マヤ文化と社会
Virtual Syllabus: Mayan culture and society of Guatemala
担当:池田光穂
[授業形態]講義と演習(2002年のシラバス:歴史的資料:最新情報は「マヤ学入門 」を参照)
[授業目標]
(1)マヤ文明が人類史においてどのようにとらえられてきたのかについて勉強する。
(2)マヤの現在について基本的な知識を習得する。
(3)マヤ諸言語のユニークな文法上の特徴について理解する。
(4)マム語の簡単な自己紹介や会話を通してマヤ文化に親しむ。
(5)マム語の学習を通して先住民言語の現状について視野や関心を広げるようにする。
[授業の内容]
みなさんはマヤ文明について見たり聞いたりしたことがあるでしょう? 映画『スターウォーズ』 (1977)の反乱軍の基地として有名になった熱帯雨林にそびえ立つティカル遺跡のピラミッド、精緻なカレンダーシステム、解明がすすんだマヤ文字な ど。マヤ文明はいろいろな魅力でいっぱいです。しかし他方でグアテマラ高地の先住民族であるマヤ人は、36年にわたる内戦のみならず現在においても虐 殺や政治的抑圧の対象でもあります。この授業では、マヤ民族のうちマム語を話す人びとたちに焦点をあてて、その文化と社会について考えてみたいと思いま す。
さて、マム語は中央アメリカのグアテマラ西部高地——最近では北アメリカの都市周辺において も!——を中心に話されています。言語学上はマヤ語族・高地西マヤ語群・マムグループに属する言語で、言語人口は推定60万人以上です。マム語は他のマヤ 語と同様、人称代名詞に<能格 ergative>と<絶対格 absolutive>の2種をもち、能格——他動詞構文の主語は自動詞構文の主語と異なり後者は他動詞の目的語と同じ活用をする——構成を認める言語の 一つです。それ以外にも、方位概念を表象する関係詞などが豊かであり、マム語で表象される宇宙観や人間観を知る手がかりも豊富にあります。
この授業はユニークな構造をもつマヤ語のマム語について、その音韻論・形態論・統語論の基礎を 学び、さまざまなテキストを分析し、言語資料を中心とした文化人類学的考察をおこないます。
■ マム語の学習
[キーワード]グアテマラ、マヤ文明、マヤ民族、マム語、能格言語、先住民族
[テキスト]授業で配布するプリント等
[参考文献]本ウェブページにて紹介しています。
[評価方法]参加する演習グループと授業全体に対する貢献度、レポート、試験などの総合評価
[履修上の指導]大学の授業なので毎回出席するのは当然である。したがって出欠はとらない。
[事前学習]
[事後学習]
■ クレジット
リアルな授業はすでに終わっています。[科目分類]文化表象学 分野 [授業科目]2002年度、文化表象学講読 [時間割コード]62220 [授業題目]グアテマラのマヤ文化と社会 [担当教官]池田光穂 [開講年次]2 [学期]前期 [曜日]火 [時限]4 [選択/必修]必修 [単位数]2[イベント]スケジュール[試験問題2002]2002年度試験問題
【旧版解説】私の過去3年間でのシラバス・ライティングの変貌がわかりますのでご参考までに!
マム語は中央アメリカのグアテマラ西部高地——最近では北アメリカの都市周辺においても!—— を中心に話されている。言語学上はマヤ語族・高地西マヤ語群・マムグループに属する言語で、言語人口は推定60万人以上である。マム語は他のマヤ語と同 様、人称代名詞に<能格 ergative>と<絶対格 absolutive>の2種をもつ、能格——他動詞構文の主語は自動詞構文の主語と異なり後者は他動詞の目的語と同じ活用をする——構成を認める言語の 一つである。それ以外にも、方位概念を表象する関係詞などが豊かであり、マム語で表象される宇宙観や人間観を知る手がかりも豊富にある。
この授業はユニークな構造をもつマヤ語のマム語について、その音韻論・形態論・統語論の基礎を 学び、さまざまなテキストを分析し、言語資料を中心とした文化人類学的考察をおこなう。 英語ならびにスペイン語による言語学的解説をおこなったテキストを用いるので、それらの言語および学問について基礎知識をある程度習得しているほうが好 ましい。また宿題や小テストを頻繁に課すので、継続して根気よく受講する覚悟が必要である。
テキスト:England, Nora. 1983. A Grammer of Mam, a Mayan Language. Austin: University of Texas Press. B'aay y Ajb'ee. 1997. Ttxoolil Qyool Mam: Gramatica Mam. Guatemala: Cholsamaj.その他のリストはインターネット上で提示します。
参考文献:文献リストはインターネット上で提示(URLは別途通知)します。
評価方法:出席とテスト。
履修上の指導等:宿題と小テストを課すので毎回出席できる者。受講者の基礎学力として英語・スペ イン語・言語学についてすでに習得していることが望ましい。
★「グ アテマラのマヤ文化と社会」授業日程(2002 年)
1回目 |
イントロダクション (4月16日教室ガイダンス) |
2回目 |
マヤ文明とはなにか? |
3回目 |
新大陸と旧大陸間のさまざまな交渉について 人口激減の理由は?(→病気の文明史:参照・要ID) 疾病交換 ラス・カサスについて T・トドロフ『他者の記号学』 世界初の文法書の編纂とその歴史的背景 |
4回目 |
メソアメリカ史1 (→マ ヤと土地所有の問題) エルナン・コルテス ペドロ・デ・アルバラード(1485—1541) キチェ、カクチケル、マム エンコミエンダ制 1524 Santiago de Guatemala (Iximche'?) 1541 Antigua 1776 Guatemala |
5回目 |
メソアメリカ史2 |
6回目 |
|
7回目 |
グアテマラ先住民の現在 "Haunted Land"の上映をおこないました。 (参照:現代 暴力論) |
8回目 |
マヤ語言語学入門 |
9回目 |
マム語の話される社会状況を理解してもらうために、1980年頃のクチュマ タン高原の先住民族の民族誌映画を観ていただきました。 Olivia Carrescia (Dir.), "Todos Santos Cuchumatan" ________________________________________________ マム語入門1:マム語 入門 |
10回目 |
マム語入門2 |
11回目 |
マム語入門3 |
12回目 |
マム語入門4 |
13回目 |
マム語入門5 |
14回目 |
マム語入門6 |
15回目 |
試験 |
文化表象学講読(コード62220, n.43)2002年試験問題
受験者氏名[ ] 学生番号[ ]
【問題】 グアテマラのマヤ系先住民におこった社会事象のうち、つぎの3つのテーマのうち、2つを選択して答えなさい。[配点、各50点]
(I) マヤの古代文明
(II) ヨーロッパ人によるマヤ民族の征服
(III) 1961年にはじまる36年間の内戦
Copyleft, CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j, 1996-2099