老人が尊敬される/軽蔑される社会的メカニズムについて
Why do we abuse and/or respect against/on elder fellows? : The
Origine of Pro-grerontocracy and Contra-gerontocracy
解説:池田光穂
染谷臣道先生の『アルースとカサール』の中 (281-283ページ)に「文化的老齢化」という表現があります。ジャワ社会では、老人が尊敬されているが、それは人口学的な理由だけではないという説 明のなかで使われています。
それに対照されるのが、日本の「老人問題」です。と いうことは、日本はある時期から、gerontocracy が急速に影響力がなくなったということです。
そこで、彼は「文化的老齢化」の説明にパーソンズの 社会体系論から業績性(achievement)と帰属性(ascription)の対比を借りて、 老齢は性[別]と並んで帰属性の代表だとしたことです。
ところがジャワの農村社会では、尊敬される老人たち は業績性を加味されていると言います。その業績性は、職業、学歴、財産、社会的貢献度です。
だから——ここからは私の解釈ですが——ジャワの社 会は、老齢の尊敬が、帰属性に委ねられながらも、その中での業績性をもとに、さらに集団の内部で差異 化=階層化されるということです。染谷流にいうと「ジャワ語の階層性」が、集団の中での業績性を峻別するために十分に機能しているということになりましょ うか。このあたりは、サピア=ウォーフ的な説明(=言語構造や語彙の豊かさが言語使用者の思考経験の形成に多いに影響を与える)がどれほど通用するのか、 さまざまな反論を考えてみないとなりませんが……
さてサモアでは、女性は、老齢になると、編み物や 薬などの教師としての役割は増える。家での権力は男性の老人よりも大きくなる。人柄についての知識が権力の源泉である。他方、男性は、教師としての役割が 減る。権力の源泉は、称号にあるといいます(→出典:マーガレット・ミード『サモアの思春期』)。
リンク
文献
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Gerontocracy の初出(1828)