Martin Heidegger, 1889-1976
マルチン・ハイデガー( Martin Heidegger, 1889年9月26日 - 1976年5月26日)は、ドイツの哲学者。ウィキペディアでは「マルティン・ハイデッガー」とも表記されるが、後者の表記法はハイデッガー翻訳の京都学派——その泰斗総帥は辻村公一(Koichi TSUJIMURA, 1922-2010)——の人たちが好んで使う(あるいはそれ以外の呼称を使いたがらない)用語法のように思われる(→「ハイデガーの狐」「ハイデガーとナチス」参照)。
マルチン・ハイデガー年譜(ウィキペディア日本語による)
1889 9月26日 メスキルヒにてフリードリヒ・ハイデッガーとヨハンナの第一子として生まれる
1903 ハインリヒ・ズーゾ高等学校(Heinrich-Suso-Gymnasium入学
1906 フライブルクのベルトホルト高等学校(Berthold Gymnasium)でアビトゥーアの準備
1907 ギムナジウム最終年にコンラート・グレーバー博士から、フランツ・ブレンターノの1862年の学位論文「アリストテレスにおける存在 者の多様な意義について」を贈られ、影響を受ける
1909 ティジスのイエズス会修練士修練期用新入生宿舎に登録、すぐに除籍。フライブルク大学神学部に冬学期から入学
1913 7月26日、指導教官はアルトゥール・シュナイダー教授を主査とし、副査ハインリヒ・リッケルトのもと学位論文『心理学主義の判断論 ──論理学への批判的・積極的寄与』を提出し、最優秀(summa cum laude)の評価
1919 プロテスタントに改宗。戦争緊急学期から1923年の夏学期までの時期、ハイデガーはフッサールの助手として勤めつつ、フライブル ク大学の教壇に立つ。
1922 論文『アリストテレスの現象学的解釈──解釈学的状況の提示』(ナトルプ報 告)
1923-28
1927 エドムント・フッサールによって創刊された『哲学および現象学研究のための 年報』の第8巻においてハイデガー『存在と時間』の初版を公刊。『現象学の根本 問題』(Die Grundprobleme der Phänomenologie)
1928 フッサールの後任としてフライブルク大学の教授に招聘され、就任
1929
4月、スイスのダボスで新カント派のエルンスト・カッシーラーとのダヴォス討論を行い、「神に存在論はない」「存在論を必要とするの は有限者だけである」と語った[152][153]。この討論にはルドルフ・カルナップも参加しており、ハイデガーに全てを物理学的用語で表現する可能 性について話すとハイデガーは賛同したという。
ハイデガーは、ヘルマン・コーエンは言うにおよばず、カッシーラあるいは、自分の師匠であるフッサールドイツの新カント派の、ドイツ国内における命脈を叩いたと信じていた(ブルデュ 200:102-109)。
1929 『カントと形而上学の問題』(Kant und das Problem der
Metaphysik、1929年)『形而上学とは何か』("Was ist Metaphysik?"、1929年)
1932 ルドルフ・カルナップは「言語の論理的分析による形而上学の克
服」
[477]でハイデガーの「形而上学とは何か」を批判し、形而上学は芸術の代用品にすぎず、形而上学者は「音楽的才能のない音楽家」でしかないと批判し
た
[478]。ハイデガーは講義草稿でカルナップの哲学は「数学的科学性という見かけの下に伝統的な判断論を極端に平板化し、その根を失わせたもの」で、
「こうした種類の哲学が、ソ連の共産主義と内的にも外的にも関連しているのも、そしてアメリカにおいてその勝利を祝うことになるのも偶然ではない」と書い
ている
1933 4月21日、ハイデガーはフライブルク大学総長に選出。ナチス入党。
1934 1934年4月23日の会議で総長辞任を伝える
1942 『存在と時間』第5版ではフッサールの献辞は削除される
1944 夏学期、ヘラクレイトス講義[287]。この講義のなかでハイデガーは「ドイツ民族が西洋の歴史的な民族でありつづけるのか、それ ともそうでないのかどうかという、このことだけが決定を迫られているのではなくて、今は大地の人間が大地もろともに危険にさらされているのであり、しかも 人間自身によってそうなのである[288]」「この惑星は炎に包まれている。人間の本質は支離滅裂になっている。ドイツ人がドイツ的なものを見出し、保持 するということが想定されるとすれば、世界史的な熟慮が生まれるのはドイツ人からのみである[289]」と語った
1945 11月から12月にかけてフランス占領当局によってフライブルク大学において非ナチ化を行う純化委員会の査問を受ける。
