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クリティカル・シンキング

On Critical Thinking

池田光穂

クリティカル・シンキング(Critical thinking)について考えるのが、このページの目的である。クリティカルシンキングとは「適切な規準や根拠に基づく、論理的で(俺にとっての——引用者註)偏りのない思考」のことである(ゼックミス タとジョンソン『ク リティカルシンキング入門編』「不正論理入門」より)。

日本語のウィキ「批判的思考」には、下記のような記 述がある。しか し、これは独自研究のようである。その理由のひとつとしては、英語のクリティカル・シンキングの定義と、その歴史との齟齬がかなりあるように思われる。

「批判的思考は1930年代のアメリカの教育学にお いて主張されはじめ、1960年代の教育の現代化にともない注目された。1970年代の基礎学力重視理論に一時忘れられるが、1980年代にまた再注目さ れたもので[2]、アメリカの教育学、心理学などの分野で非形式論理学(形式論理学とは異なる一般の議論などにおける論理に関する学問)とも関連して形成 された」(ウィキ:「批判的思考」)

1:E・B・ゼックミスタ、J・E・ジョンソン 『クリティカルシンキング 入門篇 あなたの思考をガイドする40の原則』 宮元博章・道田泰司・谷口高士・菊池聡 訳、北大路書房、1996, ページ不詳。2:道田泰司「批判的思考の諸概念 人はそれを何だと考えているか?」、『琉球大学教育学部紀要』第59号、琉球大学教育学部、2001年9月、 109-127,出典ページ不詳

そして、以下が英語である。

 "Critical thinking is the objective analysis of facts to form a judgment.[1] The subject is complex, and there are several different definitions which generally include the rational, skeptical, unbiased analysis or evaluation of factual evidence."

"Critical thinking was described by Richard W. Paul as a movement in two waves (1994).[2] The "first wave" of critical thinking is often referred to as a 'critical analysis' that is clear, rational thinking involving critique. Its details vary amongst those who define it. According to Barry K. Beyer (1995), critical thinking means making clear, reasoned judgments. During the process of critical thinking, ideas should be reasoned, well thought out, and judged.[3] The U.S. National Council for Excellence in Critical Thinking[4] defines critical thinking as the "intellectually disciplined process of actively and skillfully conceptualizing, applying, analyzing, synthesizing, or evaluating information gathered from, or generated by, observation, experience, reflection, reasoning, or communication, as a guide to belief and action."[5]"

Argument terminology used in logic

1: Edward M. Glaser. "Defining Critical Thinking". The International Center for the Assessment of Higher Order Thinking (ICAT, US)/Critical Thinking Community. Retrieved 2017-03-22.; 2: Walters, Kerry (1994). Re-Thinking Reason. Albany: State University of New York Press. pp. 181–98.; 3: Elkins, James R. "The Critical Thinking Movement: Alternating Currents in One Teacher's Thinking"; 4: Critical Thinking Index Page". 5:  "Defining Critical Thinking"


出典:沖裕貴「大学におけるルーブリック評価導入の 実際」 立命館大学高等教育研究14号:http: //www.ritsumei.ac.jp/acd/ac/itl/outline/kiyo/kiyo14/06_oki.pdf (→大学教育改革用 語集「ルーブリック」)

●Jenkins, Stephen H.『あなたのためのクリティカル・シンキング』廣瀬覚 訳、共立出版、2021年

「認知バイアス、データ、因果と相関、グラフの活用 法、エビデンスの重み、モデルの役割…チョウの渡り行動から、感染症の拡散、遺伝率、気候変動まで科学のさまざまな分野の話題わ材料として、クリティカ ル・シンキング(批判的思考)の勘所をやさしく解説」

●クリシンの実践は「誤った論理構成」を見破ることな ので、人々がいかに容易に「不正論理」(Logical fallacies)にハマってしまうのかについての批判的一瞥が必要となろう。

