日本における科学技術政策の人類学
——科学技術基本法以降の大学と研究開発——
Cultural Anthropology of Science and Technology in Japan: After the
Basic Act on Science and Technology, Act No,130 of November 15, 1995
もくじ
1.現状分析と本発表の目的
1914年と1917年にジョン・デューイとラビンドラナート・タゴールは、それぞれ人間の価値や教育が、道徳的に人格的な完成をめざすことよりも、科
学の権威の肥大化により、機械の正確さに追随するほうがよいという世界のトレンドに警鐘を鳴らしていた
。科学技術イノベーションに対する健全な批判的精神である。そして現在、原子爆弾や原発事故の悲惨さや人間の技術管理の限界を経験しながらもなお、人類は
イノベーションに期待しかつ跪拝する。ある複数の大学では「科学技術イノベーション政策のための科学」と称する大学院教育をおこない〈科学が人智により馴
致可能である〉という楽観的なビジョンを恥ずかしげもなく吹聴している。この発表は、現今のその流れに抗して、かつてあった健全な悲観的感性の喪失を憂い
つつ、人類学がもちつづけている心に満ちた(mindful)ユートピア主義により克服しようとするものである。
現在、日本学術振興会の科学研究費補助金(科研)
の分科・細目名の中に「科学社会学・科学技術史」があるが、キーワード(記号)も含めて科学人類学という用語はない。私の文化人類学者としての具体的野望
は、この中に「科学人類学」の用語と批判精神をきちんと埋め込むことであり、そのような研究を通した判断と批判の実践である。
2.日本の科学技術政策とそのエコシステム
日本の科学技術政策は1990年代に大きく変わった。特に1995年11月15日に施行された科学技術基本法(平成7年法律第130号)の影響は大き
い。これに前後する1990年代は、この科学技術基本法やポスドク1万人計画のほかにも、様々な改革が行われた。例えば大学設置基準の大綱化(1991
年)、大学院重点化(1991-2008年)、国立大学法人化(2004年)、21世紀COEプログラム(2002-2006年)等の大型資金の投入、と
いったことである。まとめると、これらの改革は、(1)シンメトリカル・アクセスや基礎研究の強化という米国からの外圧への対応と、(2)科学技術関連予
算を増やしキャッチアップ型の経済から世界経済のフロントランナーとして日本国を「科学技術創造立国」化するという、大きく分けると二つの方向性があった
と言える。
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このようなトレンドの背景にあるのは、経済界の動 きに呼応して、〈科学技術イノベーション〉を引き起こすインキュベーターとして、一方に大学や企業の研究機関があり、それらと政府などの公的機関があり、 これらの(研究セクターと制御セクターの)両機関こそが、研究開発(Research and Development, R&D)の先導的駆動ための両輪である、という日本独自の発想があった。事実、先に述べた基本法にもとづく政策誘導をしてきたのは、かつての科学 技術庁(1956-2001)であり、中央省庁の再編後は、それを引き継いだ文部科学省(科学技術・学術政策局、研究振興局、研究開発局)とそれが所轄す る国立研究開発法人・科学技術振興機構(JST, 1996-)である。
このように日本政府が科学技術振興に積極的に取り 組むようになったのは、ニューミレニアム以降、米国におけるバイ・ドール法 (1980年)などに刺激を受け、研究と開発(R&D)への国家介入のトレンドをなぞるものである。実際、日本では、1999年産業活力再生特別 措置法第 30条が、バイ・ドール法に相当するもの と自ら喧伝するものの、政府による研究の委託を受けた研究者と公営あるいは民間への技術移転の促進化の歴史には、20年に近い時間的ギャップがある。
この状況のなかで、私は、国立大学大学院教育にお
ける高度教養教育を担当する部署において学問領域を超えて、専門家と市民が対話できる可能性を目論んだコミュニケーション・デザイン教育に12年以上関
わってきた。大学院共通教育は、それ自身の独自の理念を設定できるが、大学中枢当局からは、国立大学の運営経費の予算取得、科学研究費補助金や各省庁が提
供する競争的研究資金を含む種々の外部研究資金の調達、そして学内の寄附講座・寄附研究所等を通して流入する研究教育運営等の資金を、積極的に獲得するよ
うに、さまざまな学内の運営上の指導がおこなわれてきた。そこでの純粋な「科学的な調査研究」の動機と内容とは裏腹に、その研究費取得過程や研究成果の発
表、さらには学内外の組織との連携模索という、研究のプロセスには、ミクロ・マクロを問わず、さまざまな政治的介入があることを日々経験し実感している。
3.政府がなぜ科学技術政策に血道をあげるのか?
レントシーキング(rent-seeking)という言葉がある。レントを求める/探すという意味である。レントとは元来「地代」のことをさすが、今日
では所有権から得られる経済的な利得全般をさす表現になった。レントシーキングは、日本語での「利権追求」にほぼ近い。ノーベル経済学受賞者であるジョゼ
フ・スティグリッツは、(a)現代の富裕層が公共財を私有すること、(b)事業を独占すること、またそういった状況を作り出すために(c)政府機
関を動か
すことなどで富を生み出している、と非難している[スティグリッツ
2012:85]。知的所有権などのレントは〈イノベーションの源泉〉であるとされる。しかし、スティグリッツは、実は歴史的にみると、コンピューターの
基礎を築いたアラン・チューリングやトランジスターの発明者たち、DNAの初期の研究者たち、そしてWWW(ワールドワイド・ウェブ)を開発したティム・
バーナーズ=リーなどの名前をあげて、これらの人々はイノベーターであるが、レントを目的にしておらず、またレントからほとんど利益を得ていなかった、と
指摘している。過去と現在では、レントとイノベーションの関係の位相が異なるのだ。今日、深刻な問題であるのは、レントのやりとりにおいて社会的便益のロ
スが生じ、レントシーキングの多くが公益という観点から評価すればマイナス・サム・ゲームになっていることだ、とスティグリッツは論じる。ゼロ・サムとい
うのは片方が立てば別の片方が立たずという利益が相殺されて総和(サム)がゼロになることを言う。他方、マイナス・サム・ゲームとは、すべてのゲームの終
了において誰も得する者がいないプレーのことをさす。現代社会においては、チューリングの時代と異なり、大学の研究活動も密接にレントと結びついており、
レントシーキングとイノベーションにおける利得(ベネフィット)の算出ゲームの間に明確な峻別をすることは不可能である。研究活動は、容易にグローバルな
サブシステンスを収奪するように設計されてしまうのである。水道事業などの公共財を私営化するといったことは典型的なレントシークであり、受益者へのコス
ト負担の低減やそれを促進させる積極的な技術革新を誘導しないかぎり、また古典的な自由市場の原理に委ねるかぎり、必ずしもイノベーションを保障するもの
ではない、ということはここで、認識しておく必要がある。
ピーター・ドラッカーはしばしば、米国においてす ら企業がガバナンスに失敗しており、その理想形は非営利組織において実践されている、と述べていた[ドラッカー 1992:247-284]。例えば、上下水道などのコストのかさむ公共事業などは民間に売却し、民営化(私営化)することが世界的な傾向にあるが、これ らは結局のところレントシークの一形態に過ぎず、ユーザーである地域住民に利益をもたらすことはほとんどない。そこで、政府でもなく、私企業でもない形態 として、NGOとして運営する、という方法がある自治体では取られるようになってきている。この場合、成功するかどうかは事業の透明性を担保し、住民が組 織運営に参加するかどうか、というところが鍵になるだろうと言われている 。
しかし、日本においては、企業の役割が突出して大き く、また信頼を集めているため、NGOや宗教団体も含めた非営利組織の役割は軽視されており、そう いった分野での人々の経験も乏しい。このことは、レントシークを制御し、オープンなイノベーションを実践するためには、非常に大きな足かせになっている。 スティグリッツら[2017]は、日本の指導層がとりつつあるワ シントン・コンセンサス(1989)にもとづくいわゆるネオリベラル経済が掲げる市場の自 由にゆだねるやり方に警鐘を発している 。その代わりに、日本の戦後経済が達成してきた、政府が教育現場のみならず産業現場において人びとの学びをもとにした社会的編成——彼らは「学習する社会 /学んでいる社会(learning society)」と呼ぶ——を政府と産業界そのものが、市民と協力しながら、今後とも育成進展させてゆくことの重要性を説いている。
4.イノベーション・コントロールのマインドセット
したがって、私たち、人類学者は「新しいイノベーションを生み出し
ていくために[いわば闇雲に]学ぼう」というスローガンに安直に乗るべきではない。そ
うではなく「新しいイノベーションを生み出していくために、どのようなことが必要であり、そこから生まれるマイナスの側面(例:レントシーキング)をどの
ように回避するのか?」ということを真面目に、じっくりと考えることである。「新しいイノベーションを生み出していくために学ぼう」というスローガンや詐
術に乗っかる前に、国民の大切な税金を投入する政府の動きを注意深く観察しなければならない。
さて、今年に入って、人類学者のマインドを激怒さ せることがおこった。それは内閣府による空疎なイノベーション提言である。すなわち、内閣府は2018年1月4日付けでSociety 5.0の特設ページを開設した。これは2017年度のCSTI(総合科学技術・イノベーション会議)によるコンセプト提言としてすでに準備されてきたもの で、狩猟社会をSociety 1.0、農耕社会を2.0、工業社会を3.0、情報社会を4.0として、IoT(Internet of Things)を軸に社会が変わる「超スマート社会」をSociety 5.0と位置づけている。新しいヴァージョンの番号を更新すれば、なにかざん新なものを得ることができるというのは霞が関の徒な妄想である。ヴァージョン の番号の改進命名は、2004年のWeb 2.0 ぐらいから、イノベーション政策や開発に携わる人たちのバズワードになってきた。その中でも、2011年にドイツ工学アカデミーとドイツ連邦教育科学省が 発表した、政府が推進する製造業の高度化を目指す国家戦略のためのコンセプトであるインダストリー4.0(Industrie 4.0[Vier-Punkt-Null], Industry 4.0)は近年ではもっとも成功した用語のひとつであると言われている。内閣府のSociety 5.0は、まず用語法としてはドイツのものを流用し、そしてその似非(=擬似)進化モデルは、文化人類学の新進化主義のアイディアの剽窃あるいは変奏であ る。もう一度言おう、内閣府のSociety 5.0は、人類文化のドミナントな生業形態の変化をイノベーション像として安物の創造として提示する空っぽの幻影である。我々は国民を騙す内閣府のこの誇 大妄想的なプロパガンダに対して、声高に批判しなければならない。体制に寄生するSTS自称「科学者」の思想的バラックはその程度のものである、と。
この批判については、研究集団に対して標語のよう に批判すれば済まされると言う問題ではない。学会としての良心からの批判を、声をあげておこなうべきだろう。そして大学人は、いつまでも人文系/理科系と いう「2つの文化」というセクショナリズムに拘ってもいけない。他方で、学際融合という研究開発(R&D)の利権をマフィアならぬヤクザのシマのみかじめ 料――まさにレントーーのように考えてもいけないだろう。イノベーション礼賛主義者の声高のスローガンに、いまこそ文化人類学者がフィールドワーク経験を 通して培ってきた民族誌的理性(ethnographic reason )をもって、「科学技術は本当に我々の生活をどのように変えたのか?」そして「何が個々の人々にとって幸せをもたらすのか?」と市井の人たちに真摯に問い かけるべきだろう。闇雲なイノベーション羨望から冷静になることで、「科学人類学」 の知的探求は始まるのではないだろうか(cf. ヌスバウム2013)。
●研究者の側のラットレース
研究者が業績をあげて、学者集団ならびに社会的地位 を上げようとする活動、ネズミの競争に例えてしばしば「ラットレース」と言われているものは、哲学者ユルゲン・ハバーマスにより「業績イデオロギー (Leistungsideologie)」(Leistungsgesellschaft) と『イ デオロギーとしての技術と科学(Technik und Wissenschaft als Ideologie)』(pdf) の中で呼んだ。
1 労働と相互行為—ヘーゲルの「イエナ精神哲学」
への註
2 “イデオロギー”としての技術と科学
3 技術の進歩と社会的生活世界
4 政治の科学化と世論
5 認識と関心
◎最初の成功譚としての「理化学研究所」
「財団法人理化学研究所は1917(大正6)年3 月、総裁に伏見宮貞愛親王殿下、副総裁に渋沢栄一と菊池大麓(帝国学士院長、元文部大臣)を迎え、初代所長に菊池が就任して活動を開始した。物理部の研究 員として東京帝大の大河内正敏(造兵学)(1878-1952)、鯨井恒太郎(電気工学)、化学部は鈴木梅太郎(農芸化学)、田丸節郎、和田猪三郎(純正 化学)の各教授、東北帝大から真島利行(有機化学)らが選ばれた。しかし、菊池は就任5カ月で急逝、その後を継いだ古市公威(土木学界の長老)も1921 (大正10)年9月、健康上の理由で辞任し、大河内が第3代所長に就任した。この大河内こそ、理研の黄金期を作り上げた人物である。第3代所長の人選に当 たり、理研の長老であった長岡半太郎らは強い危機感を抱いていた。それは初代所長が急逝、第2代所長も病弱であったので、第3代所長人事を間違えると理研 は致命傷を受けると考えたのである。長岡らが白羽の矢を立てたのが、弱冠42歳の俊秀、新進気鋭の大河内である。大河内は当時、理研研究員、貴族院議員で 子爵、東京帝大教授であった。大河内は、所長として次々と改革を断行、それによって、後に100年に1人の英傑と称されるようになるが、長岡らの人選はま さに的を射たのである。」大河内正敏と理研コンツェルン、より)
理研紹介映画『科学の殿堂』完全版 1942年(昭
和17年)制作(38分46秒)大河内正敏の言葉は1分51秒~3分04秒に収録。
謝辞:
本研究は、大阪大学COデザインセンター機能強化経
費から支援をうけた平成29年度調査研究プロジェクト「次世代イ
ノベーション人材育成にむけた企業現場における高度汎用力教育の具体像に関するニーズ調
査:大阪科学技術センターと大阪大学の連携強化にむけて」からの支援をうけているものである。大阪大学の関係者に深謝すると同時に、本調査事業に
関わった
すべての関係者(全国地域技術センター連絡協議会傘下の各地の公益財団法人ならびに一般財団法人関係者)に感謝する。
註
■クレジット:Mitsuho Ikeda,
"Cultural anthropology of Science and Technology, in Japan," in the
52nd Annual meeting of the Japanese socitey of cutral
anthropology./第52回日本文化人類学会研究大会、弘前大学人文学部、2018年6月2日発表原稿。(c)Mitsuho Ikeda
● コロナ禍における大学の急速なデジタル化に関する追記 (2020年8月11日)
