はじめによんでください
ダイバーシティと文化的能力
Concept of
Transcultural Nursing 10/10
池田光穂
ダイバーシティと文化的能力
さまざまな事例を通して見てきたように、
人は多様で多層的な文化を有しており、近年ではそうした多様性を「ダイバーシティ」と呼んでいる。ダイバーシティとは個々人の多様性を尊重し、価値を認め
る態度でもある。そして特にヘルスケアの領域では、そうしたダイバーシティを尊重するための能力として、文化的能力が求められる。文化的能力とは「文化的
に多様な人々や集団と有効に仕事ができる能力獲得を目的とした進行形のプロセスであり、それには多様な文化特性に対するきめ細かな気遣いと具体的な知識、
精錬された技能、そして個人的で専門的な尊敬の念が必要となる。」
つまり多様な文化に対する知識だけでなく、ケア専門家としての専門知識に基づいた対象者への尊敬の念が文化的に適切なケア(文化看護)を成立させる。この
文化看護によって、対象者に安全で安心なケアが提供出来ることとなるのだ。
1 異文化とはなにか?
2 異文化を把握する方法
3 異文化に違和感を覚えるとき
4 異文化を受け入れるとき
5 異文化看護を知る
6 異文化看護をアセスメントする
7 サブ・カルチャーとマイノリティ
8 民族的マイノリティ
9 性的マイノリティ
10 ダイバーシティと文化的能力
●
学習目標
- 1.異文化理解の基礎となる文化の概念がわかる
- 2.異文化を把握する方法や概念を理解する
- 3.異文化に違和感を感じる人間の本性と、それを克服するための多文化間看護について理解する
- 4.マイノリティ・カルチャーについて理解する
練習問題
- 1.文化の定義を自分なりに簡潔にまとめてみよう、
- 2.異文化を理解するフィールドワークとはどのようなものか考えてみよう、
- 3.ある人が異文化に違和感を覚えた時に、人が属する文化は、その人にどのような影響を与えているか考えてみよう、
- 4.異文化という社会環境に赴任する看護職者は、どのようなことを身につけるべきか、具体的に考えてみよう、
- 5.国内のマイノリティ・カルチャーについて考えることが、なぜ国際看護の実践にとって重要になるか、説明してみよう。
■リンク
■文献
- 池田光穂『看護人類学入門』文化書房博文社,2010年
- 異文化の理解と看護(望月由紀先生との共著)『国際看護:国際社会の中での看護の力を発揮するために』森淑江ほか編、Pp.34-41、
南江
堂, 2019
- 青木保:文化の否定性.中央公論社,187頁,1988
- ベネディクト,R.:文化の型.米山俊直訳,402頁,2008
- フリック,U.:質的研究のデザイン,鈴木聡志訳,179頁,2016
- 池田光穂:実践の医療人類学.390頁,世界思想社,2001
- 池田光穂:「文化の翻訳」に資格はいらない.こころと文化 8(2):139-145. 2009
- ギアーツ,C.:文化の解釈学(上・下).吉田禎吾ほか訳,岩波書店,1987
- サムナー,W.G.:フォークウェイズ,青柳清孝ほか訳,青木書店,1975
- D'Avanzo, Carolyn. 2008. Mosby's Pocket Guide to Cultural
Health Assessment -, 4th Edition. Elsevier
- Giger, Joyce Newman. 2013. Transcultural Nursing : Assessment
& Interventions. Elsevier
- Suh EE. 2004. The model of cultural competence through an
evolutionary concept analysis. Journal of transcultural nursing.
;15:93–102.
■その他の情報
Copyleft, CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j, 1996-2099
看護人類学入門
池田光穂