反人工知能派
Anti-Artificial intelligence, anti-AI
解説:池田光穂
● 反人工知能派: H・ドレ イファス、J・ワイゼンバウム(1976年以降)
「人工知能批判派やインターネット批判をする懐疑派の紋切り型の批判の典型は、ドレイ
ファス(2002)に代表されます。授業のコメントで申し上げましたが、この一派は相も変わらず「身体論」で勝負を制しようとします。彼の主張は、【身
体】=【不確実性】=【責任ある関与的な行為】の三位一体の一種の神学的な議論をおこないます。つまり、メルロ=ポンティの身体と知性の不可分性で身体の
固有性やフレキシビリティさらには固有性を主張します。これは、身体を牢獄と見るプラトン(およびキリスト教)以来の西洋の哲学のベースに対する根本的な
批判を形成します。次に、責任ある関与的行為(コミットメント)をあげて、責任ある行為は、固有名ならびに具体的身体をもつ近代的な主体においてはじめて
可能になると説明します。そして、この不確実性については、私はクリアに説明するのに自信がないのですが、奇妙なことに19世紀初頭に登場する新聞により
匿名性をおびた公共/公衆の概念が登場することに対して懐疑的なキルケゴールの所説を使います。たぶん人間の身体や感情に強く関わる「絶望」などの概念を
人間らしさの根拠にしてつかいます。これらの3すくみの概念装置で、非身体的で、責任性の所在が見えてこず、また失敗を犯さない自動機械は、知性など持ち
得ないことを主張します」(出典:「イライザの父の怒り」)
● 人工知能派:
強い人工知能派:計算機が「意識」に近いものまで持ちうると主張
弱い人工知能派:AIの可能性は信じるが、強い主張には懐疑的
◎ Hegel in A Wired Brain, by Slavoj Žižek, 2020.
"In celebration of the 250th anniversary of the birth of G.W.F. Hegel, Slavoj Žižek gives us a reading of the philosophical giant that changes our way of thinking about our new posthuman era. No ordinary study of Hegel, Hegel in a Wired Brain investigates what he might have had to say about the idea of the 'wired brain' – what happens when a direct link between our mental processes and a digital machine emerges. Žižek explores the phenomenon of a wired brain effect, and what might happen when we can share our thoughts directly with others. He hones in on the key question of how it shapes our experience and status as 'free' individuals and asks what it means to be human when a machine can read our minds. With characteristic verve and enjoyment of the unexpected, Žižek connects Hegel to the world we live in now, shows why he is much more fun than anyone gives him credit for, and why the 21st century might just be Hegelian."
「G.W.F.ヘーゲルの生誕250周年を記念して、スラヴォイ・ジジェクがこの哲学の巨人を読
み解き、私たちの新しいポストヒューマン時代についての考え方を変えてくれるだろう。ヘーゲルの普通の研究ではなく、ヘーゲルが「ワイヤード・ブレイン」
という考え方について何を言いたかったのか、つまり、私たちの精神プロセスとデジタ
ル・マシンが直接結びつくとどうなるのかに
ついて研究している。ジジェクは、ワイヤード・ブレイン効果という現象、そして、私たちが自分の考えを他人と直接共有できるようになったら何が起こるかを
探求している。そして、それが私たちの経験や「自由な」個人としての地位をどのように形成するかという重要な問題に焦点を当て、機械が私たちの心を読むこ
とができるとき、人間であることは何を意味するのか、と問いかける。ジジェクは、ヘーゲルと私たちが今生きている世界を結びつけ、なぜヘーゲルは誰もが評
価するよりもずっと楽しいのか、そしてなぜ21世紀はヘーゲル的なものになるのかを、独特の活力と意外性のある楽しみ方で示している」。
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Mitzub'ixi Quq Chi'j, 1997-2099