デジタル・ヒューマニティズからスマート・キャンパスへ!
From teaching Digital
Humanities to Creating Smart-Campus in our universities
デ ジタルヒューマニティーズ(digital humanities, humanities computing)とは、人文学(古くは自由七科による教養科目)とICT(情報通信技術)との学際融合領域、ないしはその「対話」のことです。言い 方を変えると、デジタルヒューマニティーズ(デジタル・ヒューマニティーズ)とは、 ICTを通しての人文学の刷新(イノベーション)のことであり、また、技術偏重に傾いたICTを人間化(ヒューマナイズ)するプロジェクトのことです(→ 「デジタル・ヒューマニティーズ」「君の内面にある生き方をスマート化せよ!」)。
スマート・キャンパスとは、ICT技術を最大限に使い、大学がおこなう教育・研究・社会 貢献などを実現している新しい大学キャンパ スとキャンパスの中での学び方・働き方のことです(→「スマート・オフィス とスマート・キャンパス」)。
Interior of the Vienna University
Library and Learning Center (2013) designed by Zaha Mohammad Hadid
(1950-2016)- This Photo was taken by Böhringer Friedrich.
(rufre@lenz-nenning.at)
さて、デジタル・ヒューマニティズを、スマート・キャンパスに導入し、変化させるために は、ICTにもとづくデジタル化というものが不可欠になります。私が現在重要視しているのは、グーグル社のアドワーズというウェブによる広告とその課金の システムです。これは、ただ単にICT時代のビジネスモデルだけでなく、情報の提示と、それを受けた人たちの行動変容モデルであると考えます。以下に、ア ドワーズ戦略とは何か?そして、アドワーズ戦略を使った、スマート・キャンパスとはどのようなものかについて、みなさんと一緒に考えていきましょう!
まずアドワーズ戦略(AdWords Strategy)についてです。アドワーズ(AdWords)とは、Google社がつくった造語で、正式には「グーグル・アド ワーズ(Google AdWords)」といいます。私たちが、商用ポータルサイトつまりアマゾンや楽天の通販サイトなどをくり返し訪問すると、自 分の欲しい/欲しがっている商品が《あなたへのオススメ》という形で適確に上位に登場している実感がわくはずです。その理由は、特定のユーザーがグーグ ル検索すると、ユーザーがアクセスした情報を蓄積しておき、本人が望んでいる情報を最適化して提示するような仕組みになっているからなんです(=グーグル はそれをポートフォリオ戦略のひとつである「自動入札戦略」 と称しています)。教室でみんなが持ち込んだノートPCで簡単な用語で各自検索すると、その登場順が各人で異なるのはそういう理由からなのです。それをイ ン ターネットを介した双方向のコミュニケーション技術を、広告提示に応用したのがグーグル・アド ワーズです。グーグルは、さまざまな商用ポータルサイトを利用する顧客に対して、その検索情報を提供して、商用サイトはその最適化技術を使っ て、客を購買行動に誘います。大概のユーザーはログイン情報を登録してあるので、第三者には配信しないことを条件にしてその際に個人情報を利用して、広告 もカ スタマイズして提示することは了承済であるという規約にもとづいて広告が提示されるために、ユーザーがそれを嫌がる場合は、自らがログアウト(=オプト・ アウト)しないかぎりは魅力ある(あるいはすでに購入したはずの関連の)広告 が提示されるようになっているのは、実際そういうわけなのです。
グーグルは、そのクリックの数に応じて(従量制)広告主から課金します。ユーザーがク リックしなければ広告主はグーグルには支払わなくてもいい(=課金されな い)ので、広告主にも不要な広告料を支払っているという認識は生じ難いようになっているのです。また、新規広告主は、広告のグレードに応じて、より不特定 多数のユーザーに広告を 打つことも可能です。ユーザー(と広告主)にとっては魅力的であると同時に、悩ましいものでありますが、広告も立派な情報なので、対価を伴うシステムとし ては、従来の不特定多数に効力もわからず広告を打つよりもきわめて合理的であり、顧客の不満も低減します。
こ のアドワーズ(AdWords)を、インターネットにおける情報提示の戦略として位置づけたのがアドワーズ戦略(AdWords Strategy)です——私(池田)が名づけました!。たとえば、大学における学 生の履修方法も、従来は時間割と履修規定にあわせたものをユーザー自身 がやりくりしてなんとか創りだ すものでした。大学の初学生はそれが分からないために、大学は履修指導の教員やTAを動員してそれに対処してきましたが、彼らの経験知のレベルと質もまち ま ちであるし、学生の個性もあいまって、経験的な泥縄でおこなわれてきたのが現状です。学生の学習への取り組みや自分自身のキャリアデザインをICT技術 によりサポートしてあげ、それをもとに学生に対して最適化した時間割とシラバス閲覧と選択をさせることができれば、それほど相応しいことはないでしょう。 わ が大学には、それに対応することができる教員がたくさんいるはずなのに、全く履修サービスの提供に、彼/彼女らの優秀な能力が活かされていないのは、残念 至極です。
大学生・大学院生のみなさんが、自分の自助努力で、大学が提供している情報をカスタマイ ズして、皆さんにとって自助のためのステップを今踏み出すとしたら、それは、みなさんが住まうキャンパスは確実にスマートになりつつあります。
【続く!】
●続編→「「空気と空間づくり」から考えるイノベーション・キャンパスの実現」︎▶︎「空気」が読めるための大学院共通教育科目▶︎︎▶︎▶︎︎▶︎▶︎︎▶︎▶︎︎▶︎▶︎
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