大学のデジタル教育惨状は以前に文科省は警鐘を鳴ら していた!つまり、2019年12月3日に文科省国立教育政策研究所は「OECD 生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)のポイント(pdf)」 という資料をまとめて関係者に配布していました。その報告書は驚愕のもので、読解力、数学リテラシー、科学的リテラシーとも近年低下傾向にあり、過去の歴 史的比較のなかでも最低ラインということ。科学的リテラシーについては、いまだトップレベルであるものの、「日本は学校の授業(国語、数学、理科)におけ るデジタル機器の利用時間が短く、OECD加盟国中最下位」。またオンライン利用は、チャットやゲームなどの頻度は高い一方で「コンピュータを使って宿題 をする頻度がOECD加盟国中最下位」です。折しも、数日前の日経新聞は、科学論文の生産量が中国がトップになったという報道をしていました。今般のコロ ナ禍により、大学生の勉強時間が「増えた」、「負担に感じるほど」宿題課題に取り組んでいる時間が増えたとの報告があります。ドロップアウトや「うつ」あ るいは、逆に反社会的な「コロナ・パーティ・アクション」に参加するなど、さまざまな、コロナの社会的規制による弊害は生じていますが、これを機会に、現 場の皆さんが、さらに、教育を授けるほうにも、受けるほうにもストレスなく、「デジタル黒船到来の時代」ぜひ、サバイブしてくださるようにお願いします。 大臣はともかく、文科省も優秀な官僚も多くいるはずです、政府の良質な部分への対話を通して、日本の教育をよくしていくのは、現場のみなさんしかおられま せん。がんばってください。
文科省国立教育政策研究所は「OECD 生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)のポイント」(pdf)
●科学技術信仰による闇雲なイノベーション期待(妄 想)は、150年体制はますます続く
(内閣委員会) 科学技術基本法等の一部を改正する法律案(閣法第四七号) (衆議院送付)要旨 本法律案の主な内容は次のとおりである。 一、科学技術基本法の一部改正 1 法律の題名を「科学技術・イノベーション基本法」とする。 2 法律の振興対象に「人文科学のみに係る科学技術」及び「イノベーションの創出」を加える。 3 「科学技術の振興に関する方針」を「科学技術・イノベーション創出の振興に関する方針」とし、同 方針に、科学技術・イノベーション創出の振興は、研究者等及び研究開発の成果を活用 した新たな事業 の創出を行う人材の創造性が十分に発揮されることを旨として行われなければならない旨等を加える。 二、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律の一部改正等 1 法律の対象に「人文科学のみに係る科学技術」を加える。 2 成果を活用する事業者等に対する出資等の業務を行うことができる研究開発法人として国立研究開発 法人防災科学技術研究所等の五つの法人を追加するとともに、研究開発法人の出資先事業者が民間事業 者等と共同研究等を実施できることを明記する。 3 中小企業技術革新制度について、イノベーションの創出を促進する観点から、根 拠規定を中小企業等 経営強化法から科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律に移管するとともに、国等が研究 開発課題を設定して中小企業者等に交付する指定補助金等を指定する等の見直しを行う。 三、内閣府設置法の一部改正等 1 内閣府の特別の機関として、科学技術・イノベーション推進事務局を設置する。 2 健康・医療戦略推進本部に関する事務を内閣官房から内閣府に移管するとともに、内閣 府の特別の機 関として、健康・医療戦略推進事務局を設置する。 四、施行期日 この法律は、令和三年四月一日から施行する。 |
●科学技術基本法等の一部を改正する法律案、政策統 括官(科学技術・イノベーション担当)、令和2年3月10日(新旧対応表)pdf
科 学技術基本法改正法案に反対する声明 (東京私大教連中央執行委員会)pdf
反対理由;1)人文・社会科学の除外規定の削除に ついて 、2)政府の司令塔機能の強化について 、3)大学等の「責務」規定の新設について
さらに、政府の基礎研究の軽視の動向である
「1995 年に科学技術基本法が議員立法によって制定された際、提案者の中心であった尾身幸次衆議院 議員(自民党)は、国及び地方公共団体が基礎研究に果たす役割の重要性を指摘し、第一の課題とし て日本の大学・研究機関における基礎研究の規模とレベルを引き上げることを強く主張していました。 このことは「独創的、基礎的研究の抜本的強化を図るため、大学、国立試験研究機関等における研究 者の意欲を引き出すための人材、資金、研究開発成果等に係る制度面での改善を行うことにより、柔 軟かつ競争的な研究環境を整備すること」という衆参両院の付帯決議にも明瞭に謳われています。 しかし、その後の 25 年間の科学技術振興政策は、本法の立法趣旨から大きく逸脱し、短期的な成 果をもたらす応用研究を偏重し、基礎研究への投資を怠ってきました。日本の科学研究における研究 力の低下、とりわけ基礎研究の分野において若手研究者が直面している困難は、当事者たる研究者の みならず幅広い社会的関心を集め、今までノーベル賞受賞者を輩出してきた日本の科学研究の行方に 関する危機感が強まっているところです。安定した研究環境を保障するための基盤的経費はこの間削 減され続け、競争的資金に依存した不安定な任期付雇用が拡大したことが、基礎研究を土台とした科 学研究の健全な発展を大きく阻害しているのが現状です。今回の科学技術基本法改正法案は、大学に とっては、教育研究に関する重要な事項に関する教授会の決定権を剥奪した学校教育法改正(2014 年)、 専門職大学の創設を定めた同法改正(2017 年)に代表される、安倍政権の「反知性主義的」な高等教 育政策の総仕上げとも見なしうる性格を有しています。」科 学技術基本法改正法案に反対する声明 (東京私大教連中央執行委員会)pdf、より
●科学技術・イノベーション基本法(平成七年法律第 百三十号)
平成七年法律第百三十号 科学技術・イノベーション基本法 目次 第一章 総則(第一条―第十一条) 第二章 科学技術・イノベーション基本計画(第十二条) 第三章 研究開発の推進等(第十三条―第二十条) 第四章 国際的な交流等の推進(第二十一条) 第五章 科学技術に関する学習の振興等(第二十二条) 附則 |
第一章 総則 (目的) 第一条 この法律は、科学技術・イノベーション創出の振興に関する施策の基本となる事項を定め、科学技術・イノベーション創出の振 興に関する施策を総合的かつ計画的に推進することにより、我が国における科学技術の水準の向上及びイノベーションの創出の促進を図り、もって我が国の経済 社会の発展と国民の福祉の向上に寄与するとともに世界の科学技術の進歩と人類社会の持続的な発展に貢献することを目的とする。 (定義) 第二条 この法律において「イノベーションの創出」とは、科学的な発見又は発明、新商品又は新役務の開発その他の創造的活動を通じて新たな価値を生み出 し、これを普及することにより、経済社会の大きな変化を創出することをいう。 2 この法律において「科学技術・イノベーション創出の振興」とは、科学技術の振興及び研究開発の成果の実用化によるイノベーションの創出の振興をいう。 3 この法律において「研究開発」とは、基礎研究、応用研究及び開発研究をいい、技術の開発を含む。 4 この法律において「研究者等」とは、研究者及び技術者(研究開発の補助を行う人材を含む。)並びに研究開発又はその成果の普及若しくは実用化に係る運 営及び管理に係る業務(専門的な知識及び能力を必要とするものに限る。)に従事する者をいう。 5 この法律において「研究開発法人」とは、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律(平成二十年法律第六十三号)第二条第九項に規定する研究 開発法人をいう。 6 この法律において「大学等」とは、大学(大学院を含む。)及び大学共同利用機関をいう。 (科学技術・イノベーション創出の振興に関する方針) 第三条 科学技術・イノベーション創出の振興は、科学技術及びイノベーションの創出が我が国及び人類社会の将来の発展をもたらす源泉であり、科学技術に係 る知識の集積が人類にとっての知的資産であることに鑑み、研究者等及び研究開発の成果を活用した新たな事業の創出を行う人材の創造性が十分に発揮されるこ とを旨として、人間の生活、社会及び自然との調和を図りつつ、積極的に行われなければならない。 2 科学技術・イノベーション創出の振興に当たっては、広範な分野における各分野の特性を踏まえた均衡のとれた研究開発能力の涵かん養、学際的又は総合的 な研究開発の推進、基礎研究、応用研究及び開発研究の調和のとれた発展、学術研究及び学術研究以外の研究の均衡のとれた推進並びに国の試験研究機関、研究 開発法人、大学等、民間事業者その他の関係者の国内外にわたる有機的な連携について配慮されなければならず、また、自然科学と人文科学との相互の関わり合 いが科学技術の進歩及びイノベーションの創出にとって重要であることに鑑み、両者の調和のとれた発展について留意されなければならない。 3 科学技術の振興は、科学技術がイノベーションの創出に寄与するという意義のみならず学術的価値の創出に寄与するという意義その他の多様な意義を持つこ とに留意するとともに、研究開発において公正性を確保する必要があることに留意して行われなければならない。 4 イノベーションの創出の振興は、科学技術の振興によってもたらされる研究開発の成果がイノベーションの創出に最大限つながるよう、科学技術の振興との 有機的な連携を図りつつ、行われなければならない。 5 科学技術・イノベーション創出の振興は、全ての国民が科学技術及びイノベーションの創出の恵沢をあまねく享受できる社会が実現されることを旨として、 行われなければならない。 6 科学技術・イノベーション創出の振興に当たっては、あらゆる分野の科学技術に関する知見を総合的に活用して、次に掲げる課題その他の社会の諸課題への 的確な対応が図られるよう留意されなければならない。 一 少子高齢化、人口の減少、国境を越えた社会経済活動の進展への対応その他の我が国が直面する課題 二 食料問題、エネルギーの利用の制約、地球温暖化問題その他の人類共通の課題 三 科学技術の活用により生ずる社会経済構造の変化に伴う雇用その他の分野における新たな課題 (国の責務) 第四条 国は、前条に規定する科学技術・イノベーション創出の振興に関する方針(次条から第七条までにおいて「振興方針」という。)にのっとり、科学技 術・イノベーション創出の振興に関する総合的な施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。 (地方公共団体の責務) 第五条 地方公共団体は、振興方針にのっとり、科学技術・イノベーション創出の振興に関し、国の施策に準じた施策及びその地方公共団体の区域の特性を生か した自主的な施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。 (研究開発法人及び大学等の責務) 第六条 研究開発法人及び大学等は、その活動が科学技術の水準の向上及びイノベーションの創出の促進に資するものであることに鑑み、振興方針にのっとり、 科学技術の進展及び社会の要請に的確に対応しつつ、人材の育成並びに研究開発及びその成果の普及に自主的かつ計画的に努めるものとする。 2 研究開発法人及び大学等は、その活動において研究者等及び研究開発に係る支援を行う人材の果たす役割の重要性に鑑み、これらの者の職務及び職場環境が その重要性にふさわしい魅力あるものとなるよう、これらの者の適切な処遇の確保及び研究施設等(研究施設及び研究設備をいう。以下同じ。)の整備に努める ものとする。 (民間事業者の責務) 第七条 民間事業者は、振興方針にのっとり、その事業活動に関し、研究開発法人及び大学等と積極的に連携し、研究開発及びその成果の実用化によるイノベー ションの創出に努めるものとする。 2 民間事業者は、研究開発及びその成果の実用化によるイノベーションの創出において研究者等及び研究開発の成果を活用した新たな事業の創出を行う人材の 果たす役割の重要性に鑑み、これらの者の活用に努めるとともに、これらの者の職務がその重要性にふさわしい魅力あるものとなるよう、これらの者の適切な処 遇の確保に努めるものとする。 (国及び地方公共団体の施策の策定等に当たっての配慮) 第八条 国及び地方公共団体は、科学技術・イノベーション創出の振興に関する施策を策定し、及びこれを実施するに当たっては、基礎研究が新しい現象の発見及び解明並びに独創的な新技術の創出等をもたらすものであること、 その成果の見通しを当初から立てることが難しく、また、その成果が実用化に必ずしも結び付くものではないこと等の性質を有するものであることに鑑み、基礎 研究の推進において国及び地方公共団体が果たす役割の重要性に配慮しなければならない。 (大学等に係る施策における配慮) 第九条 国及び地方公共団体は、科学技術・イノベーション創出の振興に関する施策で大学等に係るものを策定し、及びこれを実施するに当たっては、大学等に おける研究活動の活性化を図るよう努めるとともに、研究者等の自主性の尊重その他の大学等における研究の特性に配慮しなければならない。 (法制上の措置等) 第十条 政府は、科学技術・イノベーション創出の振興に関する施策を実施するため必要な法制上、財政上又は金融上の措置その他の措置を講じなければならな い。 (年次報告) 第十一条 政府は、毎年、国会に、政府が科学技術・イノベーション創出の振興に関して講じた施策に関する報告書を提出しなければならない。 第二章 科学技術・イノベーション基本計画 第十二条 政府は、科学技術・イノベーション創出の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、科学技術・イノベーション創出の振興に関する基 本的な計画(以下この条において「科学技術・イノベーション基本計画」という。)を策定しなければならない。 2 科学技術・イノベーション基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。 一 研究開発の推進に関する総合的な方針 二 次に掲げる人材の確保、養成及び資質の向上並びにその適切な処遇の確保に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策 イ 研究者等 ロ 研究開発に係る支援を行う人材(イに該当するものを除く。) ハ 研究開発の成果を活用した新たな事業の創出を行う人材 ニ 研究開発の成果を活用した新たな事業の創出に係る支援を行う人材 三 研究施設等の整備、研究開発に係る情報化の促進その他の研究開発の推進のための環境の整備に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策 四 研究開発の成果の実用化及びこれによるイノベーションの創出の促進を図るための環境の整備に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策 五 その他科学技術・イノベーション創出の振興に関し必要な事項 3 政府は、科学技術・イノベーション基本計画を策定するに当たっては、あらかじめ、総合科学技術・イノベーション会議の議を経なければならない。 4 政府は、科学技術及びイノベーションの創出の進展の状況、政府が科学技術・イノベーション創出の振興に関して講じた施策の効果等を勘案して、適宜、科 学技術・イノベーション基本計画に検討を加え、必要があると認めるときには、これを変更しなければならない。この場合においては、前項の規定を準用する。 5 政府は、第一項の規定により科学技術・イノベーション基本計画を策定し、又は前項の規定によりこれを変更したときは、これを公表しなければならない。 