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コミュニティにもとづく参加型研究:CBPR
Commnity-Based Participatory Research
from Gettyimages by Pedro Prado
コミュニティにもとづく参加型研究(別名:コミュニティに根拠をおく参加研究)とは、コミュニティのメンバーとコミュニティ外からやってきた専門・非専門の参与者が、協 働(コラボレーション)を原則としておこなう実践的な研究のことである。
つまり、コミュニティ(=共同体)への介入を前提とする社会調査技法 で、コミュニティのメンバー(成員)の自己決定を最優先し、外部から参与する専門家・非専門家の目的や意図をコミュニティとの話し合いにより民主的に決定 するような研究手法である。
具体的には、喫煙、慢性疾患、ドメスティックバイオレンス、さまざまな疾患の公衆衛生上の問題、青少年の非行化などが、研究テーマになる。そし てコミュニティのメンバーがそれらのひとつあるいは複数の問題について、対策が必要であることを認識し、それに関する情報探索、学習、具体的な問題や課題 の析出、対策の立案、評価法に関する学習などの、一連の発展プログラムをもつようなものであり、それをコミュニティ外部からの操作という要素を極力排しな がらすすめる社会開発プログラムであると考えればよい。
北アメリカ大陸では、すでに20年以上のあいだに地歩を築きつつあるアプローチで、その歴史的ルーツは半世紀以上にさかのぼれる。クルト・レ ヴィン(Kurt Lewin, 1890-1947)はアクション・リサーチという用語を1944-46年ごろに提唱し、社会的実践(social action)を引き出すための、アクション(行為)と研究の螺旋的運動形態として位置づけ、社会心理学上の理論をもちいて説明した。[→]
また文化人類学者ソ ル・タックス(Sol Tax, 1907-1995)は、1938年から62年まで、アイオワ州Tama において、先住民フォックス(メスクァキィ Mesquakie)インディアンの調査研究をおこなうのみならず、それが先住民の生活にどのように役立つのかについて、住民と調査研究に関わる学生との 交渉のなかで決定してゆくという研究手法を開発した。それは今日ではアクション 人類学(action anthropology)と呼ばれている。
またパウロ・フレイレ(Paulo Freire, 1921-1997)はブラジルを中心にしてラテンアメリカの成人教育、とくに識字教育の経験(『抑圧された人たちの教育学』)からいわゆる批判的教育学 の立場を打ち出し、実践を生み出す自由の概念とそれを疎外する抑圧、知識を断片的に生徒に与えてゆく銀行型教育を批判し、意識化を通して、人間の相互了解 にもとづく対話にもとづく学習行動の重要性について力説した。
コミュニティにもとづく参加型研究は、参加型というところに特徴をもつのであり、参加型(participatory)抜きのコミュニティの要 望を反映させる[→コミュニティにもとづく研究(サイエンスショップ)]、ないしはコミュニ ティにおいて調査研究するというフィールドワークとは、その方法論や内部者の行動におい て趣旨を異にする。
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文献
Copyleft, CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j, 1996-2099