史上最低/最高の文化人類学の授業とはなにか?
Cultural Anthroplogy for many World Dummies!: Japanese edition
〈目次〉
◆平成19(2007)年度・大阪大学人間科学部・授業科目・授業コード: 010381 開講区分:2学期 曜日時限:水3限 科目名:比較文化学、教室:第41教室 科目名(英):Comparative Study of Cultures 単位数:2、年次:2,3,4年
◆平成19(2007)年度・大阪大学大学院人間科学研究科・授業科目・授業 コード:211227
担当教員:池田光穂(所属:コミュニケーションデザイン・センター、教員コード84823074)開講区分:2学期 曜日時限:水3限 科目名:比較文化学特講、教室:第41教室 科目名(英):Comparative Study of Cultures 単位数:2
授業題目:
史上最低/最高の文化人類学の授業とはなにか?
授業題目:
問題解決型学習(PBL)を中心にすえた対話型の授業を通して、ある学問(ここでは文化人類学)の内容と範囲、方法論がどのように教授 されるべきかについて学びます。授業が終わった時点で受講生は次の3つのことについて自主的に解答が得られている状態(=学習目標)であることが期待され ます。(1)文化人類学という学問の形成史と、その学問の社会的意義についての概要が把握できる。(2)文化人類学のいくつかの方法論とその認識論的前提 が理解できる。(3)学習者(=受講生)の専攻分野の学問領域と狭義の文化人類学の研究との関係について、ある程度の見通しがとれて、かつ第三者に対して そのことを適確に表現することができる。
授業内容:
授業はPBL(Problem-Based Learning)という方法を手掛かりにしながらすすめます。PBL方式とは、具体的な問題解決への取り組みこそが学習をもっとも効果的かつ有益に永続 させる方法である、と考える教育実践のひとつです。したがって本授業では、皆さんの前に提示される文化人類学者たちの奇妙な行動や、彼/彼女たちが主張す るいっけん奇天烈な言辞を前にして発することのできる「疑問点」を解くために受講者間の対話、答えが期待できる具体的問題の構築、情報収集と集約、プレゼ ンテーションとそれをもとにした議論から構成されます。皆さんじしんによる問題構築と情報収集にバイアス(偏り)がかからない範囲での現今の文化人類学 [者]の状況に関する情報提供のための講義も、それらの作業の合間におこなわれます。文化人類学に関する特段の予備知識は要求されませんが、受講生は文化 人類学に登場するさまざまなテーマや議論に関する課外での情報収集と、それらをとりまとめ公表し議論に参加するという活動が要求されます。このような多少 面倒くさい活動に参加できない/したくない学生の受講はおすすめできません。これらの活動を継続できる受講者側の要因としては、この分野に関する思い入れ を含めた興味と情熱の自己調整能力、どのような学問分野でも必要になる具体的問題産出能力という点につきるでしょう。
授業計画:
いわゆる原理主義タイプのPBL方式では、教師(あるいはチューター)は学生たちには一切介入せず、すべて学生たちのグループの自己管 理による授業運営がなされます。このタイプのPBLでは次のような段取りで授業がすすめられます。(1)授業の趣旨説明・PBLの方法論の学習、(2)問 題点析出のためのブレインストーミング、(3)合議による具体的問題の構築、(4)資料収集とメンバー内における開示、(5)討議と、その結果をもとによ り新たな問題点の析出、(6)情報収集と上記作業の繰り返し、(7)結論となる結果のとりまとめ、(8)公表、(9)他者評価と自己評価による成績づけ、 (10)ポートフォリオとよばれるレポートの作成と保存、です。しかし本学ではこのタイプのPBLが行われたことがなく、また組織的にも未対応です。した がって本講義では、従来の教育方法でとられた系統学習の利点を織り交ぜながらの混合型PBL方式でおこなわれます。混合型とは、討議に教師も参加したり、 それらの間に講義をおこなったりして、適宜、学習のプロセスに[制御を含めて]介入する手法が入ったものです。本講義では全15回の授業を次のように構成 します。
教科書:
PBL学習では、特定の教科書が指定されることはありません。PBLにとって、学習者がアクセスできるすべての資料体(印字されたも の、電子化されたもの、特定の人間など)が、教科書になりえるからです。
参考文献:
本授業に関連するウェブページ(本ページ)は授業の進展に伴い更新される予定です。またPBLに関しては以下の後2者のウェブページ が用意されており、これも授業の進展にともない、順次整備される予定です。
◎史上最低/最高の文化人類学の授業とはなにか?(本ページ)
http://cscd.osaka-u.ac.jp/user/rosaldo/070307anthroPBL.html
◎問題にもとづく学習(ページリンクします)
◎問題にもとづく学習の研究(ページリンクします)
成績評価:
出席点(出席確認はグループの構成員間で管理されます。比重1割)、グループ学習への貢献度(自己評価、3割)、グループ学習成果の公 表の評価(他者評価、3割)、ポートフォリオの内容評価(教員による評価、3割)による総合評価です。(→「成績評価のためのルーブリック法」)