6 政府は、科学技術・イノベーション基本計画について、その実施に要する経費に関し必要な資金の確保を図るため、毎年度、国の財政の許す範囲内で、これ を予算に計上する等その円滑な実施に必要な措置を講ずるよう努めなければならない。 第三章 研究開発の推進等 (多様な研究開発の均衡のとれた推進等) 第十三条 国は、広範な分野における各分野の特性を踏まえた多様な研究開発の均衡のとれた推進に必要な施策を講ずるとともに、国として特に振興を図るべき 重要な科学技術の分野に関する研究開発の一層の推進を図るため、その企画、実施等に必要な施策を講ずるものとする。 (研究者等の確保等) 第十四条 国は、科学技術の進展等に対応した研究開発を推進するため、大学院における教育研究の充実その他の研究者等の確保、養成及び資質の向上に必要な 施策を講ずるものとする。 2 国は、研究者等の職務がその重要性にふさわしい魅力あるものとなるよう、研究者等の適切な処遇の確保に必要な施策を講ずるものとする。 3 国は、研究開発の円滑な推進にとっては第十二条第二項第二号ロに掲げる人材が、研究開発の成果の実用化によるイノベーションの創出の推進にとっては同 号ハ及びニに掲げる人材が、それぞれ不可欠であることに鑑み、これらの人材の確保、養成及び資質の向上並びにその適切な処遇の確保を図るため、前二項に規 定する施策に準じて施策を講ずるものとする。 (研究施設等の整備等) 第十五条 国は、科学技術の進展等に対応した研究開発を推進するため、研究開発機関(国の試験研究機関、研究開発法人、大学等及び民間事業者等における研 究開発に係る機関をいう。次条及び第十七条において同じ。)の研究施設等の整備に必要な施策を講ずるものとする。 2 国は、研究開発の効果的かつ効率的な推進を図るため、研究材料の円滑な供給等研究開発に係る支援機能の充実に必要な施策を講ずるものとする。 (研究開発に係る情報化の促進) 第十六条 国は、研究開発の効果的かつ効率的な推進を図るため、科学技術に関する情報処理の高度化、科学技術に関するデータベースの充実、研究開発機関等 の間の情報ネットワークの構築等研究開発に係る情報化の促進に必要な施策を講ずるものとする。 (研究開発に係る交流の促進) 第十七条 国は、研究開発機関又は研究者等相互の間の交流により研究者等の多様な知識の融合等を図ることが新たな研究開発の進展をもたらす源泉となるもの であり、また、その交流が研究開発の効果的かつ効率的な推進にとって不可欠なものであることに鑑み、研究者等の交流、研究開発機関による共同研究開発、研 究開発機関の研究施設等の共同利用等研究開発に係る交流の促進に必要な施策を講ずるものとする。 (研究開発に係る資金の効果的かつ効率的な使用) 第十八条 国は、研究開発の円滑な推進を図るため、研究開発の展開に応じて研究開発に係る資金を効果的かつ効率的に使用できるようにする等その活用に必要 な施策を講ずるものとする。 (研究開発の成果の活用等) 第十九条 国は、研究開発の成果の活用を図るため、研究開発の成果の適切な保護及び公開、研究開発に関する情報の提供等その普及に必要な施策並びにその適 切な実用化及びこれによるイノベーションの創出の促進等に必要な施策を講ずるものとする。 (民間事業者の努力の助長) 第二十条 国は、我が国の科学技術活動及びイノベーションの創出に係る活動において民間事業者が果たす役割の重要性に鑑み、民間事業者の自主的な努力を助 長することによりその研究開発及び研究開発の成果の実用化によるイノベーションの創出を促進するよう、必要な施策を講ずるものとする。 第四章 国際的な交流等の推進 第二十一条 国は、国際的な科学技術活動及びイノベーションの創出に係る活動を強力に展開することにより、我が国の国際社会における役割を積極的に果たす とともに、我が国における科学技術及びイノベーションの創出の一層の進展に資するため、研究者等の国際的交流、国際的な共同研究開発、科学技術に関する情 報の国際的流通等科学技術及びイノベーションの創出に関する国際的な交流等の推進に必要な施策を講ずるものとする。 第五章 科学技術に関する学習の振興等 第二十二条 国は、青少年をはじめ広く国民があらゆる機会を通じて科学技術に対する理解と関心を深めることができるよう、学校教育及び社会教育における科 学技術に関する学習の振興並びに科学技術に関する啓発及び知識の普及に必要な施策を講ずるものとする。 附 則 この法律は、公布の日から施行する。 附 則 (平成一一年一二月二二日法律第一六〇号) 抄 (施行期日) 第一条 この法律(第二条及び第三条を除く。)は、平成十三年一月六日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。 一 第九百九十五条(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律附則の改正規定に係る部分に限る。)、第千三百五条、第千 三百六条、第千三百二十四条第二項、第千三百二十六条第二項及び第千三百四十四条の規定 公布の日 附 則 (平成二六年五月一日法律第三一号) 抄 (施行期日) 第一条 この法律は、公布の日から起算して一月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。 附 則 (令和二年六月二四日法律第六三号) 抄 (施行期日) 第一条 この法律は、令和三年四月一日から施行する。ただし、次条及び附則第六条の規定は、公布の日から施行する。 (施行前の準備) 第二条 政府は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前においても、第一条の規定による改正後の科学技術・イノベーション基本法(次項において 「新基本法」という。)第十二条の規定の例により、科学技術・イノベーション基本計画を定めることができる。この場合において、内閣総理大臣は施行日前に おいても、同条の規定の例により、これを公表することができる。 2 前項の規定により定められた科学技術・イノベーション基本計画は、施行日において新基本法第十二条の規定により定められたものとみなす。 (政令への委任) 第六条 附則第二条から前条までに規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。 |
●科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法 律(平成二十年法律第六十三号)
平成二十年法律第六十三号 科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律 目次 第一章 総則(第一条―第八条) 第二章 研究開発等の推進のための基盤の強化 第一節 科学技術に関する教育の水準の向上及び人材の育成等(第九条―第十一条) 第二節 若年研究者等の能力の活用等(第十二条―第十四条) 第三節 人事交流の促進等(第十五条―第十八条) 第四節 国際交流の促進等(第十九条―第二十三条) 第五節 研究開発法人における人材活用等に関する方針等(第二十四条) 第六節 その他の研究開発等の推進のための基盤の強化(第二十四条の二―第二十四条の四) 第三章 競争の促進等(第二十五条―第二十七条の三) 第四章 国及び民間事業者等の資金により行われる研究開発等の効率的推進等 第一節 科学技術の振興に必要な資源の柔軟かつ弾力的な配分等(第二十八条・第二十九条) 第二節 研究開発法人及び大学等の研究開発能力の強化等(第三十条―第三十三条) 第三節 研究開発等の適切な評価等(第三十四条) 第五章 イノベーションの創出の促進等 第一節 産学官連携によるイノベーションの創出の促進等(第三十四条の二―第三十四条の七) 第二節 中小企業者によるイノベーションの創出の促進等(第三十四条の八―第三十四条の十四) 第三節 研究開発施設等の共用の促進等(第三十五条―第三十七条) 第四節 研究開発の成果の実用化等を不当に阻害する要因の解消等(第三十八条―第四十六条) 第六章 研究開発システムの改革に関する内外の動向等の調査研究等(第四十七条・第四十七条の二) 第七章 研究開発法人に対する主務大臣の要求(第四十八条) 第八章 更なる科学技術・イノベーション創出の活性化に向けた検討(第四十九条―第五十一条) 第九章 罰則(第五十二条) 附則 |
第一章 総則 (目的) 第一条 この法律は、国際競争の激化、急速な少子高齢化の進展等の経済社会情勢の変化に対応して、我が国の経済社会を更に発展させ るためには科学技術・イノベーション創出の活性化を通じてこれに関する知識、人材及び資金の好循環を実現することが極めて重要であることに鑑み、科学技 術・イノベーション創出の活性化に関し、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体、研究開発法人及び大学等並びに民間事業者の責務等を明らかにするととも に、科学技術・イノベーション創出の活性化のために必要な事項等を定めることにより、我が国の国際競争力の強化、経済社会の健全な発展及び国民生活の向上 に寄与することを目的とする。 (定義) 第二条 この法律において「研究開発」とは、科学技術に関する試験若しくは研究又は科学技術に関する開発をいう。 2 この法律において「研究開発等」とは、研究開発又は研究開発の成果の普及若しくは実用化をいう。 3 この法律において「研究開発能力」とは、研究開発等を行う能力をいう。 4 この法律において「研究開発システム」とは、研究開発等の推進のための基盤が整備され、科学技術に関する予算、人材その他の科学技術の振興に必要な資 源(以下単に「科学技術の振興に必要な資源」という。)が投入されるとともに、研究開発が行われ、その成果の普及及び実用化が図られるまでの仕組み全般を いう。 5 この法律において「イノベーションの創出」とは、科学技術・イノベーション基本法(平成七年法律第百三十号)第二条第一項に規定するイノベーションの 創出をいう。 6 この法律において「科学技術・イノベーション創出の活性化」とは、科学技術の活性化及び研究開発の成果の実用化によるイノベーションの創出の活性化を いう。 7 この法律において「大学等」とは、大学及び大学共同利用機関をいう。 8 この法律において「試験研究機関等」とは、次に掲げる機関のうち科学技術に関する試験又は研究(以下単に「研究」という。)を行うもので政令で定める ものをいう。 一 内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第三十九条及び第五十五条並びに宮内庁法(昭和二十二年法律第七十号)第十六条第二項並びに国家行政組織法 (昭和二十三年法律第百二十号)第八条の二に規定する機関 二 内閣府設置法第四十条及び第五十六条並びに国家行政組織法第八条の三に規定する特別の機関又は当該機関に置かれる試験所、研究所その他これらに類する 機関 三 内閣府設置法第四十三条及び第五十七条(宮内庁法第十八条第一項において準用する場合を含む。)並びに宮内庁法第十七条第一項並びに国家行政組織法第 九条に規定する地方支分部局に置かれる試験所、研究所その他これらに類する機関 四 行政執行法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第四項に規定する行政執行法人をいう。以下同じ。) 9 この法律において「研究開発法人」とは、独立行政法人通則法第二条第一項に規定する独立行政法人(以下単に「独立行政法人」という。)であって、研究 開発等、研究開発等であって公募によるものに係る業務又は科学技術に関する啓発及び知識の普及に係る業務を行うもののうち重要なものとして別表第一に掲げ るものをいう。 10 この法律において「国立大学法人等」とは、国立大学法人法(平成十五年法律第百十二号)第二条第五項に規定する国立大学法人等をいう。 11 この法律において「研究者等」とは、科学技術に関する研究者及び技術者(研究開発の補助を行う人材を含む。)をいう。 12 この法律において「研究公務員」とは、試験研究機関等に勤務する次に掲げる国家公務員をいう。 一 一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号)第六条第一項の規定に基づき同法別表第七研究職俸給表(次号において「別表第七」とい う。)の適用を受ける職員並びに同項の規定に基づき同法別表第六教育職俸給表(一)(次号において「別表第六」という。)の適用を受ける職員、同項の規定 に基づき同法別表第八医療職俸給表(一)(次号において「別表第八」という。)の適用を受ける職員及び一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法 律(平成十二年法律第百二十五号)第七条第一項の規定に基づき同項に規定する俸給表(次号において「任期付職員俸給表」という。)の適用を受ける職員のう ち研究を行う者として政令で定める者並びに一般職の任期付研究員の採用、給与及び勤務時間の特例に関する法律(平成九年法律第六十五号)第六条第一項又は 第二項の規定に基づきこれらの規定に規定する俸給表(次号において「任期付研究員俸給表」という。)の適用を受ける職員(第十四条第二項において「任期付 研究員俸給表適用職員」という。) 二 防衛省の職員の給与等に関する法律(昭和二十七年法律第二百六十六号)第四条第一項の規定に基づき別表第七に定める額の俸給が支給される職員並びに同 項の規定に基づき別表第六又は別表第八に定める額の俸給が支給される職員、同条第二項の規定に基づき任期付職員俸給表に定める額の俸給が支給される職員及 び防衛省設置法(昭和二十九年法律第百六十四号)第三十九条に規定する自衛官のうち研究を行う者として政令で定める者並びに防衛省の職員の給与等に関する 法律第四条第三項の規定に基づき任期付研究員俸給表に定める額の俸給が支給される職員 三 行政執行法人に勤務する国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第二条に規定する一般職に属する職員のうち研究を行う者として政令で定める者 13 この法律において「産学官連携」とは、研究開発等の実施、人事交流、人材の育成その他の科学技術・イノベーション創出の活性化に必要な取組の効果的 な実施を図るために国、地方公共団体、研究開発法人、大学等及び民間事業者が相互に連携することをいう。 14 この法律において「中小企業者」とは、次の各号のいずれかに該当する者をいう。 一 資本金の額又は出資の総額が三億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が三百人以下の会社及び個人であって、製造業、建設業、運輸業その他の業種 (次号から第四号までに掲げる業種及び第五号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの 二 資本金の額又は出資の総額が一億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社及び個人であって、卸売業(第五号の政令で定める業種を除 く。)に属する事業を主たる事業として営むもの 三 資本金の額又は出資の総額が五千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社及び個人であって、サービス業(第五号の政令で定める業 種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの 四 資本金の額又は出資の総額が五千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が五十人以下の会社及び個人であって、小売業(次号の政令で定める業種を 除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの 五 資本金の額又は出資の総額がその業種ごとに政令で定める金額以下の会社並びに常時使用する従業員の数がその業種ごとに政令で定める数以下の会社及び個 人であって、その政令で定める業種に属する事業を主たる事業として営むもの 六 企業組合 七 協業組合 八 事業協同組合、事業協同小組合、商工組合、協同組合連合会その他の特別の法律により設立された組合及びその連合会であって、政令で定めるもの 15 この法律において「国等」とは、国及び独立行政法人その他特別の法律によって設立された法人であって新技術に関する研究開発のための補助金、委託費 その他相当の反対給付を受けない給付金(以下「新技術補助金等」という。)