多元的医療体系
Pluralistic Medical System
解説:池田光穂
一つの医療体系の中に、別の要素の医療体系が含まれたり、サブシステムとして使い分けられたりすることであ る——これは多元的医療体系(pluralistic medical system)と呼ぶ。日本において漢方エキス製剤が健康保険適用薬に指定され近代医療の処方として使われたり、世界の開 発途上地域の呪術治療師がビタミン注射や抗生物質を用いることは、その例である。多元的医療体系の概念は、主に医学史を中心とした非西洋医療の比較研究 が、病気認識とそれに基づく治療体系として理解されるにつれて、その重要性が認識されるようになってきた。すなわち人間社会全体にとっての<医療>という ものが、実は複数の知的システムの複合体であり、医療体系間には相互に交換される技術的要素があり、それらがサブシステムを形成するという、保健医療行動 の<環境>という事態が明らかにされたのである。
(→多元的医療行動 Pluralistic Medical Behavior)
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