |
[14]方法としての火星の人類学者 | オリバー・サックス「火星の人類学者」
『火星の人 類学者』より ドイッチャー「非ユダヤ人的 ユダヤ人・ユダヤ人とは何か」『非ユダ ヤ人的ユダヤ人』より ショーレム、ゲルショム「ヴァルター・ベンヤミン」『ユダヤ主義と西洋』高尾利数訳、河出書房新社、1973年 |
15 |
[15]学習発表のプレゼン |
これまで学んできたことを、受講生はプ
レ
ゼンしていただきます。成績評価に反映 |
[テキスト]課 題文献集を用意します
[参考文献]
[評価方法]授 業での発表(必須)ならびに試験 [履修上の指導]
[授業進行表]授業シラバス
クレジット:池田光穂「異文化理解の基礎2002(Foundations of understanding othre cultures)」
異文化共生特別演習 I
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