を交付するものとして政令で定めるものをいう。 16 この法律において「指定補助金等」とは、内閣総理大臣、経済産業大臣及び各省各庁の長等(財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第二十条第二項に規 定する各省各庁の長、国等である独立行政法人の主務大臣(独立行政法人通則法第六十八条に規定する主務大臣をいう。第二十七条の三、第三十四条の六、第四 十八条及び第五十二条において同じ。)及び国等である特別の法律によって設立された法人の主務大臣をいう。以下同じ。)が、第三十四条の十一第一項の指針 における同条第二項第一号に掲げる事項に照らして適切であるものとして指定する新技術補助金等をいう。 (基本理念) 第三条 科学技術・イノベーション創出の活性化は、これに関する国際的な水準を踏まえるとともに地域経済の活性化を図る観点を踏まえつつ、次に掲げる事項 を推進することにより、我が国における科学技術の水準の向上を図るとともに、国民経済の健全な発展及び安全で豊かな国民生活の実現に寄与するよう行われな ければならない。 一 研究開発等の推進のための基盤の強化並びに科学技術の振興に必要な資源の確保及び柔軟かつ弾力的な活用 二 研究開発等を行う機関(以下「研究開発機関」という。)及び研究者等が、これまでの研究開発の成果の集積を最大限に活用しながら、その研究開発能力を 最大限に発揮して研究開発等を行うことができる環境の整備 三 産学官連携による基礎的な研究開発からその成果の実用化までの一貫した取組 四 経済社会情勢の変化と社会の要請に対応した研究開発法人及び大学等による経営能力の強化を図るための改革 五 革新的な研究開発又は研究開発の成果を活用した新たな事業の創出を行う意欲を有する多様な人材が主体的かつ積極的にこれらに取り組むことができる環境 の整備 2 科学技術・イノベーション創出の活性化は、科学技術・イノベーション基本法第三条に規定する科学技術・イノベーション創出の振興に関する方針にのっと り、政府の行政改革の基本方針との整合性に配慮して、行われなければならない。 (国の責務) 第四条 国は、前条の基本理念(以下単に「基本理念」という。)にのっとり、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する総合的な施策を策定し、及び実 施する責務を有する。 (地方公共団体の責務) 第五条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、科学技術・イノベーション創出の活性化に関し、国の施策に準じた施策及びその地方公共団体の区域の特性を生 かした自主的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。 (研究開発法人及び大学等の責務等) 第六条 研究開発法人及び大学等は、基本理念にのっとり、その研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進に努めるとともに、民間事業者と連携し、科学 技術・イノベーション創出の活性化に努めるものとする。 2 研究開発法人及び大学等は、基本理念にのっとり、経済社会情勢の変化、社会の要請、自らの研究開発能力の現状、科学技術に関する内外の動向その他のそ の経営を取り巻く状況を的確に把握しつつ、経営能力の強化に努めるものとする。 3 国及び地方公共団体は、研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進に関する施策で大学等に係るものを策定 し、及び実施するに当たっては、大学等における研究活動の活性化を図るよう努めるとともに、研究者等の自主性の尊重その他の大学等における研究の特性に配 慮しなければならない。 (民間事業者の責務) 第六条の二 民間事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、研究開発法人及び大学等と積極的に連携し、科学技術・イノベーション創出の活性化に 努めるものとする。 (連携の強化) 第七条 国は、国、地方公共団体、研究開発法人、大学等及び民間事業者が相互に連携を図りながら協力することにより、科学技術・イノベーション創出の活性 化が図られることに鑑み、これらの者の間の連携の強化に必要な施策を講ずるものとする。 (法制上の措置等) 第八条 政府は、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する施策を実施するため必要な法制上、財政上、税制上又は金融上の措置その他の措置を講じなけ ればならない。 第二章 研究開発等の推進のための基盤の強化 第一節 科学技術に関する教育の水準の向上及び人材の育成等 (科学技術に関する教育の水準の向上) 第九条 国は、科学技術に関する教育の水準の向上が研究開発能力の強化に極めて重要であることに鑑み、科学技術に関する教育に従事する教員の能力の向上、 科学技術に関する教育における研究者等の活用、大学等の教育研究施設等の充実その他の科学技術に関する教育の水準の向上を図るために必要な施策を講ずるも のとする。 (卓越した研究者等の育成等) 第十条 国は、多様な人材の活用による科学技術・イノベーション創出の活性化を図るため、次に掲げる事項に関し、必要な施策を講ずるものとする。 一 先導的な科学技術に関する教育への支援その他の卓越した研究者等の育成を図ること。 二 研究者等が研究開発の内容及び成果の有用性等に関する説明を行う能力の向上を図ること。 三 研究開発の成果を活用して起業を行う人材、多様かつ大量の情報の適正かつ効果的な活用に係る専門的な知識又は技術を有する人材その他の科学技術・イノ ベーション創出の活性化に必要な能力を有する人材の育成を図ること。 四 科学技術経営(研究開発の成果を資金、設備その他の資源と組み合わせて有効に活用するとともに、将来の活用の内容を展望して研究開発を計画的に展開す ることをいう。)その他の科学技術・イノベーション創出の活性化のための経営に関する教育の振興及び知識の習得の促進を図ること。 五 研究開発能力の強化を図るための研究開発等に係る企画立案、資金の確保並びに知的財産権の取得及び活用その他の研究開発等に係る運営及び管理に係る業 務に関し、専門的な知識及び能力を有する人材の確保を図ること。 2 国は、前項第一号から第四号までの事項に関し実践的な取組を促進するため、民間事業者からの講師の派遣その他の民間事業者と当該取組を行う機関との連 携を支援するために必要な施策を講ずるものとする。 (技能及び知識の有効な活用及び継承) 第十一条 国は、研究者等(研究者等であった者を含む。)の有する技能及び知識の有効な活用及び継承が研究開発能力の強化に極めて重要であることにかんが み、その技能及び知識の有効な活用及び継承を図るために必要な施策を講ずるものとする。 第二節 若年研究者等の能力の活用等 (若年研究者等の能力の活用) 第十二条 国は、研究開発等の推進における若年者、女性及び外国人(日本の国籍を有しない者をいう。以下同じ。)である研究者等(以下「若年研究者等」と いう。)の能力の活用が研究開発能力の強化に極めて重要であることに鑑み、国の資金(国から研究開発法人に提供された資金その他の国の資金に由来する資金 を含む。以下同じ。)により行われる研究開発等の推進における若年研究者等の能力の活用を図るとともに、研究開発法人、大学等及び民間事業者による若年研 究者等の能力の活用の促進に必要な施策を講ずるものとする。 2 研究開発法人、大学等及び民間事業者は、その研究開発等の推進における若年研究者等の能力の活用を図るよう努めるものとする。 (若年者である研究者の雇用の安定等) 第十二条の二 国は、卓越した研究者の確保が将来にわたる研究開発能力の強化に極めて重要であることに鑑み、若年者である研究者を自立させることができる よう、その雇用の安定等に資するために必要な施策を講ずるものとする。 2 研究開発法人及び大学等は、若年者である研究者の育成が研究開発能力の強化に極めて重要であることに鑑み、その研究者が、その年齢にかかわりなく知識 及び能力に応じて活躍できるよう、人事評価(人事管理の基礎とするために、研究者がその職務を遂行するに当たり発揮した能力及び挙げた業績を把握した上で 行われる勤務成績の評価をいう。以下この項において同じ。)に係る機能の充実強化、人事評価の結果に応じた適切な処遇その他の必要な措置を講ずるよう努め るものとする。 (卓越した研究者等の確保) 第十三条 国は、アジア地域その他の地域の経済の発展等により、卓越した研究者等の確保の重要性が著しく増大していることにかんがみ、海外の地域からの卓 越した研究者等の円滑な招へいを不当に阻害する要因の解消その他の卓越した研究者等の確保に必要な施策を講ずるものとする。 2 研究開発法人、大学等及び民間事業者は、海外の地域における卓越した研究者等の処遇等を勘案し、必要に応じて、卓越した研究者等の給与について他の職 員の給与水準に比較して必要な優遇措置を講ずること等により、卓越した研究者等の確保に努めるものとする。 (外国人の研究公務員への任用) 第十四条 国家公務員法第五十五条第一項の規定その他の法律の規定により任命権を有する者(同条第二項の規定によりその任命権が委任されている場合には、 その委任を受けた者。以下「任命権者」という。)は、外国人を研究公務員(第二条第十二項第二号に規定する者を除く。)に任用することができる。ただし、 次に掲げる職員については、この限りでない。 一 試験研究機関等の長である職員 二 試験研究機関等の長を助け、当該試験研究機関等の業務を整理する職の職員その他これに準ずる職員として政令で定めるもの 三 試験研究機関等に置かれる支所その他の政令で定める機関の長である職員 2 任命権者は、前項の規定により外国人を研究公務員(第二条第十二項第一号及び第三号に規定する者(一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法 律第五条第一項に規定する任期付職員並びに任期付研究員俸給表適用職員及び同号に規定する者のうち一般職の任期付研究員の採用、給与及び勤務時間の特例に 関する法律第三条第一項の規定により任期を定めて採用された職員を除く。)に限る。第十六条において同じ。)に任用する場合において、当該外国人を任用す るために特に必要であるときには、任期を定めることができる。 第三節 人事交流の促進等 (人事交流の促進) 第十五条 国は、研究開発等に係る人事交流の促進により、研究者等の研究開発能力の強化等を図るため、研究開発法人と国立大学法人等との間の人事交流の促 進その他の研究開発等に係る人事交流の促進に必要な施策を講ずるものとする。 2 研究開発法人及び国立大学法人等は、必要に応じて、次に掲げる措置その他の研究開発等に係る人事交流の促進のための措置を講ずること等により、その研 究開発等に係る人事交流の促進に努めるものとする。 一 その研究者等が民間事業者と共にその研究開発の成果の実用化を行うための休暇制度を導入すること。 二 その研究者等が研究開発法人と国立大学法人等との間で転職をしている場合における退職金の算定の基礎となる在職期間についてそれぞれの法人における在 職期間を通算すること。 三 その研究者等に退職金の金額に相当する金額を分割してあらかじめ毎年又は毎月給付すること。 四 クロスアポイントメント(研究者等が複数の研究開発法人、大学等を設置する者又は民間事業者(以下この号において「複数の研究開発法人等」という。) との間で労働契約を締結するとともに、当該複数の研究開発法人等の間で当該研究者等の出向に関する協定等を締結することにより、当該研究者等が当該複数の 研究開発法人等において当該協定等において定められた割合で業務に従事する仕組みをいう。)を活用すること。 (労働契約法の特例) 第十五条の二 次の各号に掲げる者の当該各号の労働契約に係る労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)第十八条第一項の規定の適用については、同項中 「五年」とあるのは、「十年」とする。 一 研究者等であって研究開発法人又は大学等を設置する者との間で期間の定めのある労働契約(以下この条において「有期労働契約」という。)を締結したも の 二 研究開発等に係る企画立案、資金の確保並びに知的財産権の取得及び活用その他の研究開発等に係る運営及び管理に係る業務(専門的な知識及び能力を必要 とするものに限る。)に従事する者であって研究開発法人又は大学等を設置する者との間で有期労働契約を締結したもの 三 試験研究機関等、研究開発法人及び大学等以外の者が試験研究機関等、研究開発法人又は大学等との協定その他の契約によりこれらと共同して行う研究開発 等(次号において「共同研究開発等」という。)の業務に専ら従事する研究者等であって当該試験研究機関等、研究開発法人及び大学等以外の者との間で有期労 働契約を締結したもの 四 共同研究開発等に係る企画立案、資金の確保並びに知的財産権の取得及び活用その他の共同研究開発等に係る運営及び管理に係る業務(専門的な知識及び能 力を必要とするものに限る。)に専ら従事する者であって当該共同研究開発等を行う試験研究機関等、研究開発法人及び大学等以外の者との間で有期労働契約を 締結したもの 2 前項第一号及び第二号に掲げる者(大学の学生である者を除く。)のうち大学に在学している間に研究開発法人又は大学等を設置する者との間で有期労働契 約(当該有期労働契約の期間のうちに大学に在学している期間を含むものに限る。)を締結していた者の同項第一号及び第二号の労働契約に係る労働契約法第十 八条第一項の規定の適用については、当該大学に在学している期間は、同項に規定する通算契約期間に算入しない。 (研究公務員の任期を定めた採用) 第十六条 任命権者は、国家公務員法に基づく人事院規則の定めるところにより、研究公務員の採用について任期を定めることができる。ただし、第十四条の規 定の適用がある場合は、この限りでない。 (研究公務員に関する国家公務員退職手当法の特例) 第十七条 研究公務員が、国及び行政執行法人以外の者が国(当該研究公務員が行政執行法人の職員である場合にあっては、当該行政執行法人。以下この条にお いて同じ。)と共同して行う研究又は国の委託を受けて行う研究(以下この項において「共同研究等」という。)に従事するため国家公務員法第七十九条又は自 衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第四十三条の規定により休職にされた場合において、当該共同研究等への従事が当該共同研究等の効率的実施に特に資 するものとして政令で定める要件に該当するときは、研究公務員に関する国家公務員退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)第六条の四第一項及び第七条 第四項の規定の適用については、当該休職に係る期間は、同法第六条の四第一項に規定する現実に職務をとることを要しない期間には該当しないものとみなす。 2 前項の規定は、研究公務員が国以外の者から国家公務員退職手当法の規定による退職手当に相当する給付として政令で定めるものの支払を受けた場合には、 適用しない。 3 前項に定めるもののほか、第一項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。 (研究集会への参加) 第十八条 研究公務員が、科学技術に関する研究集会への参加(その準備行為その他の研究集会に関連する事務への参加を含む。)を申し出たときは、任命権者 は、その参加が、研究に関する国と国以外の者との間の交流及び行政執行法人と行政執行法人以外の者との間の交流の促進に特に資するものであり、かつ、当該 研究公務員の職務に密接な関連があると認められる場合には、当該研究公務員の所属する試験研究機関等の研究業務の運営に支障がない限り、その参加を承認す ることができる。 第四節 国際交流の促進等 (国際的に卓越した研究開発等の拠点の整備、充実等) 第十九条 国は、国際的視点に立った研究開発能力の強化を図るため、国の資金により行われる研究開発等の実施における卓越した外国人の研究者等の招へい、 国際的に卓越した研究開発等に係る環境の整備、一の研究開発等における多数の研究開発機関の研究者等の能力の活用その他の国際的に卓越した研究開発等を行 う拠点の整備、充実等に必要な施策を講ずるものとする。 (国際的な交流を促進するに当たっての配慮) 第二十条 国は、国の資金により行われる研究開発等に関し国際的な交流を促進するに当たっては、条約その他の国際約束を誠実に履行すべき義務並びに国際的 な平和及び安全の維持並びに我が国の国際競争力の維持について配慮しなければならない。 (国の行う国際共同研究に係る特許発明等の実施) 第二十一条 国は、外国若しくは外国の公共的団体又は国際機関と共同して行った研究(基盤技術研究円滑化法(昭和六十年法律第六十五号)第四条に規定する 基盤技術に関する試験研究を除く。)の成果に係る国有の特許権及び実用新案権のうち政令で定めるものについて、これらの者その他の政令で定める者に対し通 常実施権の許諾を行うときは、その許諾を無償とし、又はその許諾の対価を時価よりも低く定めることができる。 (国の委託に係る国際共同研究の成果に係る特許権等の取扱い) 第二十二条 国は、その委託に係る研究であって本邦法人と外国法人、外国若しくは外国の公共的団体又は国際機関(第三号において「外国法人等」という。) とが共同して行うものの成果について、産業技術力強化法(平成十二年法律第四十四号)第十七条第一項に定めるところによるほか、次に掲げる取扱いをするこ とができる。 一 当該成果に係る特許権若しくは実用新案権又は特許を受ける権利若しくは実用新案登録を受ける権利のうち政令で定めるものについて、政令で定めるところ により、その一部のみを受託者から譲り受けること。 二 当該成果に係る特許権又は実用新案権のうち政令で定めるものが国と国以外の者であって政令で定めるものとの共有に係る場合において、当該国以外の者の その特許発明又は登録実用新案の実施について、国の持分に係る対価を受けず、又は時価よりも低い対価を受けること。 三 当該成果に係る国有の特許権又は実用新案権のうち政令で定めるものについて、当該特許に係る発明又は実用新案登録に係る考案をした者が所属する本邦法 人又は外国法人等その他の政令で定める者に対し、通常実施権の許諾を無償とし、又はその許諾の対価を時価よりも低く定めること。 (国の行う国際共同研究に係る損害賠償の請求権の放棄) 第二十三条 国は、外国若しくは外国の公共的団体又は国際機関と共同して行う研究のうち政令で定めるものについて、これらの者その他の政令で定める者(以 下この条において「外国等」という。)に対し、次に掲げる国の損害賠償の請求権を放棄することができる。 一 当該研究が行われる期間において当該研究の活動により生じた国有の施設、設備、機械器具及び資材の滅失又は損傷に関する外国等に対する国の損害賠償の 請求権 二 当該研究が行われる期間において当該研究の活動により国家公務員災害補償法(昭和二十六年法律第百九十一号)第一条第一項又は防衛省の職員の給与等に 関する法律第一条に規定する職員につき生じた公務上の災害に関し、国が国家公務員災害補償法第十条、第十二条から第十三条まで、第十五条及び第十八条の規 定(防衛省の職員の給与等に関する法律第二十七条第一項において準用する場合を含む。)に基づき補償を行ったことにより国家公務員災害補償法第六条第一項 の規定(防衛省の職員の給与等に関する法律第二十七条第一項において準用する場合を含む。)に基づき取得した外国等に対する損害賠償の請求権 第五節 研究開発法人における人材活用等に関する方針等 第二十四条 研究開発法人は、内閣総理大臣の定める基準に即して、その研究開発等の推進のための基盤の強化のうち人材の活用等に係るものに関する方針(以 下この条において「人材活用等に関する方針」という。)を作成しなければならない。 2 人材活用等に関する方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。 一 研究開発等の推進における若年研究者等の能力の活用に関する事項 二 卓越した研究者等の確保に関する事項 三 研究開発等に係る人事交流の促進に関する事項 四 その他研究開発等の推進のための基盤の強化のうち人材の活用等に係るものに関する重要事項 3 研究開発法人は、人材活用等に関する方針を作成したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。これを変更したときも同様とする。 4 研究開発法人は、人材活用等に関する方針に基づき、その人材の活用等に係る研究開発等の推進のための基盤の強化を図るものとする。 5 国立大学法人等は、研究者等の自主性の尊重その他の大学等における研究の特性に配慮しつつ、必要に応じて、前各項の規定による研究開発法人の人材の活 用等に係る研究開発等の推進のための基盤の強化に準じ、その人材の活用等に係る研究開発等の推進のための基盤の強化を図るよう努めるものとする。 第六節 その他の研究開発等の推進のための基盤の強化 (研究開発等の公正性の確保等) 第二十四条の二 研究者等は、研究開発等の公正性の確保及び研究開発等に係る資金の適正な使用について第一義的責任を有するものであって、研究開発等に係 る倫理に関し知識と理解を深めること等を通じて、研究開発等の公正かつ適正な実施に努めるものとする。 2 研究開発機関は、その研究者等が研究開発等に係る倫理に関する知識と理解を深めるために必要な取組を実施するとともに、研究開発等に係る不正行為(資 金の不正な使用を含む。次項において同じ。)について客観的な根拠に基づき適切に対処するよう努めるものとする。 3 国は、研究開発等に係る不正行為が科学技術に対する国民の信頼を損なうとともに、科学技術の水準の向上を妨げることに鑑み、その防止のための体制の強 化その他の研究開発等に係る不正行為の防止に必要な施策を講ずるものとする。 (研究開発法人及び大学等の経営能力の強化の推進) 第二十四条の三 研究開発法人及び大学等は、その経営能力の強化を図るに当たっては、その経営に関する専門的知識を有する人材及びその経営を担うべき人材 の育成及び確保に努めるものとする。 2 国は、研究開発法人及び大学等の経営能力の強化を図るため、その経営に係る体制の整備の支援その他の必要な施策を講ずるものとする。 (研究開発施設等の整備) 第二十四条の四 国は、研究開発能力の強化を図るため、国、研究開発法人及び大学等の研究開発に係る施設及び設備(第三十五条において「研究開発施設等」 という。)、情報処理、情報通信、電磁的記録の保管等に係る施設及び設備並びに研究材料、計量の標準、科学技術に関する情報その他の研究開発の推進のため の知的基盤をなすもの(同条において「知的基盤」という。)を整備するために必要な施策を講ずるものとする。 第三章 競争の促進等 (競争の促進) 第二十五条 国は、研究開発等に係る競争の促進を図るため、公募型研究開発(国の資金により行われる研究開発等であって公募によるものをいう。以下同 じ。)の更なる活用その他の研究開発機関相互間及び研究者等相互間の公正な競争の促進に必要な施策を講ずるものとする。 2 国は、公募型研究開発の更なる活用に当たっては、研究開発等に係る競争の促進を図るとともに研究開発法人、大学等及び民間事業者の研究開発能力の積極 的な活用並びに研究開発等の効率的推進を図るため、研究開発等の目的に応じ、国及び民間事業者のそれぞれの資金を組み合わせて行われる研究開発等の方式、 懸賞型研究開発方式(公募型研究開発の方式であって、応募者のうち特に優れた成果を収めた者に賞金を交付するものをいう。)その他の研究開発等の方式の適 切な活用に配慮しなければならない。 (公募型研究開発に係る資金の統一的な使用の基準の整備) 第二十六条 国は、公募型研究開発の効率的推進を図るため、異なる種類の公募型研究開発に係る資金について、可能な限り、統一的な使用の基準の整備を行う ものとする。 (間接経費の交付) 第二十六条の二 国及び研究開発法人は、公募型研究開発に係る資金を交付するときは、当該公募型研究開発の特性を踏まえ、研究開発等の実施に直接必要な経 費(第三十四条の三において「直接経費」という。)に加え、その交付を受ける研究開発機関(その交付を受ける研究者等が所属する研究開発機関を含む。)に おいて当該研究開発等の実施に係る管理等に必要な経費(同条において「間接経費」という。)についても交付するものとする。 (独立行政法人への業務の移管等) 第二十七条 国は、公募型研究開発の効率的推進を図るため、その公募型研究開発に係る業務の全部又は一部を独立行政法人に移管することが公募型研究開発の 効率的推進に資すると認めるときは、可能な限り、これを独立行政法人に移管するものとする。 2 公募型研究開発に係る業務を行う独立行政法人は、その完了までに数年度を要する公募型研究開発を委託して行わせる場合において、可能な限り、数年度に わたり研究開発等を行わせる契約を受託者と締結すること等により公募型研究開発に係る資金の効率的な使用が図られるよう努めるものとする。 (基金) 第二十七条の二 公募型研究開発に係る業務を行う研究開発法人のうち別表第二に掲げるもの(次条第一項において「資金配分機関」という。)は、独立行政法 人通則法第一条第一項に規定する個別法(第三十四条の六第一項及び第四十八条第一項において単に「個別法」という。)の定めるところにより、特定公募型研 究開発業務(公募型研究開発に係る業務であって次の各号のいずれにも該当するもの及びこれに附帯する業務をいう。)に要する費用に充てるための基金(以下 単に「基金」という。)を設けることができる。 一 将来における我が国の経済社会の発展の基盤となる先端的な研究開発等又は革新的な技術の創出のための研究開発等に係る業務であって特に先進的で緊要な もの 二 複数年度にわたる業務であって、各年度の所要額をあらかじめ見込み難く、弾力的な支出が必要であることその他の特段の事情があり、あらかじめ当該複数 年度にわたる財源を確保しておくことがその安定的かつ効率的な実施に必要であると認められるもの 2 基金の運用によって生じた利子その他の収入金は、当該基金に充てるものとする。 3 独立行政法人通則法第四十七条及び第六十七条(第七号に係る部分に限る。)の規定は、基金の運用について準用する。この場合において、同法第四十七条 第三号中「金銭信託」とあるのは、「金銭信託で元本補塡の契約があるもの」と読み替えるものとする。 (国会への報告等) 第二十七条の三 資金配分機関は、基金を設けたときは、毎事業年度、当該基金に係る業務に関する報告書を作成し、当該事業年度の終了後六月以内に主務大臣 に提出しなければならない。 2 主務大臣は、前項の報告書の提出を受けたときは、これに意見を付けて、国会に報告しなければならない。 第四章 国及び民間事業者等の資金により行われる研究開発等の効率的推進等 第一節 科学技術の振興に必要な資源の柔軟かつ弾力的な配分等 (科学技術の振興に必要な資源の柔軟かつ弾力的な配分等) 第二十八条 国は、研究開発能力の強化を図るため、我が国の国際競争力の強化等の重要性に鑑み、科学技術に関する内外の動向、多様な分野の研究開発の国際 的な水準等を踏まえ、効率性に配慮しつつ、科学技術の振興に必要な資源の柔軟かつ弾力的な配分を行うものとする。 2 国は、前項に定めるもののほか、我が国及び国民の安全に係る研究開発等並びに成果を収めることが困難であっても成果の実用化により極めて重要なイノ ベーションの創出をもたらす可能性のある革新的な研究開発を推進することの重要性に鑑み、これらに必要な資源の配分を行うとともに、これらの評価に当たっ てはその特性に配慮するものとする。 3 国は、第一項の場合において、我が国及び国民の安全又は経済社会の存立の基盤をなす科学技術については、長期的な観点からその育成及び水準の向上を図 るとともに、科学技術の振興に必要な資源の安定的な配分(必要な人材の確保を含む。)を行うよう配慮しなければならない。 4 国は、第一項の場合において、公募型研究開発とそれ以外の国の資金により行われる研究開発等のそれぞれの役割を踏まえ、これらについて調和のとれた科 学技術の振興に必要な資源の配分を行うこと等により、これらが互いに補完して、研究開発能力の強化及び国の資金により行われる研究開発等の効率的推進が図 られるよう配慮しなければならない。 (会計の制度の適切な活用等) 第二十九条 国、研究開発法人及び国立大学法人等は、国の資金により行われる研究開発等の効率的推進を図るため、国の資金により行われる研究開発等におい て、研究開発等に係る経費を翌年度に繰り越して使用することその他の会計の制度の適切な活用を図るとともに、その経理事務の合理化を図るよう努めるものと する。 第二節 研究開発法人及び大学等の研究開発能力の強化等 (民間事業者等からの資金の受入れの促進等) 第三十条 国は、研究開発法人及び大学等の民間事業者との連携を通じた研究開発能力の強化及び経営努力の促進等を図るため、民間事業者と共同して又はその 委託を受けて行う研究開発等に関し民間事業者から提供される資金その他の民間事業者等からの資金(国の資金であるものを除く。以下この条において単に「民 間事業者等からの資金」という。)により行われる研究開発等が国の資金により行われる研究開発等とあいまってこれらの研究開発能力の強化に資するものとな るよう配慮しつつ、研究開発等に関し民間事業者から提供される資金に応じて国が研究開発法人及び大学等における研究開発等に必要な資金を配分することその 他の研究開発法人及び大学等による民間事業者等からの資金の受入れ及び民間事業者等からの資金により行われる研究開発等の促進に必要な施策を講ずるものと する。 2 研究開発法人及び大学等は、その研究開発等について、民間事業者等からの資金により行われる研究開発等が国の資金により行われる研究開発等とあいまっ てその研究開発能力の強化に資するものとなるよう配慮しつつ、民間事業者等からの資金の受入れ及び民間事業者等からの資金により行われる研究開発等の推進 に努めるものとする。 (科学技術に対する理解の増進及び研究開発等に係る寄附の促進) 第三十一条 国は、科学技術に対する国民の理解と関心を深めるとともに、研究開発等に係る寄附が活発に行われるような環境を醸成するために必要な施策を講 ずるものとする。 2 研究開発法人及び大学等は、その研究開発等に関する国民の理解と関心を深めるために必要な広報その他の啓発活動に努めるとともに、寄附金の積極的な受 入れのために必要な取組を行うよう努めるものとする。 (研究開発法人の自律性、柔軟性及び競争性の向上等) 第三十二条 国は、研究開発法人が研究開発能力の強化及び国の資金により行われる研究開発等の効率的推進並びにイノベーションの創出のための極めて重要な 基盤となっていること、研究開発法人における卓越した研究者等の確保が著しく重要になっていること等にかんがみ、研究開発法人について、その運営の効率化 を図りつつ、柔軟かつ弾力的に科学技術の振興に必要な資源の確保を図るとともに、その自律性、柔軟性及び競争性の更なる向上並びに国の資金により行われる 研究開発等の推進におけるその能力の積極的な活用を図るために必要な施策を講ずるものとする。 