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フェティシズム

fetishism

池田光穂

フェティシズムとは、性的嗜好のフェチと同様、事物 (物質)の中に精神性が宿っているようにみえる、信仰形態のことをさす。呪物(フェチ)を崇めるカルト(=崇拝集団)のようにもみえるので、フェティシズ ムは呪物崇拝(じゅぶつすうはい)とも呼ばれるが、あまり馴染みにくいので、私はフェティシズムと呼ぶ。

この用語は西アフリカの宗教と古代エジプトの宗教を比較研究していた、シャルル・ド・ブロス(Charles de Brosses, 1709-1777)によって1760年に『フェティシュ諸神の崇拝』(Du Culte des dieux fétiches)造語された。

ド・ブロスは。feitiço(フェティソ)すなわち護符の意味を転じて、人類最古の信仰形態をフェティシズムと命名している。ウィキペディア日本語は次のように説明している:

「ビュフォンやルソーと同時代のド・ブロスは、18 世紀当時としては最新の研究方法であった比較宗教学の立場から、当時のアフリカ大陸やアメリカ大陸に残存する原初的信仰について研究した。そしてその土着 信仰をフェティシズムと命名し、およそつぎのように特徴づけた。これは本来の宗教以前のもので、本来の宗教の出発点である偶像崇拝(Idolatrie) が存在するよりも古い。宗教でないフェティシズムと宗教の一形態である偶像崇拝との相違は決定的で、例えば前者においては崇拝者が自らの手で可視の神体す なわちフェティシュを自然物の中から選びとるが、後者においては神は不可視のものとして偶像の背後に潜む。つまり前者ではフェティシュそれ自体が端的に神 であるのに対し、後者においてフェティシュはいわば神の代理か偶像かである。その背後か天上にはなにかいっそう高級な神霊が存在する。また、フェティシズ ムにおいてフェティシュは、信徒の要求に応えられなければ虐待されるか打ち棄てられるかするが、偶像崇拝において神霊は信徒に対し絶対者なのである。こう してド・ブロスは、フェティシズムを宗教と明確に区別したのである」フェティシュ諸神の崇拝

しかしながら、「ハーバート・スペンサーなどの哲学 者たちは、呪物崇拝が「原初宗教」であったとするド・ブロスの理論を否定した。同じ世紀において、E・B・タイラーやJ・F・マクレナンなどの人類学者や 比較宗教学者たちが、呪物崇拝を説明するため、アニミズムやトーテミズムの理論を発展させた。/タイラーとマクレナンは、呪物崇拝の概念を通じて宗教歴史 学者たちは、人間と神のあいだの関係から人間と物品のあいだの関係へと、関心を切り替えることが可能になったと考えた。彼らはまた、この概念によって、彼 ら自身が歴史と社会学における中心問題として「誤謬」だと見なしていた、自然の出来事に関する因果的説明のモデルが確立されたとも考えた」ウィキ=呪物崇拝


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