1946 夏、フランス軍政当局はハイデガーの無期限教職禁止令を指令。これは大学からの免職ではなく、研究教授としての在留を認めたもので もあった[5]。12月、バーデン州文部大臣から大学教職無期限停止令が下された
1949 11月から「ヨーロッパユダヤ文化再建委員会」のナチス略奪文化財の調査で訪欧していたハンナ・アーレントが、ヤスパースに会ったあ
と、1950年1月にフライブルクを訪問し、ハイデガーと会った[328]。ハイデガーはアーレントのホテルを訪れ、またハイデガーの家では妻エル
フレーデと三人で会ったが、諍いとなった
1951 復職し、退官教授
1952 5月19日、ハンナ・アーレントは再びフライブルクを訪問し、ハイデガーと会った[335]。6月6日の夫への手紙でハイデガー の講義はすばらしいものであったが、その妻とは悶着をおこし、ハイデガーの5万ページの未発表原稿は「本来ならそれを彼女(妻エルフレーデ)が数年のあ いだにスムーズにタイプすることができていたはず」なのにしなかった、ハイデガーが頼れるのは弟だけと報告している。
1953 (講義録)『形而上学入門』がマックス・ニーマイヤー書店より再刊される。当時24歳の学生ユルゲン・ハーバーマスは「『存在と時間』の魅力に 取り憑かれていただけに、文体の隅々までファシズム的なものの染み込んでいるこの講義を読んで大きなショックを受け」、「ハイデガーとハイデガーに対 して考える」を1953年7月25日フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング紙上に発表し「この運動の内的真理と偉大さ」という文中での表現に ついて注釈も序文での説明もないまま刊行したハイデガーを「ファシスト的知性」と非難し、「数百万人の人間に対する、今日我々みなが知っている計画的な 殺人も、運命的な迷誤として存在史的に理解することができるというのだろうか。それは帰責能力をもって殺人を行った人々の実際の犯罪ではないのか。それに 対しては、一つの民族全体が良心の呵責を感じねばならぬのではないのか」と質問した。
1953 1927年の初版以来『存在と時間』の冒頭には「上巻」の文字
があったが、ハイデガーは1953年の第7版からこれを削除。
1967 7月24日、詩人パウル・ツェランがフライブルク大学で朗読会を開き、ハイデガーも聴衆としており、翌日7月25日、トートナウベ ルクのハイデガー山荘を訪れた[371]。ツェランから詩を送られたハイデガーは1968年1月30日付礼状書簡で「私は幾つかのことはまだ、いつの 日か、無-言を脱して対話に入れるものと思っています」と書いた[372]。1967年、ハンナ・アレントがハイデガーを訪問。
1969 ハンナ・アレントが夫ハインリヒ・ブリューヒャーとハイデガーを訪問し、それからは毎年のようにハイデガー宅を訪問する
1976 5月26日死去
1987 チリ出身のユダヤ人哲学者のヴィクトル・ファリアス(Víctor Farías, b. 1940)は、Heidegger y el Nazismo, を出版し、それが翻訳されて、ヨーロッパで大スキャンダルになる。ガダマーやデリダ『精神について』は、ファリアスのハイデガーの読みを批判することで批 判し、ハイデガーの反ユダヤ主義はすでに知ら れて問題にならずとした。ハイデガーを生粋のファシストとしたい派と、ハイデガーの哲学上のゆるぎない業績と、ハイデガーの「世俗的で矮小な」アイヒマン 的なナチへ関与には関心のない「哲学ユートピア」派に、無残にも別れてしまった。ハイデガーの詳細な伝記を書いたザフランスキーも、擁護派に回っている。 それぐらい、ハイデガーの思想は偉大ということか?
1989 マールブルク大学と同時期にやはりハイデガーを招聘しようとしていたゲッティンゲン大学のゲオルク・ミッシュに提出した同内容の論 考が発見され、その内容から「ナトルプ報告」が『存在と時間』の初期草稿であるとする推測の正しかったことが証明。
2013 ヴィットリオ・クロスターマン社全集94-96巻に掲載されたハイデガーが1930年代から1970年代にかけて書き続けた手稿
「黒ノート」に反ユダヤ主義についての箇所があることが問題に。ジャン=リュック・ナンシーのみが、一番まともで、
「ハイデガーのナチス協力とナチスへの信
奉はゆるぎないもので、誰も知っていたことで、ハイデガーが反ユダヤ主義に加担したことは1950年代から知られていたし、ハイデガーの限界とは我々
の限界でもある」と論じた Jean-Luc
Nancy,Faust Kultur,2014.
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