2 国は、大学等が研究開発能力の強化及び国の資金により行われる研究開発等の効率的推進並びにイノベーションの創出のための極めて重要な基盤となってい ること、大学等における卓越した研究者等の確保が著しく重要になっていること等にかんがみ、大学等について、柔軟かつ弾力的に科学技術の振興に必要な資源 の確保を図るとともに、国の資金により行われる研究開発等の推進におけるその能力の積極的な活用を図るために必要な施策を講ずるものとする。 (迅速かつ効果的な物品及び役務の調達) 第三十二条の二 国は、研究開発法人及び大学等の研究開発能力の強化を図るため、研究開発法人及び大学等が研究開発等の特性を踏まえて迅速かつ効果的に物 品及び役務の調達を行うことができるよう必要な措置を講ずるものとする。 (簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律の運用上の配慮) 第三十三条 研究開発法人の研究者に係る簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律(平成十八年法律第四十七号)第五十三条第一項の 規定の運用に当たっては、同法の基本理念にのっとり研究開発法人の運営の効率化を図りつつ、研究開発能力の強化及び国の資金により行われる研究開発等の効 率的推進が図られるよう配慮しなければならない。 第三節 研究開発等の適切な評価等 第三十四条 国は、国の資金により行われる研究開発等の適切な評価が研究開発能力の強化及び当該研究開発等の効率的推進に極めて重要であることに鑑み、研 究者等の事務負担が過重なものとならないよう配慮しつつ、当該研究開発等について、国際的な水準を踏まえるとともに、新規性の程度、革新性の程度等を踏ま えて適切な評価を行い、その結果を科学技術の振興に必要な資源の配分の在り方その他の国の資金により行われる研究開発等の推進の在り方に反映させるものと する。 2 国は、国の資金により行われる研究開発等の適切な評価が研究開発能力の強化及び当該研究開発等の効率的推進に極めて重要であることに鑑み、研究開発等 の評価に関する高度な能力を有する人材の確保その他の取組を支援するために必要な施策を講ずるものとする。 3 研究開発法人及び国立大学法人等は、その研究者等の事務負担が過重なものとならないよう配慮しつつ、その研究開発等及びその研究者等の研究開発能力等 の適切な評価を行うよう努めるものとする。 第五章 イノベーションの創出の促進等 第一節 産学官連携によるイノベーションの創出の促進等 (産学官連携の促進) 第三十四条の二 研究開発法人及び大学等は、民間事業者におけるイノベーションの創出を効果的に行うためには研究開発法人及び大学等がその研究開発能力を 最大限に発揮して積極的に協力することが重要であるとともに、このような協力を行うことがその研究開発能力の強化に資することに鑑み、産学官連携を組織的 に推進するために必要な体制の整備、仕組みの構築、民間事業者に対する情報の提供その他の取組を行うよう努めるものとする。 2 国は、研究開発法人及び大学等による前項の取組への支援その他の産学官連携を促進するために必要な施策を講ずるものとする。 3 民間事業者は、研究開発法人又は大学等と産学官連携を行う場合には、研究開発の成果の取扱い、人事交流、資金の負担等に関し、当該研究開発法人又は大 学等の研究開発能力の維持及び向上に寄与することに配慮するよう努めるものとする。 4 研究開発法人、大学等及び民間事業者は、産学官連携を行うに当たり、知的財産の保護並びに個人及び法人に係る情報の適切な管理に努めるものとする。 (共同して研究開発等を行う場合等における経費についての負担) 第三十四条の三 研究開発法人及び大学等は、民間事業者と共同して又はその委託を受けて研究開発等を行う場合には、当該民間事業者との合意に基づき、当該 研究開発等に従事する者の人件費、当該研究開発等に係る施設及び設備の維持管理等に必要な経費その他の直接経費及び間接経費のほか、産学官連携に係る活動 の充実強化に必要な経費についても、その負担を求めることができる。 (成果活用事業者への支援) 第三十四条の四 国は、研究開発法人又は大学等の研究開発の成果を事業活動において活用し、又は活用しようとする者(以下「成果活用事業者」という。)に よる当該研究開発の成果を活用した新たな事業の創出又はその行う事業の成長発展を支援するために必要な施策を講ずるものとする。 2 研究開発法人及び大学等は、その研究開発の成果の普及及び活用の促進を図るために適当と認めるときは、当該研究開発法人又は当該大学等の研究開発の成 果に係る成果活用事業者が円滑に新たな事業を創出し、又はその行う事業の成長発展を図ることができるよう、当該研究開発法人及び大学等の有する知的財産権 の移転、設定又は許諾、技術的な指導又は助言、その保有する施設又は設備の貸付けその他の研究開発の成果の普及及び活用の促進に必要な支援を行うよう努め るものとする。 3 研究開発法人及び国立大学法人等(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第六十八条第一項に規定する公立大学法人を含む。次条において同 じ。)は、前項に規定する支援を行うに当たっては、成果活用事業者の資力その他の事情を勘案し、特に必要と認める場合には、その支援を無償とし、又はその 支援の対価を時価よりも低く定めること等の措置をとることができる。 (研究開発法人及び国立大学法人等による株式又は新株予約権の取得及び保有) 第三十四条の五 研究開発法人及び国立大学法人等は、成果活用事業者に対し前条第三項の措置をとる場合において、当該成果活用事業者の発行した株式又は新 株予約権を取得することができる。 2 研究開発法人及び国立大学法人等は、前項の規定により取得した株式又は新株予約権(その行使により発行され、又は移転された株式を含む。)を保有する ことができる。 (研究開発法人による出資等の業務) 第三十四条の六 研究開発法人のうち、実用化及びこれによるイノベーションの創出を図ることが特に必要な研究開発の成果を保有するものとして別表第三に掲 げるものは、その研究開発の成果の実用化及びこれによるイノベーションの創出を図るため、個別法の定めるところにより、次に掲げる者に対する出資並びに人 的及び技術的援助の業務を行うことができる。 一 その研究開発法人の研究開発の成果に係る成果活用事業者 二 前号に掲げる成果活用事業者に対し当該成果活用事業者の行う事業活動に関する必要な助言、資金供給その他の支援を行う事業であって、その研究開発法人 における研究開発等の進展に資するもの(以下この号において「資金供給等事業」という。)を行う者(資金供給等事業を行う投資事業有限責任組合契約に関す る法律(平成十年法律第九十号)第二条第二項に規定する投資事業有限責任組合を含む。) 三 次に掲げる活動その他の活動によりその研究開発法人の研究開発の成果の活用を促進する者 イ その研究開発法人の研究開発の成果の民間事業者への移転 ロ その研究開発法人が民間事業者その他の者と共同して又はその委託を受けて行う研究開発等についての企画及びあっせん ハ その研究開発法人の研究開発の成果を活用しようとする民間事業者その他の者と共同して又はその委託を受けて行う当該研究開発の成果を実用化するために 必要な研究開発 2 前項に規定する研究開発法人は、同項第二号又は第三号の者に対する出資を行おうとするときは、主務大臣の認可を受けなければならない。 3 主務大臣は、前項の認可をしようとするときは、あらかじめ、財務大臣に協議しなければならない。 (地方創生への貢献) 第三十四条の七 国及び地方公共団体は、各地域における自然的、経済的及び社会的な特性を最大限に生かした科学技術・イノベーション創出の活性化及び研究 開発の成果による新たな産業の創出を通じて個性豊かで活力に満ちた自立的な地域社会が実現されるよう、産学官連携の促進、地域における研究開発等の推進、 新たな事業の創出その他の活動を支援するために必要な施策を講ずるものとする。 2 国及び地方公共団体は、前項の規定による支援を行うに当たっては、各地域における主体的な取組が促進されるよう配慮するものとする。 第二節 中小企業者によるイノベーションの創出の促進等 (特定新技術補助金等の支出の目標等に関する方針) 第三十四条の八 国は、中小企業者の革新的な研究開発の促進を図るため、毎年度、新技術補助金等のうち国等が中小企業者及び事業を営んでいない個人(以下 単に「個人」という。)に対して支出の機会の増大を図るべきもの(以下「特定新技術補助金等」という。)の交付に関し、国等の当該年度の予算及び事務又は 事業の予定等を勘案して、特定新技術補助金等の内容及び支出の目標その他当該目標を達成するために必要な措置に関する方針を定めるものとする。 2 内閣総理大臣は、あらかじめ各省各庁の長等と協議して前項の方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。 3 内閣総理大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、第一項の方針を公表しなければならない。 4 前二項の規定は、第一項の方針の変更について準用する。 5 国等は、特定新技術補助金等を交付するに当たっては、予算の適正な使用に留意しつつ、第一項の方針に定められた目標を達成するよう努めなければならな い。 (特定新技術補助金等の支出の実績の概要の通知及び公表) 第三十四条の九 各省各庁の長等は、毎会計年度又は毎事業年度の終了後、特定新技術補助金等の中小企業者及び個人への支出の実績の概要を内閣総理大臣に通 知するものとする。 2 内閣総理大臣は、前項の実績の概要の要旨を遅滞なく公表しなければならない。 (各省各庁の長等に対する要請) 第三十四条の十 内閣総理大臣、経済産業大臣及び中小企業者の行う事業の主務大臣は、当該事業を行う者を相手方とする特定新技術補助金等の交付に関し、各 省各庁の長等に対し、中小企業者及び個人への支出の機会の増大を図るため特に必要があると認められる措置をとるべきことを要請することができる。 (指定補助金等の交付等に関する指針) 第三十四条の十一 国は、革新的な研究開発を行う中小企業者による科学技術・イノベーション創出の活性化を通じて我が国の国際競争力の強化その他の我が国 における政策課題の解決を図るため、指定補助金等の交付その他の支援に関する指針を定めるものとする。 2 前項の指針は、次に掲げる事項について定めるものとする。 一 新技術補助金等のうち、前項の政策課題の解決に資する革新的な研究開発の実施及びその成果の実用化の促進を図るために国等が当該研究開発に関する課題 を設定した上で当該課題に取り組む中小企業者及び個人に対して交付すべきものの基準に関する事項 二 指定補助金等に係る研究開発の効果的かつ効率的な実施を促進するために必要な指定補助金等の交付の方法に関する事項 三 国等による指定補助金等の交付を受けて開発された物品及び役務の調達その他の指定補助金等に係る成果を利用した事業活動の支援を行うに当たって配慮す べき事項 3 内閣総理大臣は、あらかじめ各省各庁の長等と協議して第一項の指針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。 4 内閣総理大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、第一項の指針を公表しなければならない。 5 前二項の規定は、第一項の指針の変更について準用する。 6 国等は、第一項の指針に従って、指定補助金等に関する事務を処理するものとする。 (指定補助金等に係る研究開発の成果の概要の通知及び公表) 第三十四条の十二 各省各庁の長等は、毎会計年度又は毎事業年度の終了後、指定補助金等に係る研究開発の成果の概要を内閣総理大臣に通知するものとする。 2 内閣総理大臣は、前項の成果の概要の要旨を遅滞なく公表しなければならない。 (中小企業信用保険法の特例) 第三十四条の十三 中小企業信用保険法(昭和二十五年法律第二百六十四号)第三条の八第一項に規定する新事業開拓保険の保険関係であって、特定新技術事業 活動関連保証(同項に規定する債務の保証であって、指定補助金等に係る成果を利用した事業活動に必要な資金に係るものをいう。次項において同じ。)を受け た中小企業者に係るものについての同条第一項及び第二項の規定の適用については、同条第一項中「二億円」とあるのは「三億円(科学技術・イノベーション創 出の活性化に関する法律(平成二十年法律第六十三号)第二条第十六項に規定する指定補助金等(以下単に「指定補助金等」という。)に係る成果を利用した事 業活動に必要な資金以外の資金に係る債務の保証に係る保険関係については、二億円)」と、「四億円」とあるのは「六億円(指定補助金等に係る成果を利用し た事業活動に必要な資金以外の資金に係る債務の保証に係る保険関係については、四億円)」と、同条第二項中「二億円」とあるのは「三億円(指定補助金等に 係る成果を利用した事業活動に必要な資金以外の資金に係る債務の保証に係る保険関係については、二億円)」とする。 2 中小企業信用保険法第三条の二第一項の規定は、特定新技術事業活動関連保証であってその保証について担保(保証人(特定新技術事業活動関連保証を受け た法人たる中小企業者の代表者を除く。)の保証を含む。)を提供させないものについては、適用しない。 (中小企業投資育成株式会社法の特例) 第三十四条の十四 中小企業投資育成株式会社は、中小企業投資育成株式会社法(昭和三十八年法律第百一号)第五条第一項各号に掲げる事業のほか、次に掲げ る事業を行うことができる。 一 国等から指定補助金等を交付された中小企業者及び個人が指定補助金等の成果を利用した事業活動を実施するために資本金の額が三億円を超える株式会社を 設立する際に発行する株式の引受け及び当該引受けに係る株式の保有 二 国等から指定補助金等を交付された中小企業者のうち資本金の額が三億円を超える株式会社が指定補助金等の成果を利用した事業活動を実施するために必要 とする資金の調達を図るために発行する株式、新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)又は新株予約権付社債等(中小企業投資育成株式会社法 第五条第一項第二号に規定する新株予約権付社債等をいう。以下この条において同じ。)の引受け及び当該引受けに係る株式、新株予約権(その行使により発行 され、又は移転された株式を含む。)又は新株予約権付社債等(新株予約権付社債等に付された新株予約権の行使により発行され、又は移転された株式を含 む。)の保有 2 前項第一号の規定による株式の引受け及び当該引受けに係る株式の保有並びに同項第二号の規定による株式、新株予約権(新株予約権付社債に付されたもの を除く。)又は新株予約権付社債等の引受け及び当該引受けに係る株式、新株予約権(その行使により発行され、又は移転された株式を含む。)又は新株予約権 付社債等(新株予約権付社債等に付された新株予約権の行使により発行され、又は移転された株式を含む。)の保有は、中小企業投資育成株式会社法の適用につ いては、それぞれ同法第五条第一項第一号及び第二号の事業とみなす。 第三節 研究開発施設等の共用の促進等 (研究開発施設等の共用及び知的基盤の供用の促進) 第三十五条 国は、研究開発施設等の共用及び知的基盤の供用の促進を図るため、国、研究開発法人及び国立大学法人等が保有する研究開発施設等及び知的基盤 のうち研究開発機関及び研究者等の利用に供するものについて、その利用に必要な情報の提供その他の当該研究開発施設等及び知的基盤を広く研究開発機関及び 研究者等の利用に供するために必要な施策を講ずるものとする。 2 研究開発法人及び国立大学法人等は、その保有する研究開発施設等及び知的基盤のうち研究開発機関及び研究者等の利用に供するものについて、可能な限 り、広く研究開発機関及び研究者等の利用に供するよう努めるものとする。 (国有施設等の使用) 第三十六条 国は、民間事業者の研究開発能力の強化等を図るため、政令で定めるところにより、国が現に行っている研究と密接に関連し、かつ、当該研究の効 率的推進に特に有益である研究を行う者に対し、その者がその研究のために試験研究機関等その他の政令で定める国の機関の国有の試験研究施設を使用して得た 記録、資料その他の研究の結果を国に政令で定める条件で提供することを約するときは、当該試験研究施設の使用の対価を時価よりも低く定めることができる。 2 国は、民間事業者の研究開発能力の強化等を図るため、政令で定めるところにより、国以外の者であって、試験研究機関等その他の政令で定める国の機関と 共同して行う研究に必要な施設を当該機関の敷地内に整備し、当該施設においてその研究を行おうとするものに対し、その者が当該施設において行った研究によ り得た記録、資料その他の研究の結果を国に政令で定める条件で提供することを約するときは、当該施設の用に供する土地の使用の対価を時価よりも低く定める ことができる。 (国有施設等の使用に関する条件の特例) 第三十七条 国の行政機関の長は、試験研究機関等その他の政令で定める国の機関のうち、その所管するものであって当該国の機関が行う特定の分野に関する研 究に係る状況が次の各号のいずれにも適合するものを、官報で公示するものとする。 一 当該国の機関において当該特定の分野に関する研究に関する国以外の者との交流の実績が相当程度あり、かつ、その交流の一層の促進を図ることが当該特定 の分野に関する研究の効率的推進に相当程度寄与するものであると認められること。 二 当該国の機関を中核として、その周辺に当該国の機関が行う当該特定の分野に関する研究と関連する研究を行う国以外の者の施設が相当程度集積するものと 見込まれること。 2 中核的研究機関(前項の規定により公示された国の機関をいう。)に対する前条の規定の適用については、同条第一項中「国が」とあるのは「中核的研究機 関が」と、「密接に関連し、かつ、当該研究の効率的推進に特に有益である」とあるのは「関連する」と、「試験研究機関等その他の政令で定める国の機関」と あるのは「中核的研究機関」と、「提供する」とあるのは「提供し、又は中核的研究機関の国有の試験研究施設を使用して行った研究の成果を国に報告する」 と、同条第二項中「試験研究機関等その他の政令で定める国の機関と共同して行う研究」とあるのは「中核的研究機関と共同して行う研究、中核的研究機関が現 に行っている研究と密接に関連し、かつ、当該研究の効率的推進に特に有益である研究又は中核的研究機関が行った研究の成果を活用する研究」と、「提供す る」とあるのは「提供し、又は当該施設において行った研究の成果を国に報告する」とする。 第四節 研究開発の成果の実用化等を不当に阻害する要因の解消等 (研究開発の成果の実用化等を不当に阻害する要因の解消) 第三十八条 国は、研究開発の成果の実用化及びこれによるイノベーションの創出を図るため、これらを不当に阻害する要因の調査を行い、その結果に基づき、 規制の見直しその他の当該要因の解消に必要な施策を講ずるものとする。 (国の資金により行われる研究開発に係る収入及び設備その他の物品の有効な活用) 第三十九条 国は、研究開発の成果の実用化及びこれによるイノベーションの創出を図る等のため、国の資金により行われる研究開発に係る収入及び設備その他 の物品の取扱いについて、これらが、当該研究開発の成果の実用化及び更なる研究開発の推進に有効に活用されるよう配慮するものとする。 (特許制度の国際的な調和の実現等) 第四十条 国は、特許制度の国際的な調和が研究開発の成果の適切な保護を図るために極めて重要であることにかんがみ、特許制度の国際的な調和の実現を図る ために必要な施策を講ずるものとする。 2 国は、民間事業者が研究開発の成果に係る知的財産権を行使して、正当な利益を確保することが、その研究開発能力の強化に極めて重要であることに鑑み、 国際的な連携に配慮しつつ、知的財産権を侵害する事犯の取締りを行うことその他の方法により知的財産権が安定的に保護されるための環境の整備に必要な施策 を講ずるものとする。 3 研究開発法人、大学等及び民間事業者は、その研究開発等の効率的推進を図るため、その研究開発において特許に関する情報の活用に努めるものとする。 (研究開発の成果の国外流出の防止) 第四十一条 国は、研究開発の成果の適切な保護を図るため、国の資金により行われる研究開発の成果について、我が国の国際競争力の維持に支障を及ぼすこと となる国外流出の防止に必要な施策を講ずるものとする。 2 研究開発法人、大学等及び民間事業者は、その研究開発の成果について、我が国の国際競争力の維持に支障を及ぼすこととなる国外流出の防止に努めるもの とする。 (国際標準への適切な対応) 第四十二条 国は、研究開発の成果に係る国際的な標準(以下この条において「国際標準」という。)への適切な対応が研究開発の成果の実用化及びこれによる イノベーションの創出に極めて重要であることにかんがみ、国際標準に関する啓発及び知識の普及、国際標準に関する国際機関その他の国際的な枠組みへの参画 その他の国際標準への適切な対応に必要な施策を講ずるものとする。 2 研究開発法人、大学等及び民間事業者は、必要に応じて、国際標準に関する専門的知識を有する人材を確保し及び育成すること、その研究開発の成果に係る 仕様等を国際標準とすること、その研究開発等の推進において国際標準を積極的に活用することその他の国際標準への適切な対応に努めるものとする。 (未利用成果の積極的な活用) 第四十三条 国は、研究開発の成果の実用化及びこれによるイノベーションの創出を図るため、国、研究開発法人、大学等及び民間事業者の研究開発の成果のう ち、活用されていないもの(次項において「未利用成果」という。)について、その積極的な活用を図るために必要な施策を講ずるものとする。 2 研究開発法人、大学等及び民間事業者は、未利用成果の積極的な活用に努めるものとする。 (中小企業者その他の民間事業者の革新的な研究開発の促進等) 第四十四条 国は、中小企業者その他の民間事業者が研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進並びにイノベーションの創出に極めて重要な役割を果たす ものであることに鑑み、その革新的な研究開発の促進に必要な施策を講ずるものとする。 2 国、地方公共団体、研究開発法人及び国立大学法人等は、国、地方公共団体、研究開発法人又は国立大学法人等を当事者の一方とする契約で役務の給付又は 物件の納入に対し当該国、地方公共団体、研究開発法人又は国立大学法人等が対価の支払をすべきものを締結するに当たっては、予算の適正な使用に留意しつ つ、革新的な研究開発を行う中小企業者の受注の機会の増大を図るよう努めるものとする。 (公共事業等における研究開発の成果の活用) 第四十四条の二 国及び地方公共団体は、公共事業その他の事業の実施に関し、その効果的かつ効率的な推進を図るとともに研究開発の成果の実用化に資するよ う、革新的な研究開発の成果等の活用に努めるものとする。 (研究開発等を支援するための事業の振興) 第四十五条 国は、研究開発等を支援するための事業を行う者が研究開発等の効率的推進に極めて重要な役割を果たすものであることにかんがみ、当該事業の振 興に必要な施策を講ずるものとする。 (国の受託研究の成果に係る特許権等の譲与) 第四十六条 国は、国以外の者から委託を受けて行った研究の成果に係る国有の特許権又は実用新案権の一部を、政令で定めるところにより、当該国以外の者に 譲与することができる。 第六章 研究開発システムの改革に関する内外の動向等の調査研究等 (内外の動向等の調査研究等) 第四十七条 国は、研究開発システムの改革に関する内外の動向、多様な分野の研究開発の国際的な水準、研究開発等に係る費用と便益の比較その他の方法によ る異なる分野の研究開発等の重要性の比較、国の資金により行われる研究開発等のイノベーションの創出への影響並びに著しい新規性を有し又は著しく創造的な 分野を対象とする研究開発であってその成果の実用化により極めて重要なイノベーションの創出をもたらす可能性のあるもの及び社会科学又は経営管理方法への 自然科学の応用に関する研究開発の推進の在り方について、調査研究を行い、その結果を研究開発システム及び国の資金により行われる研究開発等の推進の在り 方に反映させるものとする。 (客観的な根拠となる情報の活用による科学技術・イノベーション政策の推進) 第四十七条の二 総合科学技術・イノベーション会議は、科学技術・イノベーション創出の活性化に係る政策の効果的な推進に資するよう、その所掌事務を遂行 するに当たっては、調査審議等の対象となる事項の特性を踏まえ、科学技術・イノベーション創出の活性化に係る各種の情報及びその分析の結果その他の客観的 な根拠となる情報の積極的な活用を図るものとする。 2 関係行政機関、研究開発法人及び大学等は、総合科学技術・イノベーション会議の行う科学技術・イノベーション創出の活性化に係る情報の収集及び分析に ついて、情報の提供その他の協力を行うよう努めるものとする。 第七章 研究開発法人に対する主務大臣の要求 第四十八条 主務大臣は、個別法に基づき研究開発法人に対し必要な措置をとることを求めることができるときのほか、研究開発等に関する条約その他の国際約 束を我が国が誠実に履行するため必要があると認めるとき又は災害その他非常の事態が発生し、若しくは発生するおそれがある場合において、国民の生命、身体 若しくは財産を保護するため緊急の必要があると認めるときは、研究開発法人に対し、必要な措置をとることを求めることができる。 2 研究開発法人は、主務大臣から前項の規定による求めがあったときは、その求めに応じなければならない。 第八章 更なる科学技術・イノベーション創出の活性化に向けた検討 (国立大学法人に係る改革に関する検討) 第四十九条 政府は、科学技術・イノベーション創出の活性化において、国立大学法人(国立大学法人法第二条第一項に規定する国立大学法人をいう。以下この 条において同じ。)が果たす役割の重要性に鑑み、自主性、自律性その他の大学における教育及び研究の特性を尊重しつつ、国立大学法人に係る改革に関し、科 学技術・イノベーション創出の活性化の観点から、経営的視点に基づきマネージメントを行う能力の向上、産学官連携の推進並びに若年者である研究者の雇用の 安定及び研究開発等に係る環境の整備を図るため、民間資金の受入れの拡大、人事及び給与の在り方の見直し並びに評価の活用等について検討を行い、その結果 に基づいて必要な措置を講ずるものとする。 (著作物その他の知的財産の利用及び活用に関する検討) 第五十条 政府は、著作物その他の知的財産の利用及び活用を促進し、その創造と利用及び活用の好循環を実現することが科学技術・イノベーション創出の活性 化にとって極めて重要であることに鑑み、著作物その他の知的財産の利用及び活用を図るための措置について検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ず るものとする。 2 前項の検討を行うに当たっては、権利者の利益を不当に侵害しないよう留意するものとする。 (公募型研究開発に係る資源配分の在り方等に関する検討) 第五十一条 政府は、前二条に定めるもののほか、公募型研究開発に係るそれぞれの研究開発等の特性に応じた効果的な資源の配分の在り方その他の科学技術・ イノベーション創出の活性化に関する方策について検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。 第九章 罰則 第五十二条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした研究開発法人の役員は、二十万円以下の過料に処する。 一 第二十七条の二第三項において準用する独立行政法人通則法第四十七条の規定に違反して基金を運用したとき。 二 第三十四条の六第二項の規定により主務大臣の認可を受けなければならない場合において、その認可を受けなかったとき。 附 則 抄 (施行期日) 第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、附則第七条の規定はこの法律の公布の日又は 独立行政法人気象研究所法(平成二十年法律第 号)の公布の日のいずれか遅い日から、附則第八条の規定はこの法律の公布の日又は高度専門医療に関する 研究等を行う独立行政法人に関する法律(平成二十年法律第九十三号)の公布の日のいずれか遅い日から施行する。 (研究交流促進法の廃止) 第二条 研究交流促進法(昭和六十一年法律第五十七号)は、廃止する。 (経過措置) 第三条 この法律の施行前に前条の規定による廃止前の研究交流促進法(以下「旧法」という。)(第六条を除く。以下この条において同じ。)又は旧法に基づ く命令の規定によりした処分、手続その他の行為は、この法律又はこの法律に基づく命令の相当する規定によりした処分、手続その他の行為とみなす。 第四条 この法律の施行前に旧法第六条第一項に規定する共同研究等に従事するため国家公務員法第七十九条又は自衛隊法第四十三条の規定により休職にされた 旧法第二条第三項に規定する研究公務員については、旧法第六条の規定は、なおその効力を有する。 第五条 この法律の施行前に旧法第十二条第一項の規定によりされた公示で、この法律の施行の際現に効力を有するものは、第三十七条第一項の規定によりされ た公示とみなす。 (検討) 第六条 政府は、この法律の施行後三年以内に、更なる研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進の観点からの研究開発システムの在り方に関する総合科 学技術会議における検討の結果を踏まえ、この法律の施行の状況、研究開発システムの改革に関する内外の動向の変化等を勘案し、この法律の規定について検討 を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。 附 則 (平成二〇年一二月一九日法律第九三号) 抄 (施行期日) 第一条 この法律は、平成二十二年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。 一 第二十七条並びに附則第三条、第八条、第十九条、第二十条及び第二十五条の規定 公布の日 (政令への委任) 第二十五条 附則第三条から第十条まで、第十三条及び第十五条に定めるもののほか、国立高度専門医療研究センターの設立に伴い必要な経過措置その他この法 律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。 附 則 (平成二一年七月一〇日法律第七六号) 抄 (施行期日) 第一条 この法律は、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。 附 則 (平成二五年一二月一三日法律第九九号) 抄 (施行期日) 第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第一条中研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関 する法律第二条の改正規定、同法第十五条の次に一条を加える改正規定、同法第四十三条の次に一条を加える改正規定及び同法別表を別表第一とし、同表の次に 一表を加える改正規定、第二条の規定並びに附則第四条から第八条までの規定は、平成二十六年四月一日から施行する。 (検討) 第二条 国は、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律及び第二条の規定による改正後の大学の教員等の任期に関する法律(以下「新大学教員任期 法」という。)