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01同情に訴える
特別扱いを求める
罪悪感に訴える
恐怖に訴える
希望に訴える
おせじをつかう
ステイタスに訴える
バンドワゴン・アピール(「みなさんやってま すよ!」というような言挙 げ)
愛情に訴える/信頼に訴える
プライドや忠誠心に訴える
11誠実さに訴える
ポピュリズム(俗情との結託)
バンドワゴン・アピール(承前)
くり返し
自信
真面目さ、誠実さ
単純化
ステレオタイプ化
かっこいい大風呂敷
スローガン
21転移
有名人の証言
「みんな仲間」です的な…
俗物精神へのアピール:「やっぱりみんな 愚直がいいのです!」
文脈を無視した統計
「たくさんの方が……」(多数派の威力に 同調させる)
題のでっちあげ(悪者やスケープゴートをつくりだす)
事実のでっちあげ(カードスタッキング)
命令
ヒントを出す
31強調
証拠の選択
口調を変える
言い回しを変える
単語の選び方
たとえ(比喩、隠喩)
並列
無関係なディテール
イメージ単語
大げさなことば、ジャーゴン、ダブルスピーク、ゴブルディーグック
41:悪いイメージのタン度
誘導尋問(コントローリング・クエスチョ ン)
人格攻撃
地位や立場を非難する
交友関係を非難する
ポイズン・ウェル(井戸に毒を盛る)
「オマエモナー」tu quoque ("you too")
質問返し(カウンター・クエスチョン)
ノーンセクウトゥル(前提と結論が無関係)
無関係なディテール(承前)
51:脅しをかける
無知に訴える論証
イプセ・ディキシット(”○○さんもおすすめ!”)
過去または過去の権威に訴える
漠然と権威にすがる
決め付け
信頼に訴える
「聖域」
警句、故事成句、スローガン、ことわざ、決まり文句
ジャーゴン(専門用語)
61:伝統や前例に訴える
語源学の悪用(マルチン・ハイデガーさ ん!!!)
不適切な平均
パーセントの悪用
サンプリングでだます
あいまいな統計
個人的な保証
個人的な経験
ドミノ理論
神頼み
71:憶測と事実の金堂
レッドへリング(意図的、偶然に討論に組み 込まれた無意味なディテール)
ユーモア、皮肉、嘲笑、あてこすり、パロディ、仕草
気の利いたセリフ
たとえ話を文字通りに受け取る
ハッタリ
重箱の隅をつつく・揚げ足を取る
わからないふりをする
相手の発言を拡大解釈する
相手が言ってないことを言ったことにする
81:単なる例にかみつく
代案にかみつく
問題のすり替え
言葉のあいまいさを利用する
厳密でない物言い
口調のあいまいさ
皮肉っぽい態度
強調
文脈と離れた引用
切り貼り引用
91:気のない称賛
あいまいな語法
文法的なあいまいさ
並列(→37)
省略三段論法
語句の混同
多義語
大言壮語
ダブルスタンダード/ダブルシンク
視野狭窄
101:循環論法(circular reasoning)question) 必要条件、十分条件、寄与条件を混同する 間接原因と直接原因の混同 自己正当化 原因と結果の取り違え 続けて起きただけの現象に因果関係を見る 虚偽(→随伴現象) 同時に起きただけの現象に因果関係を見る虚偽 原因でないものを原因として扱う/偶然 間違った結論 個別性の虚偽
111:複合質問 排中律/「2つにひとつ」の虚偽/「白か黒 か」の虚偽 お手軽な分類 結論に飛びつく ヒゲの虚偽(ヒゲの総数を正確にかぞえら れないが、それを数えられる/だからアバウトでよい、などというはぐらかし) 「すべて」の虚偽 「間を取って」/妥協の虚偽 循環定義/はぐらかし定義 堕落の虚偽
復帰の虚偽
121:時間の虚偽
より大きな悪の虚偽/ポリアンナ的解決
決意の虚偽
理想主義の虚偽
黙契の虚偽
にせのジレンマ
アナロジーの悪用
統計の誤用
無意味な対比
無効な対比
131:一貫性の虚偽 半分だけの事実
質問にあいまいに答える 回答をごまかす
引き伸ばし
「一歩一歩進もう」
「もし」が多すぎる
ドミノ理論(→69)
相手の発言を言いかえる
伝統と前例を持ち出す
141:質問のすり替え
意味論的あいまいさ/発言のあいまいさ
構文的あいまいさ
あいまいな接続詞
あいまいな並置
あいまいな「両方」
あいまいな「すべて」
あいまいな「か」
選択肢のひとつが真であることを理由に、もうひとつの選択肢を偽と考え る虚偽
あいまいな「もし〜なら」
151:後件肯定の虚偽
前件否定の虚偽

条件連鎖(仮定の積み重ね)
論点先取(begging the question)」






リンク

文献

その他の情報

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ク リティカル・シンキング:E.B. ゼックミスタ, J.E. ジョンソンの教科書より——情報は北大路書房より

"The authors emphasize principles of reasoning and problem solving that are relevant to everyday thinking and demonstrate that an effective principles approach to critical thinking can resolve many common dilemmas. This book should be of interest to A Level students of psychology." - Nielsen BookData.

1章 クリティカルな思考とは何か、いかに学べばよいのか


2章 ものごとの原因について考える


3章 他人の行動を説明する


4章 自分自身を省察する


5章 信念を分析する


クリティカルシンキングのための原則

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6章 自分は何を知っているかを知る


7章 問題を解決する


8章 意思決定をする


9章 良い議論と悪い議論


10章 エピローグ


クリティカルシンキングのための原則


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文献:

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