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動物学者と動物の科学民族誌:各年度報告

Anthro-Zoolography between Animals and Zoologists, Years 2014-2016

ニジンスキー


池田光穂

クレジット:日本学術振興会科学研究費補助金、挑戦 的萌芽研究(研究課題番号: 26560137):研究代表者:池田光穂:2014年度〜2016年度(研究終了):

メインページ:「動物学者と動物の科学民族誌:人類学者の参 与観察と協働可能性

《2014-2015-2016年度の研究の概要: わかりやすい版》

動物学者は研究の現場で動物にどのように接するので あろうか?それを明らかにするために、野外において動物学者の行動を観察するだけなく、どのような意識をもっているのか/どのように研究を遂行してきたの かについて(動物を除いた関係者に)インタビュー調査が必要となる。その結果、インタビューからの答えにより研究者の行動が完全に明らかになるのではな く、実際に現場で観察し、また先行研究を通して指摘されている事柄との検証を通して研究者集団の歴史的、文化的、社会的差異に研究者は気付いた。自然科学 の定式化された枠組みは、それらの差異を少なくするが、同時に現場では行動の多様性が豊かにみられることが明らかになった。

How do the professional zoologists communicate with animals as their research objects in their laboratories and outdoor fields? If you have a question like this, you are in front of the door that is inspiring and introducing you our new anthropological field, we neologize as "anthro-zoolography." On this study, we can classify various ontological actors into three categories; (a) Animals, (b) Zoologists, and (c) Researchers of cultural anthropology. In short, even zoologists objectify animals as research objects, at the same time they also subject-ify (to turn animals into subjects as actors) for understanding natural phenomenon via anthropomorphism theriophily and so on. Through these cognitive process, we can find out research diversities depending on historical, cultural, and social differences. Our research outcomes are showed as research papers and our own web pages.

《研究目的》

本研究の目的は、日本の大学や研究機関に属する哺乳 類動物学者に関する科学人類学的な調査をおこない民族誌を作成する研究である。その研究は、(a)動物の行動を観察する(b)動物学者を観察する(c)人 類学者による布置から構成される3者関係から協働して三角測量(triangulation)する。人間動物学(anthrozoology)という本邦 初のものを目論見る。人間と動物の関係に関する研究の多くは動物ケアという観点からが多く、本研究のこの目的は独自である。三角測量的な参与観察調査を通 して、この新しい学問分野に相応しい現場調査における情動=行動=認識に関する記述法(ethnos-graphy)の創案を目指す。またこの過程を記録 することによりこの記述法についての考察が可能になる。人間と動物の関係についての未来への提案が可能となる。

《研究の梗概》

本研究の目的は、日本の大学および行政ないしは研究 機関に属する哺乳類動物学者に関する科学人類学的な調査をおこない民族誌(ethnography)を作成する研究である。端的には「哺乳類動物研究者の 研究」であるが、その研究は、(a)動物の行動を観察する(b)動物学者を観察する(c)人類学者による布置から構成される3者関係から三角測量 (triangulation)するものである。研究ジャンルとしては、広義の人間動物学(anthrozoology)(Herzog 2011)すなわち「人間と動物のあいだの関係についての研究(the study of the relationships between humans and animals)」と定義され、簡潔にまとめると人間と動物の研究(human-animal studies, HAS)という研究領域に属するものである。エソロジー研究までを守備範囲にいれたこの研究を情動=行動=認識に関する記述法(ethnos- graphy)と呼び、人類学の民族誌を補完すべき方法論の開発を目論見る。