の施行状況等を勘案して、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律第十五条の二第一項各号に掲げる者及び新大学教員任期法第七条 第一項の教員等の雇用の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。 2 科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律第十五条の二第一項第三号及び第四号に掲げる者についての特例は、事業者において雇用される者のう ち、研究開発能力の強化等の観点から特に限定して設けられたものであり、国は、その雇用の在り方について、期間の定めのない雇用形態を希望する者等がいる ことも踏まえ、研究者等の雇用の安定が図られることが研究環境の早期の改善に資するという観点から、研究者等が相互に競争しながら能力の向上を図ることの 重要性にも十分配慮しつつ、検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。 第三条 国は、研究開発法人(新研究開発能力強化法第二条第八項に規定する研究開発法人をいう。以下同じ。)の業務の実施状況等を勘案し、研究開発法人が 新研究開発能力強化法第四十三条の二の規定による出資並びに人的及び技術的援助の業務を行うことの適否について検討を加え、必要があると認めるときは、そ の結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。 2 政府は、関係機関等が連携協力することが研究開発(新研究開発能力強化法第二条第一項に規定する研究開発をいう。)の成果の実用化及びこれによるイノ ベーションの創出(同条第五項に規定するイノベーションの創出をいう。)に重要であることに鑑み、関係省庁相互間その他関係機関及び民間団体等の間の連携 協力体制の整備について速やかに検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。 (研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律の一部改正に伴う経過措置) 第四条 科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律第十五条の二第一項各号に掲げる者であって附則第一条ただし書に規定する規定の施行の日(以下 「一部施行日」という。)前に労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)第十八条第一項に規定する通算契約期間が五年を超えることとなったものに係る同項 に規定する期間の定めのない労働契約の締結の申込みについては、なお従前の例による。 2 科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律第十五条の二第二項の規定は、同項の有期労働契約(当該有期労働契約の期間のうちに大学に在学して いる期間を含むものに限る。)であって労働契約法の一部を改正する法律(平成二十四年法律第五十六号)附則第一項ただし書に規定する規定の施行の日から一 部施行日の前日までの間の日を契約期間の初日とするものに係る当該大学に在学している期間についても適用する。 附 則 (平成二六年五月二一日法律第三八号) 抄 (施行期日) 第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。 附 則 (平成二六年五月三〇日法律第四九号) 抄 (施行期日) 第一条 この法律は、公布の日から施行する。 附 則 (平成二六年六月一三日法律第六七号) 抄 (施行期日) 第一条 この法律は、独立行政法人通則法の一部を改正する法律(平成二十六年法律第六十六号。以下「通則法改正法」という。)の施行の日から施行する。た だし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。 一 附則第十四条第二項、第十八条及び第三十条の規定 公布の日 (研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律の一部改正に伴う経過措置) 第十九条 この法律の施行前に第九十九条の規定による改正前の研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関 する法律(以下この条において「旧研究開発能力強化法」という。)第十七条第一項に規定する共同研究等であって特定独立行政法人に係るものに従事するため 国家公務員法第七十九条又は自衛隊法第四十三条の規定により休職にされた旧研究開発能力強化法第二条第十一項に規定する研究公務員の当該休職に係る期間 で、旧研究開発能力強化法第十七条第一項の規定に基づき国家公務員退職手当法第六条の四第一項に規定する現実に職務をとることを要しない期間には該当しな いものとみなされていたものに係る同法の規定の適用については、なお従前の例による。 (処分等の効力) 第二十八条 この法律の施行前にこの法律による改正前のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。)の規定によってした又はすべき処分、手続その他の行為 であってこの法律による改正後のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。以下この条において「新法令」という。)に相当の規定があるものは、法律(これ に基づく政令を含む。)に別段の定めのあるものを除き、新法令の相当の規定によってした又はすべき処分、手続その他の行為とみなす。 (その他の経過措置の政令等への委任) 第三十条 附則第三条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令(人事院の所掌する 事項については、人事院規則)で定める。 附 則 (平成二七年五月七日法律第一七号) 抄 (施行期日) 第一条 この法律は、平成二十八年四月一日から施行する。 附 則 (平成二七年六月一七日法律第三九号) 抄 (施行期日) 第一条 この法律は、公布の日から起算して十月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。 附 則 (平成二七年六月二四日法律第四四号) 抄 (施行期日) 第一条 この法律は、平成二十八年四月一日から施行する。 附 則 (平成二七年六月二六日法律第四八号) 抄 (施行期日) 第一条 この法律は、平成二十八年四月一日から施行する。 附 則 (平成二七年七月八日法律第五一号) 抄 (施行期日) 第一条 この法律は、平成二十八年四月一日から施行する。 附 則 (平成二七年九月一八日法律第七〇号) 抄 (施行期日) 第一条 この法律は、平成二十八年四月一日から施行する。 附 則 (平成二八年五月二〇日法律第四四号) 抄 (施行期日) 第一条 この法律は、平成二十九年四月一日から施行する。 附 則 (平成三〇年五月三〇日法律第三三号) 抄 (施行期日) 第一条 この法律は、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定 める日から施行する。 四 第三条中特許法第百七条第三項の改正規定、第百九条の見出しを削り、同条の前に見出しを付し、同条の次に一条を加える改正規定、第百十二条第一項及び 第六項の改正規定、第百九十五条第六項の改正規定並びに第百九十五条の二の見出しを削り、同条の前に見出しを付し、同条の次に一条を加える改正規定並びに 第六条及び第七条の規定並びに附則第十一条、第十五条、第二十三条及び第二十五条から第三十二条までの規定 公布の日から起算して一年を超えない範囲内に おいて政令で定める日 附 則 (平成三〇年一二月一四日法律第九四号) 抄 (施行期日) 第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。 (経過措置) 第三十五条 この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。 附 則 (令和二年六月二四日法律第六三号) 抄 (施行期日) 第一条 この法律は、令和三年四月一日から施行する。ただし、次条及び附則第六条の規定は、公布の日から施行する。 (科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律の一部改正に伴う経過措置) 第三条 第二条の規定による改正後の科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律(以下この項及び次条において「新活性化法」という。)第十五条の 二第一項第一号若しくは第二号に掲げる者のうち独立行政法人国立特別支援教育総合研究所、独立行政法人経済産業研究所若しくは独立行政法人環境再生保全機 構(以下この条において「新研究開発法人」と総称する。)との間で有期労働契約(同項第一号に規定する有期労働契約をいう。次項において同じ。)を締結し た者又は新活性化法第十五条の二第一項第三号若しくは第四号に掲げる者のうち新研究開発法人との共同研究開発等(同項第三号に規定する共同研究開発等をい う。)に係る同項第三号若しくは第四号に規定する業務に専ら従事する者であって、施行日前に労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)第十八条第一項に規 定する通算契約期間が五年を超えることとなったものに係る同項に規定する期間の定めのない労働契約の締結の申込みについては、なお従前の例による。 2 科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律第十五条の二第二項の規定は、同項に規定する者が新研究開発法人との間で締結していた有期労働契約 (当該有期労働契約の期間のうちに大学に在学している期間を含むものに限る。)であって労働契約法の一部を改正する法律(平成二十四年法律第五十六号)附 則第一項ただし書に規定する規定の施行の日から施行日の前日までの間の日を契約期間の初日とするものに係る当該大学に在学している期間についても適用す る。 (政令への委任) 第六条 附則第二条から前条までに規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。 別表第一(第二条関係) 一 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 二 国立研究開発法人情報通信研究機構 三 独立行政法人酒類総合研究所 四 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所 五 独立行政法人国立科学博物館 六 国立研究開発法人物質・材料研究機構 七 国立研究開発法人防災科学技術研究所 八 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 九 国立研究開発法人科学技術振興機構 十 独立行政法人日本学術振興会 十一 国立研究開発法人理化学研究所 十二 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 十三 国立研究開発法人海洋研究開発機構 十四 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 十五 独立行政法人労働者健康安全機構 十六 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 十七 国立研究開発法人国立がん研究センター 十八 国立研究開発法人国立循環器病研究センター 十九 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 二十 国立研究開発法人国立国際医療研究センター 二十一 国立研究開発法人国立成育医療研究センター 二十二 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 二十三 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 二十四 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター 二十五 国立研究開発法人森林研究・整備機構 二十六 国立研究開発法人水産研究・教育機構 二十七 独立行政法人経済産業研究所 二十八 国立研究開発法人産業技術総合研究所 二十九 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構 三十 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 三十一 国立研究開発法人土木研究所 三十二 国立研究開発法人建築研究所 三十三 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 三十四 独立行政法人自動車技術総合機構 三十五 国立研究開発法人国立環境研究所 三十六 独立行政法人環境再生保全機構 別表第二(第二十七条の二関係) 一 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 二 国立研究開発法人科学技術振興機構 三 独立行政法人日本学術振興会 四 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 五 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 別表第三(第三十四条の六関係) 一 国立研究開発法人情報通信研究機構 二 国立研究開発法人物質・材料研究機構 三 国立研究開発法人防災科学技術研究所 四 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 五 国立研究開発法人科学技術振興機構 六 国立研究開発法人理化学研究所 七 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 八 国立研究開発法人海洋研究開発機構 九 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 十 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 十一 国立研究開発法人国立がん研究センター 十二 国立研究開発法人国立循環器病研究センター 十三 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 十四 国立研究開発法人国立国際医療研究センター 十五 国立研究開発法人国立成育医療研究センター 十六 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 十七 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 十八 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター 十九 国立研究開発法人森林研究・整備機構 二十 国立研究開発法人水産研究・教育機構 二十一 国立研究開発法人産業技術総合研究所 二十二 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構 二十三 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 二十四 国立研究開発法人土木研究所 二十五 国立研究開発法人建築研究所 二十六 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 二十七 国立研究開発法人国立環境研究所 |
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