臨床コミュニケーター
Human Communicator in practice
解説:池田光穂
ある具体的な解決を目的としておこなわれる対人コミュニケーションを臨床コミュニケーションとよぶ。 臨床コミュニケーターとは、臨床コミュニケーションに関わる専門家のことの総称である。
臨床コミュニケーションのもっとも典型的な例は、医療現場における医療者と患者の間でみられる相互作用である。ここで言う医療者とは、かならずしも医師だけをさすわけではない。また、患者は、一般には病者とよばれ、広義には家族も含まれる。
しかし、臨床の現場におけるコミュニケーションに類する行為は、学校教育の場、心理カウンセリングの現場、法律相談、友人間の悩み事の解決など、さ まざまな局面でみられる。 臨床コミュニケーションの教育が、医療者、カウンセラー、教育者などの専門家以外にも必要なことは、患者学のように、相談する者と相談される者の間では、 さまざまな技法の習得が期待されているからである。つまり、医療者、カウンセラー、教育者などの専門家は典型的な臨床コミュニケーターである。
医療・福祉・コンサルテーションなどの業務は、具体的な専門知識と技量を有する人間と、問題を抱えその解決を求める人間のあいだのコミュニケーションを 基調とする。治療・ケア・対応策を授けるといった具体的業務においては確実さと信頼性を確保するためには現場における対人的コミュニケーションは不可欠で あろう。またこの種のコミュニケーションは、つねにその成果を現場にフィードバックするものであり、現場から得られる知恵の習得・継承・発展は欠かせな い。
臨床コミュニケーターの教育は、そのような枠組みで展開するために、臨床コミュニケーション教育の研究において、例えば、医学部や看護学部のスタッ フ養成のプロセスと、教員のそれ比較研究などはいまだ十分に検討されているとは言えないにせよ、今後大いに有望な分野なり、またその成果の有効性が期待さ れる。
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