《2014 年度:研究実績の概要》

 研究初年度にあたり、(a)動物の行動を観察する 視座、(b)動物学者を観察する視座、(c)人類学者による両者を観察する視座、の3つの布置から構成される三者関係から、協働して三角測量をおこなっ た。研究代表者の池田と分担者の大舘は、THE 4th INTERNATIONALSYMPOSIUM ON ASIAN VERTEBRATE SPECIES DIVERSITY(18-20th,December,2014: University of Malaya, Kuala Lumpur, Malaysia)に参加すると同時に、マラヤ大学の生態学フィールドステーション(Ulu Gombak Field Research Center)にて、野外状況における脊椎動物学者の研究資料の採集行動について観察することができた。池田は、研究協力者の佐藤が通常行っているヒグマ の生態調査に関する基礎インタビューを通して、ヒグマ動物学者に関する論文生産の有り方について資料収集した。池田はさらに佐渡島の「佐渡トキ保護セン ター」を訪問して、地元の保護活動NPOボランティアに面接調査をおこなった。また物理学における対称性/非対称性の原理から、本調査実証研究に関する比 較理論研究をおこなった。大舘は、第62回日本生態学会(2015.03.18-22,鹿児島大学)に参加して集団遺伝学のサーキット理論や定向進化に関 する知見を収集した。分担者の田所は、総合地球環境学研究所での国際シンポジウム(The Locality of “Health”: Traditional/ Folk Medicine, People’s Health and the Environment)において、パンダヌス食性の人類生態学的知見について研究発表をおこなった。

《2015 年度:研究実績の概要》

研究代表者の池田光穂は、犬と人間の相互作用が構成する環境世界(Unwelt)とい う観点から生物の共進化を促進するための育種過程(breeding process)の要因に関して、文化という非遺伝的な影響について考察した。その成果を、日本文化人類学会、大阪大学芸術と科学の融合研究会、ヒトと動 物の関係学会等で発表した。また動物殺しという観点から、人間の同種間殺害、とりわけ嬰児殺し(infanticide)と高齢者殺害 (gerontocide)に関する民族誌データを比較して、狩猟動物や家畜の殺害行為との共通点と相違点を明らかにした。さらに池田は2016年2月、 研究分担者である大舘智志のタンザニア西南部のンジョンベ地域におけるスンクス属の採集旅行に同行し、モロゴロ農業大学の害獣動物駆除研究のエキスパート の研究交流に参加した。それに先立ち、大舘は2015年12月にタイのチュラロンコン大学でおこなわれたThe 5th international Symposium on Asian Vertebrate species Diversity (JSPS Core-To-Core Program)において、住家性ジャコウネズミの研究における系統地理学的分析の調査研究(一部)を発表した。またその際に、アジアにおける爬虫類や鳥 類の研究者と情報交換をおこなった。研究分担者の田所聖志は、池田と連絡をとりつつ、これまで収集してきたパプアニューギニア山地民社会の人間と動物との 関係に関するデータの整理・分析を進め、関連する文献研究を行った。その際に、人間による動物へのまなざしについて、ニューギニア山地民と動物行動学者と のあいだにある共通点と差異について検討した。平成27(2015)年度の総論として、昨年度に引き続き、人間と動物の多様な相互関係に関する資料収集と 分析に努めた。

《2016 年度:研究実績の概要》

最 終年度にあたり、研究代表者(池田)は、本研究テーマのこれまでの方法論について精査し、さまざまな角度から検討した。とりわけ、当初方法論にある、 (i)動物―(ii)動物学者―(iii)人類学者による三者関係と、それらの立場から視座の可能性について考えた。

これまでの調査では、生きている動物とその死骸遺物の間に研究者は大きな峻別を行わな いことが明らかになったので、(i-a)現存動物の範疇を拡大し、(i-b)想像上の動物や、かつて存在した化石恐竜などの、(1-c)現存しない動物、 という範疇で、動物学者の範疇を聖書学等の古典学者やSF作家や、古生物学者や考古学者に拡張し、主に文献や博物館調査などを通してその言説分析をおこ なった。また「動物としての人間」という観点から、人間の 嬰児殺しと老人虐待についての進化生物学の成果を利用しながら研究論文を報告した。あわせて(動物学者を含む)人間と犬の関係についての共進化(coevolution)学説の可能性 について検討した。研究分担者のO氏は、小型哺乳類であるトガリネズミ類の国際的集会に招待講演者として登壇し講演をおこなった。その際に、トガリネズミ 類に関するさまざまな文化圏に属する研究者と意見交換して、現地の宗教や民話あるいは、殺傷をともなうサンプリングに関する生命倫理規範の文化相対性につ いて意見を聴取している。また同じく研究分担者のT氏は、これまでに収集した映像資料と文献資料データの整理と執筆をおこなった。その成果は書評論文とし て成果報告している。総じて、それぞれの研究者は個別のテーマをもち、動物と(生物医学者を含む広義の)動物学者の関係について考察を深めた。研究代表者 は相互の連絡をとりながら最終的な報告にむけた調整をしている。

