調査研究の倫理
Research Ethics for Fieldworkers in Anthropology
■命題集
・人間を対象にする調査研究は、根元的に人体実験*的性質をまぬがれえな い。
・そのために、調査研究において、調査する人間が調査される人間の尊厳を傷つけたり、され る 側の資源(人体の一部あるいはその隠喩[例:知 識])をする側が搾取するという事態がおこりうる。
・このような事態は、研究者じしんが道徳的であるか、よい人間であるかというとは関係なし に、行為が社会的にどのように意味づけられるかに よって、構造的に決定される性質のものである。調査者の倫理は、その人の内面を規定するものではなく、その人がどのような手続きをふんで調査をおこなおう とするのか、おこなっているのか、おこなったのか、という観点からきめられる。
・したがって、調査者は調査をはじめる前に、その調査が、人間の倫理にかなっているか、調 査 をおこなう正当性をもちうるか、研究がもたらす社 会的影響力等について責任を負うであろうことに、十分な配慮をもたなければならない。
・反倫理行為は構造的に決定されるために、倫理の学習は、さまざまなケースを通して学ばれ る 必要がある。
・同時に忘れてはならないことは、フィールドワーカー(調査者)は、フィールドにおいて、 被 調査者というよばれる対象者から、学んでいるのだ ということです。
・学ぶ/教える/学ばせてもらう、という動詞の3つの諸相のそれぞれに倫理的行為が絡むと い うことです。
・スライドショーで学ぶ「フィールドワーク研究の倫理」はこちらです!
■『アイヌ文化環境 保全対策調査』(2003-2005)における、調査倫理の10項目(岩崎 2010:259-260)
1.地域の人々のプライパシーを守り,伝統文化を尊重しなければならない。
2. 協力者が納得する高度な調査を目指さなければならない。
3. 責任者は調査中の調査員の言動についても,責任を負わなければなればならない。
4. 調査目的,調査費用の出所を明らかにしなければならない。
5. 本人あるいは保護者から事前に以下の事項について承諾書を得なけばならない。
・情報収集手段——録音,ビデオ,写真,文書,その他
・得られた情報の用途に関して(名前,写真,映像,音声等。民具等の写真,作図の公開・非公開)
6. 承諾を得るために,協力者に不適切な圧力をかける様なことをしない。
7. 調査のいずれの時点でも,協力者は調査協力を中止することが出来る。
8. 協力者との合意事項をふまえ,地域の人々へ知り得た情報を公開しなければならない。
9. 協力者との合意事項をふまえ,報告書等では調査に協力してくれた人に感謝の意をふさわしい形であらわさなければならない。
10. 情報を公開する前に協力者の確認を取らなければならない。
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Links
リンク集
文献
Copyleft, CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j, 1996-2099
Hippocratic Oath, A 12th-century Greek manuscript of the oath
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