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感覚の人類学批判

Critique of Anthropology for Sensual Experience

池田光穂・滝奈々子

★感覚の人類学研究の10のテーゼ(命題)

1)感覚はどのような人たちにとっても「世界の窓」であるという観念を捨て去る必要がある。

2)それゆえ、感覚からなりたつ「知覚」経験は、価値中立であることは、まずあり得ない。

3)ブラニスロウ・マリノフスキーが理論化した、民族誌(エスノグラフィー)は、テキストに書かれたものであり、そのテキスト記述は、視覚経験と、現地のインフォーマントからインタビュー(=言語メディア)によって聴覚的に得られたものであることが中心となっている。

4)マリノフスキーの、民族誌の中心的なイデオロギーから自由になるためには、視覚以外の身体感覚、すなわち聴覚、嗅覚、触覚、味覚、あるいは「その他の感覚」を動員した、情報収拾と理論構築が必要になる。

5)感覚の分類と語彙と感覚のあいだの関係性は、それぞれの文化によって異なる。例えば、他の文化の感覚の分類は、われわれの分類体系によるそれらとは異なる。

6)西洋文化における「第六感」のような、超自然的感覚経験は、多くの文化に共通してみられる特色である。

7)感覚経験は、それぞれの文化における「ブラグマティックな効用」と関連づけられ、後者の巧拙(こうせつ:上手下手)と感覚経験はしばしば関連づけて論じられることが多い。

8)それぞれの文化の感覚秩序は、時間とともに変化する。すなわち、感覚秩序には、ある種の歴史性をもつ。

9)感覚の人類学研究には、(1)フィールド調査、(2)図書・文献研究、そして(3)インターネット・メディアを使った調べ物調査と(聴覚や視覚を中心した)情報収集、という3つの方法がある。

10)感覚の人類学研究は、それらの経験的調査からえられる感覚経験が、「自分が親しんだ経験」の近さや遠さ、親近感や違和感についての、記述から出発しなければならないので、自己の現象学的分析アプローチと、そこから得られる解釈学的分析が欠かせない。

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Copyleft, CC, Nanako Sarah Taki & Mitzub'ixi Quq Chi'j, 1996-2099

本研究は「中米・カリブにお ける感覚のエスノグラフィーに関する実証研究」研究代表者:滝奈々子の研究成果に負っている

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