研究経営論
Need for research administrration in your office
●《教育》と《研究》と《社会貢献》の三位一体化について
21世紀における高等研究教育機関では、《教育》と《研究》と《社会貢献》が三位一体のように、バランスが取れるように発達しなければなり ません。そのポイント(どちらかというと精神的な指針ですが)を以下の6点にまとめてみましょう(引用は、ケラー(2013:126)より、一部改変)。
1.すべての面で質を高めること
2.とにかく計画あるのみ。戦略的な優先順位づけ、目標設定とその共有、その次にやるべきことの徹底周知。そして、結果の確認。
3.人材の選抜、育成、奨励制度の重視。教職員と学生のコミュニティとしての一体感の維持。
4.激烈な競争環境のなかでも「ニッチ」をみつけて、その市場価値を高めること。
5.小規模の予算(投資)で、最大の成果をめざすこと。ただし、過剰な期待を抱く/抱かせてはならない。
6.課題にする研究分野に関してマーケティングの専門性を高めること。
●野依良治先生の研究マネジメント論ノート
「昨年(2010年—引用者)、オバマ大統領の科学技術担当補佐官ジョン・ホルドレン博士に会う機会を得た。カリフォルニア大学バークレー校や ハーバード大学で、新たな問題解決にむけた分野横断型教育組織をつくって成功したが、最優秀な学生が重要課題に呼応してくれたという。既成の学問の深化は 大切である。しかし、問題解決型のプログラムの創設なしに、社会が人類存続への課題に挑戦することは不可能であり、大学がその担い手となる学生にその教育 機会を与えないのは理不尽ですらある」(野依 2011:368)/「科学技術は文明の礎であるにもかかわらず、わが国では中長期のグランドデザインが描けていない......日本の科学界は高度な専門性を偏重 し、社会への視点や、人間としての普遍的な価値巻をおざなりにしてきたのではないか?」(野依インタビュー 2017:8)。/「科学技術研究の本質に立ち返って『延命策』ではなく、ゼロベースからの『抜本改革』を目指してほしい。教育・研究への国費の投資は、未来にむ けた『投資』であって、『コスト』に止まってはならないのです」(野依インタビュー 2017:8)。/「大学における伝統的な研究分野による縦割り教育・研究の弊害は深刻です」(野依インタビュー 2017:8)/「近年、ゲノム編集研究や人工知能、量子コンピュータな どの台頭する分野で、日本が遅れをとったのは、この制度欠陥に原因があると考えていま す。国際的にみると『異形』と言わざるを得ないこうした大学院制度の抜本的改革なくしては、科学技術研究のみならず、国力の国際的地位の凋落は避けがたい でしょう」(野依インタビュー 2017:8)。/「学長は目標に応じた組織編制[ママ]権、人事権や予算執行権を行使すべきです。そのためには健全な経営基盤が不可欠で、学術責任者=学長と経 営責任者=理事長を分けたほうがいい.....」(野依インタビュー 2017:8)。/「先ほど『共創』という言葉を使いましたが、高い目標を掲げる世界トップレベルの研究の多くは同質の人間を集めた“グループ”ではなく、異文 化・異分野の人たちを集めた多様性豊かな“チーム”から生まれます。みなさんはよく『All Japan』という言葉を使われますが、はっきりいってその言葉はもう古い(笑)」(野依インタビュー 2017:9)。/「大学院生の処遇は早急に改善しなければなりません。『大学院生無くして、科学論文なし』です。彼らが自立して教育・研究に従事できるように、 すくなくとも月額20万円の給付金制度を整備していただきたい」(野依インタビュー 2017:9)。/「大切なことなのでもう一度言いますが、大学改革はゼロベースで考え直す、『生まれ変わる』ことが重要で、老体の延命策ではダメなのです」(野 依インタビュー 2017:9)。[→「問題解決型プログラム創設の必要性について」より]
● 研究開発と生産性
研究室がイノベーティブであることをどのように評価するのか? 産業分野や政府のR&D政策での、その指標に「生産性」があげれる
が、それは研究のマネジメントにも現れる。学術生産における生産性とは、1)学術論文への掲載、2)学会発表などのピアにおける情報発信、3)メディアな
どにとりあげられ、4)所属する部局や機関から顕彰されること、などである。またメディアなどに取り上げることのなかに、論文以外の書籍などの媒体を通し
て発表されるものも含まれる。
●共創イノベーションと研究経営
大学には、異なる領域の人と知識をつなぎ、社会課題の解決や新たな価値の創造に向けて専門的知識を役立てることのできる高度汎用力(課題発見力、課題解 決力、社会実践力)を備えた人材を養成するする必要があります。大阪大学は、それに資するために、2016年7月にCOデザインセンター(Center for the Study of Co*Design)[読み方は「こ・でざいん・せんたー」 である]を設立しました。学部生・大学院生の社会への幅広い関心と課題発見のための多様なスキルを学ぶ横断型高度教養・高度汎用力基礎教育プログラム「コ ミュ ニケーションデザイン科目」、Problem-Based Learning (PBL)も含む高度汎用力発展科目「COデザイン科目」からなるカリキュラムの開発・実施を段階的に進めています。社会イノベーション部門は、課題解決 の具体化に向けた産官学民のあいだの共創と協奏をつくりだすための研究教育を探究するセクションです。
●大学も持続可能な開発が必要です!
皆さんは、国連の、「持 続可能な開発のための2030アジェンダ」をご存知ですか? それは素晴らしいマーク(下図)だけでなく、未来の世界(具体的には2030年まで)に、17の 持 続可能な開発目標(SDGs)を国連に加盟する各国のみならず、地球市民のひとりひとりが具体的に実現しようという提案でもあります。
UNDPの創設は1966年ですが、持続可能な開発目標(SDGs)は2012年、リオデジャネイロで開催された国連持続可能な開発会議
(リオ+20)での議論が、その嚆矢となります。だとしたら我々の大学のキャンパスもまた、そのような《当たり前の理想の実現》に向け
て、各人各人が責任あるはずです。17の持続可能な開発目標(SDGs)を駐日代表事務所の翻訳とリンクを掲げてみます(→「大学も持続可能な開発が必要」でリンクします)。この簡潔な目標を、皆さんのまわ りで実現するためには、具体的にどのようなことが必要なのか、各人で考えてみましょう。
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