《キーワード》

    1. 動物行動観察
    2. ヒューマンエソロジー
    3. 対称性人類学
    4. 遠近法(perspectivism)
    5. 動物学者
    6. 科学人類学
    7. 科学史
    8. 科学社会学
    9. 動物地理

《現在までの到達度》

2014年度の自己評価:(2)おおむね順調に進展 している

調査計画の年度計画では、1)相互の研究室の訪問と インタビュー、2)方法論に関する研究会開催、3)文献の渉猟と学知の蓄積、を予定していた。研究実績の概要にあるように、1)と3)に関してはおおむね 順調に進展している。2)に関しては個別の学会発表・国際集会の参加を通して、方法論上の示唆や情報の収集に努めたが、具体的な全体集会は招集できなかっ た。次項「今後の研究の推進方策」で記載しているがメールおよび電子会議にて、この旧年度中のハンディを克服する。しかしながら、研究代表者は、すべての 分担者ととも学術集会等に参加し、また資料を提供してくれる動物学者たちと邂逅する機会を得たので、平成27(2015)年度に予定していた研究にも前倒 しにて踏み込んだ研究機会を得た。そのため、研究の自己点検による評価においては「おおむね順調」および「当初の計画以上」の進捗状況であると認めること ができる。

2015年度の自己評価:2 :  おおむね順調に進展している

調査計画の年度計画では、1)相互の研究室の訪問と インタビュー、2)方法論に関する研究会開催、3)文献の渉猟と学知の蓄積、を予定していた。研究実績の概要にあるように、1)と3)に関しては哺乳類研 究のフィールドワークがなされたので、その面での成果があがった。2)に関しては個別の学会発表・国際集会の参加を通して、方法論上の示唆や情報の収集に 努めたが、具体的な全体集会は招集できなかった。しかしメールおよび電子会議にて、この部分のハンディの解消には努力した。研究代表者と分担者は種々の学 術集会等に参加し、資料を提供してくれる動物学者等と邂逅する機会を得たので、調査研究について幅をもたせる研究機会を得た。そのため、研究の自己点検に よる評価においては「おおむね順調」の進捗状況であると認めることができる。

《今後の研究の推進方策 等》

2015年度

「現在までの到達度」で自己評価したように、旧年度 中に十分におこなうことができなかった方法論に関する研究会開催を、メールおよび電子会議にて、この旧年度中のハンディを克服する。平成27(2015) 年度は哺乳類研究のフィールドワークと民族誌調査を更に深めるとの予定である。本年は、札幌でinternational wildlife management congressが、バンコクにてTHE 5th INTERNATIONAL SYMPOSIUM ON ASIAN VERTEBRATE SPECIES DIVERSITY、仙台で第63回日本生態学会(2016年3月20日)の開催が予定されているが、これらの集会にも参加し、中間報告の研究発表に挑戦 したい。

2016年度

「現在までの到達度」で自己評価したように概ね順調 にすすんでいる。平成28(2016) 年度は最終年度であり、インドネシア・ボゴールにてTHE 6th INTERNATIONAL SYMPOSIUM ON ASIAN VERTEBRATE SPECIES DIVERSITY、東京で第64回日本生態学会(2017年3月)の開催が予定されているが、これらの集会にも参加し研究発表に挑戦したい。

《研究業績》

【省略】

《得られた資料等》


インターネットによる業績紹介・報告

リンク

文献

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