はじめによんでください
民族的マイノリティ
Concept of
Transcultural Nursing, 08/10
池田光穂
民族的マイノリティ
日本における民族的マイノリティについ
て、在留外国人、訪日外国人数は増加の一途をたどり、多様な国から多様な文化を持った外国人が訪日している。そうした人々に対して文化的にも安全なケアを
提供することが重要である。例えば日本と同じアジア圏でもインドネシアは世界最大のイスラム教国であるが、イスラム教の教えには食べ物に関する戒律(豚肉
を食べない、アルコールは摂取しない)や、女性の行動が制限されるといったルールが存在する。豚肉は食事に出さないだけでなく、豚肉由来のゼラチンなども
場合によっては不可であるし、アルコール消毒もできない場合もある。またたとえ医療行為であっても男性看護師が女性患者に接触することは制限されることと
なる。このように医療行為にまでマイノリティ・カルチャーは影響を及ぼすことがあるため、ケア提供者は文化的ルールに反さない範囲で、適切な介入を実践す
る必要がある。
1 異文化とはなにか?
2 異文化を把握する方法
3 異文化に違和感を覚えるとき
4 異文化を受け入れるとき
5 異文化看護を知る
6 異文化看護をアセスメントする
7 サブ・カルチャーとマイノリティ
8 民族的マイノリティ
9 性的マイノリティ
10 ダイバーシティと文化的能力
●
学習目標
- 1.異文化理解の基礎となる文化の概念がわかる
- 2.異文化を把握する方法や概念を理解する
- 3.異文化に違和感を感じる人間の本性と、それを克服するための多文化間看護について理解する
- 4.マイノリティ・カルチャーについて理解する
練習問題
- 1.文化の定義を自分なりに簡潔にまとめてみよう、
- 2.異文化を理解するフィールドワークとはどのようなものか考えてみよう、
- 3.ある人が異文化に違和感を覚えた時に、人が属する文化は、その人にどのような影響を与えているか考えてみよう、
- 4.異文化という社会環境に赴任する看護職者は、どのようなことを身につけるべきか、具体的に考えてみよう、
- 5.国内のマイノリティ・カルチャーについて考えることが、なぜ国際看護の実践にとって重要になるか、説明してみよう。
■リンク
■文献
- 池田光穂『看護人類学入門』文化書房博文社,2010年
- 異文化の理解と看護(望月由紀先生との共著)『国際看護:国際社会の中での看護の力を発揮するために』森淑江ほか編、Pp.34-41、
南江
堂, 2019
- 青木保:文化の否定性.中央公論社,187頁,1988
- ベネディクト,R.:文化の型.米山俊直訳,402頁,2008
- フリック,U.:質的研究のデザイン,鈴木聡志訳,179頁,2016
- 池田光穂:実践の医療人類学.390頁,世界思想社,2001
- 池田光穂:「文化の翻訳」に資格はいらない.こころと文化 8(2):139-145. 2009
- ギアーツ,C.:文化の解釈学(上・下).吉田禎吾ほか訳,岩波書店,1987
- サムナー,W.G.:フォークウェイズ,青柳清孝ほか訳,青木書店,1975
- D'Avanzo, Carolyn. 2008. Mosby's Pocket Guide to Cultural
Health Assessment -, 4th Edition. Elsevier
- Giger, Joyce Newman. 2013. Transcultural Nursing : Assessment
& Interventions. Elsevier
- Suh EE. 2004. The model of cultural competence through an
evolutionary concept analysis. Journal of transcultural nursing.
;15:93–102.
■その他の情報
Copyleft, CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j, 1996-2099
看護人類学入門
池田光穂