はじめによんでください
性的マイノリティ
Concept of
Transcultural Nursing 09/10
池田光穂
性的マイノリティ
性的マイノリティとしては近年LGBTQ
という言葉が使われるようになった。LGBTQとはレズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェン
ダー(性同一性障害を含む、生まれ持った性・性役割と性自認が異なる人)、クエスチョニング(性自認や性的指向が定まっていない人)といった多様なセク
シュアリティを持つ人々の総称である[→LBGTI]。こうした性的指向(性愛の対象がどのような人に向くかということ)は本来パーソナルな事柄であるた
め、公表していない人も多いが、例えば本人が希望すれば病状説明を「家族」に行う場合にそこに同性パートナーを含める、あるいは外見と実際の性別が異なる
場合、患者を確認する際に多くの人がいる前ではフルネームで呼ばない、入院時に男女別の病室を設定している場合、患者自身の性自認と違う部屋に割り当てな
い、といった本人の意思を尊重した対応が求められる。また卵巣や精子に影響を与える治療を行う場合、生物学的性別に沿った治療を行う必要があったりと、い
くら本人の性自認を尊重すべきとはいえ、治療やケアに大きく影響してくる場合には専門的な判断が必要となる。さらに、LGBTQの人々は社会からの理解が
不足していることから、自殺のハイリスク集団であることが知られている。そこでこうした性的マイノリティの人々への配慮もケア専門家として重要となってく
る。
1 異文化とはなにか?
2 異文化を把握する方法
3 異文化に違和感を覚えるとき
4 異文化を受け入れるとき
5 異文化看護を知る
6 異文化看護をアセスメントする
7 サブ・カルチャーとマイノリティ
8 民族的マイノリティ
9 性的マイノリティ
10 ダイバーシティと文化的能力
●
学習目標
- 1.異文化理解の基礎となる文化の概念がわかる
- 2.異文化を把握する方法や概念を理解する
- 3.異文化に違和感を感じる人間の本性と、それを克服するための多文化間看護について理解する
- 4.マイノリティ・カルチャーについて理解する
練習問題
- 1.文化の定義を自分なりに簡潔にまとめてみよう、
- 2.異文化を理解するフィールドワークとはどのようなものか考えてみよう、
- 3.ある人が異文化に違和感を覚えた時に、人が属する文化は、その人にどのような影響を与えているか考えてみよう、
- 4.異文化という社会環境に赴任する看護職者は、どのようなことを身につけるべきか、具体的に考えてみよう、
- 5.国内のマイノリティ・カルチャーについて考えることが、なぜ国際看護の実践にとって重要になるか、説明してみよう。
■リンク
■文献
- 池田光穂『看護人類学入門』文化書房博文社,2010年
- 異文化の理解と看護(望月由紀先生との共著)『国際看護:国際社会の中での看護の力を発揮するために』森淑江ほか編、Pp.34-41、
南江
堂, 2019
- 青木保:文化の否定性.中央公論社,187頁,1988
- ベネディクト,R.:文化の型.米山俊直訳,402頁,2008
- フリック,U.:質的研究のデザイン,鈴木聡志訳,179頁,2016
- 池田光穂:実践の医療人類学.390頁,世界思想社,2001
- 池田光穂:「文化の翻訳」に資格はいらない.こころと文化 8(2):139-145. 2009
- ギアーツ,C.:文化の解釈学(上・下).吉田禎吾ほか訳,岩波書店,1987
- サムナー,W.G.:フォークウェイズ,青柳清孝ほか訳,青木書店,1975
- D'Avanzo, Carolyn. 2008. Mosby's Pocket Guide to Cultural
Health Assessment -, 4th Edition. Elsevier
- Giger, Joyce Newman. 2013. Transcultural Nursing : Assessment
& Interventions. Elsevier
- Suh EE. 2004. The model of cultural competence through an
evolutionary concept analysis. Journal of transcultural nursing.
;15:93–102.
■その他の情報
Copyleft, CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j, 1996-2099
看護人類学入門
池田光穂